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朝ドラ公式サイトが明かす“裏の顔”を持つ人物「今後絡みあるのかな」派手さはないのに“心に引っかかる”名優

  • 2025.12.3
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『ばけばけ』第8週(C)NHK

朝ドラ『ばけばけ』にて、俳優・柄本時生が演じる舶来品店の店主・山橋才路が初登場。主演・髙石あかり演じるトキとの初絡みシーンや、“裏の顔”があるという公式設定についても注目を集めている。さらに現実世界での結婚報告も重なったことで、“ばけばけ婚”としても話題だ。SNS上では、ばけばけ婚の相手であるさとうほなみ(本作で遊女・なみを演じる)との関係性を指し「嫁入りする?」「今後絡みあるのかな」と考察が加熱。柄本の巧みな存在感が、物語の核心をそっと揺さぶる。

SNSを騒がせた“ばけばけ婚”の余韻

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『ばけばけ』第8週(C)NHK

突如登場した舶来品店『山橋薬舗』の店主・山橋才路(柄本時生)は、登場早々SNSをざわつかせた。

実は柄本時生、同じく『ばけばけ』に出演中の女優・さとうほなみとの結婚を発表したばかり。ドラマと現実が思わぬシンクロを見せ、ファンの間では“ばけばけ婚”と話題に。しかも、彼が演じる才路はトキ(髙石あかり)とビアを通じて接点を持ち、その後の物語にも深く関わることが示唆されている。

登場シーンでは、トキがヘブン(トミー・バストウ)のために“ビア”を手に入れようと奔走し、初めて山橋薬舗を訪れる。このとき、柄本が演じる店主はトキに親切に応対し、ビアという異国の飲み物に驚く彼女の反応を静かに受け止める。

トキが瓶ビールを振ってしまい、中身を噴きこぼしてしまった際にも、柄本の演技は決して目立たず、しかし確実にそこに“居る”。まるで生活の一部を切り取ったようなリアルさが、山橋という人物の掴みどころのなさと実在感を引き立てている。

「裏の顔」は何を意味する?謎の深まりと再登場への期待

ドラマ公式サイトでは、山橋才路について「松江で唯一の舶来品店の店主」であると同時に、「実は店主以外にも、“裏の顔”を持っている」とも紹介されている。

現時点でその“裏の顔”がどのようなものかは明かされていないが、彼の穏やかな物腰と、町の住人との程よい距離感が、かえって不穏な予感を呼び込む。

たとえば、才路が営む山橋薬舗は、明治という時代において西洋と日本の文化が交錯する象徴的な場だ。ここに西洋文化の象徴であるビールが置かれているという事実だけでも、物語上の意味は小さくない。トキとヘブンという異文化間の交流が、まさにこの場所を経由して進展していく構造になっている。

それだけに、山橋才路というキャラクターが今後どのように本筋に絡んでくるのか、視聴者の注目は尽きない。その動向が明かされるのはいつになるのだろうか。

柄本時生の演技がもたらす“異物感”と“安心感”の同居

柄本時生といえば、等身大の不器用さを持つキャラクターを演じる名手として知られる。どこか要領が悪く、気弱で、居心地の悪さを滲ませるその佇まいが、多くの視聴者の共感を呼んできた。今回の『ばけばけ』でも、その特性が最大限に活かされている。

ただ、才路という人物は決して“冴えない男”ではない。むしろどこかつかみどころがなく、反対にすべてを見透かしているような含みのある眼差しが印象的だ。セリフのひとつひとつもどこか引っかかりがある。

それは、柄本の演技が持つ“普通さ”のなかに潜む異物感ゆえだろう。たとえば、主張が強くなく、感情を大きく爆発させることもないのに、ひとつの動作、目線、間の取り方だけで“何かを知っている”空気を漂わせる。

この“曖昧さ”こそが、彼が演じるキャラクターをただの脇役に終わらせない理由であり、今回の“ばけばけ婚”報道の裏で、彼の登場がここまで話題になった理由でもあるのではないか。

山橋才路というキャラクターが、トキやヘブン、あるいは町の人々の間でどう物語を攪拌していくのか。それは、派手な登場ではなく、むしろ“なにげなさ”で視聴者の心に引っかかる柄本の演技あってこそ成立する、不思議な引力である。


連続テレビ小説『ばけばけ』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_