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横浜流星──「芝居は、自分にとって生きる支えそのもの」【THE ONES TO WATCH 2025 vol.1】

  • 2025.12.1

「カメラの前では、その瞬間だけは本物として生きられた」

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歌舞伎という世界の血縁をめぐる過酷な宿命、芸に人生を捧げる若き役者たちが挑む冒険と成長の旅。横浜流星にとって映画『国宝』で肉体を躍らせ、感情を震わせた歌舞伎役者・大垣俊介という存在は、単なる役ではなく、真の生を体現するための試練だった。「カメラの前では、その瞬間だけは本物として生きられた」。その真摯な姿勢が結実し、『国宝』は近年まれに見る大ヒットを記録。2026年に発表される第98回米アカデミー賞・国際長編映画賞の日本代表にも選出された。「最近は動画配信が主流で、映画館で観る人が減っていると感じます。そんな中で、日本の伝統芸能を題材にした長尺の作品が多くの方に届いたことは、本当にうれしいです。李(相日)監督のもとでひたすら向き合ってきましたが、ここまで広がるとは思っていませんでした。作品を愛してくださる皆さんに心から感謝しています。『“国宝”を観たら、本物の歌舞伎を観たくなった』と声をかけていただいたときは、本当に幸せでした」 作品の成功を経ても、「すべてが代表作」という思いで臨むため、自身の中で区別はないという。『国宝』は特別でありながらも、その積み重ねの先に生まれた結果だった。「芝居は、自分にとって生きる支えそのものです。単純に、芝居が好きで、芝居をしているときがいちばん幸せ。自分ではない人物を生きて、予期せぬ感情が生まれる。その瞬間に生きている実感があります。趣味がないのも、逆にいいのかも。すべてを芝居に注げるから」

彼の言葉は静かだが、その中に確かな熱を感じる。どの役にも、身体のどこかに痕跡が残る。『片思い世界』でピアノを弾いたときの指の感覚も、『着飾る恋には理由があって』で料理人を演じたときの手さばきも、今なお彼の中で息づいている。演じるという行為は、積み重ねるほどに自身の内側を更新していく行為なのだろう。「人間なので力を抜くことももちろん大事ですが、自分の場合、芝居のときにしか自分を本当に解放できないんです。普段は見られる立場として自然と気を張ってしまう。でも芝居のときだけは、何も考えずにいられる。だからこそ、芝居が自分の生きる支えになっているのだと思います」

「不器用なので、人一倍努力しないと周りと同じラインに立てない。だからこそ、役作りに必要なことは全力でやる」

もともと格闘家を目指していた彼は、今でもストイックに自分を鍛え続けている。「俳優をやっていなければ、その道に進んでいたかもしれません。今からでは年齢的にも遅いですけど(笑)。いずれにしろ、自分は不器用なので、人一倍努力しないと周りと同じラインに立てない。だからこそ、役作りに必要なことは全力でやるようにしています」 2026年、横浜流星は30歳を迎える。25年は『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で大河ドラマにも初出演し、節目の年となった。「30歳は再スタートの年。これからは、自分が何を世に届けたいのかを、より意識していきたいです」。プロデュースへの意欲も芽生えている。原案を務めた、高校の同級生の岩谷翔吾(THE RAMPAGE)が執筆した小説『選択』を、いつか映像化したいという夢もある。「メッセージ性のある作品が好きなので、そういうテーマは大切にしていきたいです。でも、コメディに挑戦するのも面白いかもしれない」。未来を語りながらも、彼の視線は常に現在を見据えている。「今はまず、佳境を迎えている大河ドラマを無事に走り切ることが最大の目標です。終わったときに初めて次の景色が見えてくる気がします。2026年は、新しい挑戦を通して、自分の幅を広げていける年にできたらと思っています」

Profile

よこはま りゅうせい

1996年生まれ、神奈川県出身。2019年に日本アカデミー賞新人俳優賞、22年公開の『流浪の月』で同賞優秀助演男優賞、24年公開の『正体』で同賞最優秀主演男優賞受賞。現在、主演するNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』が放送中。26年主演映画『汝、星のごとく』の公開を控えている。

問い合わせ先/クリスチャン ディオール 0120-02-1947

Photos: Teruo Horikoshi Styling: Go Negishi Hair & Makeup: Akihito Hayami Text: Rieko Shibazaki Editors: Yaka Matsumoto, Sakura Karugane

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