【丸の内】アール・デコとモード展 ― 優美なモードの世界を三菱⼀号館美術館で体感2026年１⽉ 25⽇(⽇)まで

丸の内の三菱⼀号館美術館では「アール・デコとモード 京都服飾⽂化研究財団(KCI)コレクションを中⼼に」が2026年1⽉25⽇（⽇）まで開催されています。

アール・デコの華やかなドレスにうっとり

1920年代のパリで花開いた「アール・デコ」。本展では、ジャンヌ・ランバンやガブリエル・シャネル、ポール・ポワレなどの名メゾンが⼿掛けたイヴニング・ドレスやデイ・ドレス（昼の装い）がずらりと展⽰されています。

会場⼊⼝

⼿前のドレスは画家ラウル・デュフィがリヨンのビアンキニ＝フェリエ社のために制作した⽊版調の薔薇模様の布地を、ツィママンがドレスに仕⽴てたものです。デュフィは1912〜28年に同社へ多くのデザインを提供し、ポワレらにも愛⽤されました。

会場展⽰⾵景⼿前：ツィママン デイ・ドレス（テキスタイルデザイン：ラウル・ デュフィ）

展覧会場は、まるでオートクチュールのショールームに迷い込んだかのような華やかさ。精緻な刺繍や輝く装飾が並ぶ空間は、服飾好きならつい⾜を⽌め、時間を忘れて思わず⽬を奪われる空間です。

会場展⽰⾵景

ジャンヌ・ランバンの代表作「ローブ・ド・スティル」は、1920年代の異国趣味とアール・デコの華やかさをぎゅっと凝縮したドレスです。 ⿊いスカートに輝くアステカ⾵の銀模様には、当時の古代⽂明への関⼼が感じられます。シャネルの⾰新とはまた違い、ランバンはレースや刺繍をふんだんに使った優雅で上品なスタイルを貫き、伝統美を好む⼥性たちから厚い⽀持を得ました。光沢のあるシルクに施された幾何学模様が、アール・デコならではの直線と曲線の美しさを際⽴たせています。

中央：ジャンヌ・ランバン イヴニング・ドレス 1920年代前半

モイーズ・キスリング《ファルコネッティ嬢》と⾚のシャネルドレス1927年のキスリング《ファルコネッティ嬢》は、優雅で⾃信に満ちた⼥性像を鮮やかな⾊彩で描いた肖像画。 隣に展⽰された⾚のシャネル イヴニング・ドレスは、同じ1920年代の洗練されたモードを体現しています。絵と服、異なる表現ながらも共に当時のパリのエレガンスを感じさせる、華やかな展⽰です。

右：モイーズ・キスリング《ファルコネッティ嬢》 1927年 ポーラ美術館 会場展⽰⾵景

光沢と幾何学の美 ― アール・デコ期のヒール装飾

「ジュエルド・ヒール」と呼ばれるアール・デコ期の華やかなヒール。靴の注⽂時に作られたサンプルで、エナメルやベークライトの光沢に、ラインストーンやメタル・ビーズが丁寧にあしらわれ、まるで宝⽯のように輝きます。

当時のパリでは、注⽂靴職⼈「ボーティエ」がクチュリエと共に芸術的な靴を⽣み出し、アンドレ・ペルージアのようなデザイナーも登場。⾜もとからアートが花開いた時代でした。眺めているだけで、アール・デコの華やかさと職⼈技の粋を感じられる、⼩さな芸術品です。

会場展⽰⾵景

1920年代、⻄欧の⼥性たちは歴史上初めて膝下を露出するようになり、靴の存在感は⼀気に増しました。靴は単なる機能を超え、⼩さな彫刻のようにデザインされる時代へ。そんな中、アール・デコの影響を受けた靴は、まるでオブジェのような特別な魅⼒を放っていました。

会場展⽰⾵景

⾹⽔瓶や⼩物も、当時のライフスタイルを彩る

ドレスだけでなく、⾹⽔瓶や化粧道具、時計やジュエリーなどの⼩物も多数展⽰されています。アール・デコ期の洗練されたデザインが、⼥性の⽇常⽣活やモード⽂化にどう浸透していたかを感じられます。細部にまでこだわった装飾や幾何学模様は、まさに「モードを楽しむ」という当時の精神そのものです。

会場展⽰⾵景

重厚な三菱⼀号館美術館の建物と調和する展⽰空間

会場の三菱⼀号館美術館の⾚レンガ造りの重厚な建物も、アール・デコの優美な世界と⾒事に調和しています。

会場展⽰⾵景

服や⼯芸品、絵画が織りなす展⽰空間は、まるで時代を超えた旅をしているかのような特別な体験をもたらしてくれます。服飾やデザインに関⼼のある⽅は必⾒の展覧会です。

華やかさとモダンが共存したアール・デコの世界を、ぜひ会場でお楽しみください。