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「まさか続編?」“匂わす”伏線か【ふてほど】スペシャルドラマの演出から“ひとつの可能性”が浮上

  • 2026.1.10

阿部サダヲ主演、宮藤官九郎脚本によるタイムスリップ・コメディ『不適切にもほどがある!』(通称・ふてほど)が、スペシャルドラマとして帰ってきた。昭和と令和を駆け抜ける“ふてほどワールド”な2時間半。注目すべきは、視聴者の間でも話題の「謎の電気ビリビリ」現象、そして続編を匂わせる結末だ。磯村勇斗演じるムッチ先輩の衝撃的変貌や、江口のりこ演じる女性総理・平じゅん子の存在感を交えながら、本作の核心に迫ってみたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

『ふてほど』がまたしても、時代を超える!

2024年『ユーキャン新語・流行語大賞』年間大賞も受賞したほど話題となったドラマ『ふてほど』。今回のキーアイテムはスケールアップしたタイムトンネル、いやタイムドアである。

昭和の頑固オヤジ・小川市郎(阿部サダヲ)は、開発したてのタイムドアを駆使して、1987年、2026年、2036年を縦横無尽に飛び回る。新年早々の“ふてほどワールド”、前半に描かれたのは1987年を舞台にした昭和パートだ。

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スペシャルドラマ『新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~』

大学生になった娘の純子(河合優実)と、彼女を追って昭和にタイムスリップしたキヨシ(坂元愛登)のやりとりが相変わらず微笑ましかったが、視聴者の目を釘付けにしたのは、さらなるムッチ先輩の変貌ぶりだった。前作では大江千里風に変貌していた彼が、今回はまさかの「一世風靡セピア」に加入。平成や令和に生まれた視聴者にはピンと来ないであろう、クドカンの手による昭和カルチャーのパロディが光っていた。

『ふてほど』らしい笑いのなかに密かに漂うのは、親としての市郎の切なさである。娘・純子を待ち受ける未来を変えるため、あの手この手で道筋を変えようとする市郎だが、そんな親心も運命には抗えない。

現代の政治と平じゅん子の存在感

舞台は現代、2026年へ。仲里依紗演じる渚が担当することになった、新しい政治番組を媒介に、「真面目な話、しちゃダメですか?」という問いが突きつけられる。

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スペシャルドラマ『新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~』

まさに、過剰な真面目さが不適切とされやすい時代において、平じゅん子のキャラクターが異彩を放つ。元子役という異色の経歴から都議、そして未来の総理候補へ。彼女が放つ台詞の一つひとつが、言葉の移り変わりや、時代による価値観の変容といった本作のテーマとリンクしていく。

そして今作の大きな謎、それはふたたび現れた“電気ビリビリ現象”である。前作では、近親者同士の“不適切な接触”で電気が発生する設定だったが、今回は不可解なビリビリが発生するのだ。

それは、同じ2026年に生きるじゅん子と秋津真彦(磯村勇斗)が接触しようとした瞬間に発生したビリビリ。違う時代に生きる者同士である市郎とじゅん子の接触では、ビリビリは発生していなかった。

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スペシャルドラマ『新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~』

前作を紐解くと、この電気ビリビリは、近親者同士が不適切な接触をしようとした場合、あるいは違う時代に生きる者同士での接触でも発生すると思われる。そうすると、自然に考えられるのは、じゅん子と秋津親子が近親者である可能性だ。これを続編の伏線と受け取った視聴者の間では「まさか続編?」と早くも話題になっている。

震災と注釈テロップが問いかける、表現の変化

本作が単なるギャグドラマにとどまらない理由、それは1995年1月の阪神・淡路大震災を描いたくだりにある。市郎が震災に関して起こした行動と、それを受け取る未来の人々の姿。そこには、命への誠実なまなざしが宿っている。

“2026年当時の表現をあえて使用して放送しました”といったラストの注釈テロップには、思わず息を飲まざるを得ない。2026年には問題なく使われている言葉や表現も、月日が経てば不適切な表現になるかもしれない、という未来に向けた警告だ。時代は変遷していく。だからこそ、“ふてほど”のような物語は、現代を映す鏡となるのだろう。

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スペシャルドラマ『新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~』

未回収の謎は山ほどある。電気ビリビリの真相も、家系図の絡まりも。そして何より、じゅん子の未来はどうなるのか。市郎たちは、まだ走り続けている。新年早々、視聴者の胸に灯った“いてまえ精神”は、きっとこの先の続編へと受け継がれていくだろう。


TBS系 スペシャルドラマ『新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~』
ふてほどSPはTVer&U-NEXTで配信中

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_