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「ゴミ箱置かないと5万円罰金」 渋谷区の新条例にコンビニ・自販機業界から怒りの声

  • 2025.12.9

「ゴミ箱を置かないと5万円」全国初の条例

ゴミ箱を置かないと5万円、渋谷区が条例を改正
ゴミ箱を置かないと5万円、渋谷区が条例を改正

2025年12月7日、渋谷区議会で可決された条例改正案が、ネット上で大きな議論を呼んでいます。

その内容は、渋谷駅・原宿駅・恵比寿駅周辺のコンビニ、カフェ、自販機業者に対し、「ゴミ箱の設置を義務付ける」というもの。

2026年6月頃からの施行を予定しており、未設置の場合は勧告・命令を経て、最大5万円の過料(罰金)が科されます。さらに、設置していてもゴミが溢れたり不衛生な状態であれば、これも「不適正管理」として罰則の対象になります。

区側の言い分はこうです。

「街のポイ捨てごみの約75%が、テイクアウトの容器やペットボトル。販売して利益を得ている事業者が、そのゴミにも責任を持つべきだ」

確かに正論です。しかし、この条例に対し、SNS上では事業者や一般市民から「行政の責任転嫁だ」「あまりに理不尽すぎる」と猛反発が起きているのです。

「持ち込みゴミ地獄」から逃げるために撤去したのに…

なぜこれほど反発が強いのか。それは、ここに至るまでの30年間の経緯に理由があります。

1995年の地下鉄サリン事件以降、テロ対策として街中の公共ゴミ箱は次々と撤去されました。行き場を失ったゴミは、コンビニの店外ゴミ箱や自販機の回収ボックスに殺到。家庭ゴミや他店のテイクアウト容器まで持ち込まれ、あふれかえったゴミをカラスが荒らす地獄絵図が日常化しました。

その処理費用や清掃の手間に耐えかね、ここ数年、多くのコンビニや自販機業者は「ゴミ箱の撤去(または店内への移動)」を進めてきたのです。

つまり、「行政が公共ゴミ箱を消したツケを払わされ、限界が来て撤去した」のが現状といえます。それなのに、今になって行政側から「ゴミ箱がないからポイ捨てが増えた。お前らが責任を持って置け。置かないなら罰金だ」と言われているわけです。これでは「どっちやねん!」と怒るのも無理はないでしょう。

「5万円払った方がマシ」という本末転倒な現実

さらに問題なのは、「置いても地獄、置かなくても地獄」という詰み状態です。

もし条例に従ってゴミ箱を設置すれば、再び「持ち込みゴミ」が殺到し、処理費用は年間数十万~百万円単位で発生します。しかも、ゴミがあふれれば「管理不十分」で罰金の対象になりかねません。

ネット上では、事業者と見られるユーザーからこんな悲痛な声も上がっています。 「正直、ゴミ箱の維持管理費より、年に数回5万円の罰金を払った方が安上がりだ」 「行政が公共ゴミ箱を設置せず、民間に丸投げするのはおかしい」

賛成派からは「売った側の責任は当然」「少しでも街が綺麗になるなら」という声もありますが、圧倒的多数は行政の姿勢への疑問です。

「罰金」というムチだけで、本当に美しい街は作れるのか……。30年かけてこじれたゴミ問題のツケは、またしても現場に回されようとしているのかもしれません。

(足立むさし)

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