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【海外で絶賛】「劇団鹿殺し」が下北沢で凱旋公演 SNS「いつの間にか沼にハマっている」

  • 2025.12.11
2000年に、関西学院大学の演劇サークル出身の菜月チョビ氏と丸尾丸一郎氏によって旗揚げされた「劇団鹿殺し」が11月30日〜12月7日の期間、東京・下北沢の「駅前劇場」で3作を同時に凱旋公演しました。
2000年に、関西学院大学の演劇サークル出身の菜月チョビ氏と丸尾丸一郎氏によって旗揚げされた「劇団鹿殺し」が11月30日〜12月7日の期間、東京・下北沢の「駅前劇場」で3作を同時に凱旋公演しました。

2000年に、関西学院大学の演劇サークル出身の菜月チョビ氏と丸尾丸一郎氏によって旗揚げされた「劇団鹿殺し」が11月30日〜12月7日の期間、東京・下北沢の「駅前劇場」で3作を同時に凱旋公演しました。

世界最大の芸術祭で全ステージ完売

劇団はこの夏、スコットランドの首都エディンバラで開催された世界最大の芸術祭「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」に初参加。その際、全21ステージ「完売」という異例の大成功を収めた直後の帰国公演となっただけに、演劇ファンの間で大きな注目を集めました。

公演の中で、とりわけ話題を集めた演目が、男性のつける衣装が股間に装着した肩パットのみという大胆な演出が施された「ザ・ショルダーパッズ~銀河鉄道の夜~」。

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を下敷きにしながらも、劇団鹿殺しならではの大胆な舞台演出が顕著なこの演目は、現地メディアからも高評価を受け、フリンジの精神性を最も体現した団体に贈られるという「Mervyn Stutterʼs Spirit of the Fringe Award」も受賞するなど、海外で高い評価を得ました。

下北沢・駅前劇場に〝里帰り〟

そして、今回、劇団鹿殺しが上京後、初めて東京で舞台上での公演を果たした劇団の象徴的な場所であり、日本の小劇場文化の拠点のひとつでもある下北沢・駅前劇場に〝里帰り〟して凱旋公演が行われました。

今回の公演では、エディンバラで上演した「Shoulderpads 凱旋公演 UK Version「Galaxy Train」」(英語・日本語ミックスのオリジナル言語バージョン)と、「2Shoulderpads SP Japanese Version『銀河鉄道の夜』」(日本語のみ)の2バージョンに加え、丸尾氏の新作「劇団鹿殺し abnormals(アブノーマルズ)による『銀河鉄道の朝』」を合わせた3作品の同時上演という構成でした。

実際に鑑賞した人からの反応

下北沢の歴史ある劇場で、海外での大成功を引っ提げての凱旋公演だったことで注目度の高かったこの舞台を鑑賞したという人たちからは、SNS上で多くの感想が寄せられています。

SNSでは「英語でもなぜかわかって楽しめるUK版」といった声のほか「いろんな場面で拍手と歓声があがってたあの雰囲気もよかったな」などと称賛する声が数多く見られました。

また、「ストーリーは銀河鉄道の夜をかなり忠実にやっていて、この衣装なのにうっかり泣きそうになった」と感激したという声のほか「いつの間にか鹿殺し沼にハマっている」という声も寄せられていました。

【筆者の体感】ー大人も子供も自由に演劇を楽しめる、下北沢でエジンバラの熱気ー

今回、下北沢での上演開始早々、私(筆者)も鑑賞してきました。

私が取ったのは2列目の席だったのですが、チョビ氏と丸尾氏がふたりきりで佇むシーンでは、舞台を食い入るように見ながら「もうこの世界には、ジョバンニ(チョビ氏)とカンパネルラ(丸尾氏)と私の3人しかいないんじゃないか?あと宮沢賢治…」と錯覚しそうになるほど、作品の世界に没入しました。

男性陣が、どんなにショルダーパッズ姿でわんぱくでも、チョビ氏がいると、ニュートラルに、人間らしく、不思議と舞台がまとまっていくのが素晴らしかったです。

そして、私は一日一公演では足りず、当日のリピーターチケットを購入。下北沢散歩をしたのち劇場に戻り、エジンバラでの自由なお客さんたちによる鑑賞をイメージしたという劇場内限定のお酒も購入し、こころゆくまで、演劇とお酒を堪能しました。ちなみに、この観賞方法は筆者のイレギュラーというわけではなく、今回の舞台で丸尾氏がオススメしていた公式の楽しみ方だったのです。

今回の舞台は、「キッズウェルカム」ということで、3回目の舞台は、知人の7歳の息子と一緒に鑑賞。

事前に再度確認したところ、制作の高橋戦車氏から、「裸の男たちがたくさん出てくるので、泣かなければ大丈夫です」というコメントがありました。

舞台が始まるとき、演出のチョビ氏からは、「大人が、まずは子供に戻って見ていただければ」というお声がけがあったこともあり、私も知人も子供も、全員が同い年の子供に戻って無邪気に楽しみました。

この時見たのは、「ショルダーパッズ公演・UKバージョン」(英語・日本語ミックスのオリジナル言語スタイル)。

舞台で、鹿殺しの男性陣が、シャツを脱ぎ捨ててショルダーパッズ一丁(二枚組)の姿になるとき、7歳の少年は、その可笑しさに大爆笑していました。

その後、機嫌よく鑑賞するも、英語が多かったこともあり、この少年はいつの間にか、知人にもたれかかってすやすやと夢の世界に。その間も、知人はむしろ自分が子供に戻ったかのように、大興奮で演劇の世界に没入していました。

旗揚げから25年

劇団鹿殺しは、今年で旗揚げから25年。当初は兵庫県西宮市を拠点としつつも、2005年に上京した直後は、劇団員全員でシェアハウスに暮らし、野外でのゲリラ公演などを重ねていたといいます。

はじめて東京で、ちゃんとした舞台上で上演できたのが、ここ、下北沢の駅前劇場だったということです。

「こんなに長く、しかも海外でやることになるとは」とチョビ氏は舞台上でお話になっていましたが、シェアハウスなどでの濃密な時間や、これまでの長い年月を過ごした面々にしか出せない空気感というか、「劇団鹿殺し」のみなさんが、ただ舞台に立つだけで、ひとつの世界ができあがってしまう。

「劇団」の醍醐味、舞台の面白さ、演劇の魅力ってこれだよなー、というエッセンスを余すところなく突き詰めた、劇団鹿殺しの芝居、さすがでした!

「銀河鉄道の夜」冒頭の、チョビ氏の「どこまでもいける」「この身ひとつで」という歌声が、今も脳内をリフレインし続けています。しばらくは、余韻に浸る時間が続きそうです!

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