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【11月22日はいい夫婦の日】いい夫婦の日に考えよう、幸せのヒント

  • 2025.11.13

11月22日は「いい夫婦の日」。100組いれば100通りの夫婦関係。果たして〝いい夫婦関係〟とは?それを維持するには?
夫婦の幸福度の研究を行う、久留米大学の浅野先生に聞きました。読者の体験や知恵も交えて届けます。

教えてくれたのは…
久留米大学文学部心理学科准教授 浅野良輔先生 
社会生態心理学の観点から、幸福感・健康と人間関係の関連について研究。
米国と日本において、妻(夫)の幸福感が高いほど、その夫(妻)の幸福感も高いことを発見する。
※ 2024年10月、米国科学誌「Personality and Social Psychology Bulletin」オンライン版に掲載

夫婦の幸福度には相関性がある

ーー先生の研究「夫が幸せだと妻も幸せ、妻が幸せだと夫も幸せ」(※)はどんな内容ですか?

日本とアメリカで5319組、いろんな年代で集められたデータをグループで分析しました。
ぼくの分析は、妻と夫にそれぞれ自分自身の幸福感を聞いたところ、その点数が似ていた、という結果です。 元から幸福感が高い人がそういう人と結婚するのか、もしくは結婚後にお互いの幸福感が近くなってくるのかまでは今回の調査では分析できませんでしたが…。社会学の理論ではどっちもあり得るんです。

ーー属性による違いはありましたか?

やはりよく言われるように、アメリカ人の夫と妻が、日本人の夫と妻よりも幸福感が高いという結果になりました。あと、妻の方が多少は夫よりも幸福感は高いですね。ちなみに今回聞いた「幸福感」は家庭のことに限りません。

ーー確かに、人生を楽しんでいるのは女性の方が上手な気はしますね…

相手のことを幸せにしてる?

ーーではこの調査結果を踏まえて、いい夫婦関係を維持して、夫婦共に幸福度を上げるためにはズバリ何が必要だと思いますか?

3つあると思います。1つは共有。外で嫌なことがあった時にパートナーにぐちを聞いてもらったり、いいことがあった時にそれを伝えられたりすることは大事ですよね。それでお互いコミュニケーションがはずんで、必然的に関係がよくなるでしょうし、最終的にはお互いの幸福感につながるでしょう。

2つめは、夫婦関係に意味や価値を見出すことができるか。それは経済的な意味でかもしれないし、自分にない知識や趣味などを持っているか、かも。お互い広げ合えればいい関係になると思います。

ーー尊敬できるかということですね。

3つめは、これは日本の研究者が言っているのですが、相手のことを幸せにしているかどうか。これによって、夫婦の関係もよくなるだろうし、自分の幸福感も高めるだろうし。

ーー相手を幸せにしているか…考えたこともなかったです(笑)

これを「協調的幸福感」といいます。物事を達成したり成功したりすることが幸福感を高めるというアメリカの考え方はあるのですが、人間関係の中で幸福感が高まっているのは、日本ならでは。
というところで、相手のことを幸せにするのも大事です。結婚する時は「幸せにします」とか言ったりしますよね(笑)。最初はみんなそうしようと思うんですよ(笑)。

ーー確かに。1つめに挙げられた「いいことと悪いことの共有」も、結婚式の時の誓いの言葉「病める時も健やかなる時も…」のようなものですよね。いい夫婦の日に改めて考えてみるのはいいかもしれないです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

「慣れてくると、最初の感情を持続できないところもあるので、維持するのが難しいんです」と浅野先生

夫婦は違う人間だと思ってる?

ーーでは、パートナーと自分の幸福度を上げるために、具体的にできることはどんなことですか?

これも3つあります。
まずは、一体感を持ちすぎないこと。「夫婦」という言葉でひとくくりになっているので、外部からもそう見えるし、夫婦はそうじゃなければいけない、と夫婦自身も思うのかもしれないけど、二人は違う人間なので。

ーー違う人間だから、考え方も価値観も違うということを前提においておかないといけないんですね。

そうですね。だからちゃんとコミュニケーションをとって、どこがずれていて理解し合うとか確認し合うことが大事です。あるいは「分かっていて当たり前」と思わない。

ーー反省しますね。全部刺さってきますね(汗)

2つめは、1つめに付随するのかもしれないですけど、お互いに寛容になること。分からない、伝わらないということそのものものに寛容になったり、言わないと分からないから、ちゃんとコミュニケーションする。あるいは二人の違いやずれが分かった時に、そこを夫婦どちらかに寄せようとし過ぎると、「許せない」「気に食わない」となってしまう。それはお互い、つらいですよね。

ーー「あなたはあなた、私は私」、と割り切るということですね。

若い夫婦は寄せようとするかもしれませんが、長くなってくると、お互いに寄せようなんて難しいかもしれないです。

最後に、やはり思っていることを言葉にするということですね。

まとめ
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出典:リビングふくおか・北九州Web

100%うまくいく言い方はない

ーー先生、ここで読者から寄せられた具体例を見てみましょう。

パートナーにカチンとくるのはどんな時?夫婦仲を保つために心がけていることは?
●主人はとても家事に協力的で、いろいろやってくれるのですが、私の食洗機の入れ方、洗濯物の干し方が雑なようで、小言を言われます。「普通、そうするよね」「それ、常識やろ」と言われると、「普通って何なん⁈干し方はこうするのが常識って、どこかに書いてあるっけ?全部、あんたの主観やん!!」って結構カチンと来ます。でも文句は一切言いません。不毛な争いになるし、もうやらないと言われたら困るから。主人は文句を言えばそれで気が収まるようなので、「ごめんねー、次気をつける」と言ってお茶を濁します。そして、あんまり反省してないので、また同じことをやって、また文句を言われます。そのうち、主人がこの人には何を言っても無駄だと悟ります。ガンジー作戦です。非暴力、不服従(BeBe)

出典:リビングふくおか・北九州Web

●「言い方が悪い」ことでけんかになります(笑)「その言い方なに?」から論点がズレたり・・・。けんかは次の日に持ち越さない。相手へのリスペクトを忘れない(みひる)

●「これ明日までに乾く?」と夜に洗濯物を出してきた夫。その時に洗濯機をすでに回していたので、結局深夜に起きて洗濯機を回しました。「なんでこのタイミングで言うの!!!!」とカチンときたけれど、寒いのでどうしても着たかったらしいです...。ゴミ出しや食器洗い、本の返却など「ありがとう」と夫にその都度言う。あとは帰ってきたら「おかえりなさい」と声をかけます。その時の夫の反応で「疲れているな」とか「今日はほっとしているな」と何となく察しがつくので(MW)

●基本的にこちらが手伝ってほしいと言わないと何もしない。それに対して日頃あまり何も思わないが、自分に余裕がない時はカチンとくる。私に余裕がない時は気付いていると思うので、もう少し自分から出来る事はないか、気にかけてくれないかな、と思う。

出典:リビングふくおか・北九州Web

でも子どもや人のいる前で、相手の事をけなしたりしない。相手の非を見たとしても、自分も完璧ではないしな、と思う。相手の気持ち、背景、状況もできるだけ考えるように心がける。自分に余裕がない時以外は(笑)(さそり)

ーーもう、どれも「あるある」すぎて…(涙)、最初のご主人は「夫婦一体」と思っていらっしゃる典型かもしれませんね。それと先ほどの「要望や要求を言葉にする」に関連して、2番目の「言い方問題」が発生してきますよね。同じことを言っていても言い方次第で「カチンとくる」時が…。

ごく一般論でいうと、夫は問題解決とか論理性を重視して、妻は感情を重視すると。

ーーつい、解決したくてストレートに言ってしまうんでしょうね。相手は聞いてくれるだけでいい時もあるのに。

解決したい人もいるけどそうじゃない人もいる。要求や要望は言葉にすることですね。

ーー「言葉にする」と言っても、自分のことを棚に上げてあれやってこれやって、と相手に要求ばかりするとうまくいかないですよね。家事分担とか特に、バランスが悪いといい夫婦関係にはならないんだろうな、と思います。

要求するだけでもダメだし、やってあげるだけでもダメ。
授業で言っているんです。内閣府のデータで、日本人夫婦の家事に費やす時間の差は、アメリカなど他の国よりももっと大きい(※)。だから共働きが増えても結局家事と仕事の負担は妻の方が大きい。そこのところも統計データにするとそうなるんでしょうけど、そこでいうところの「貢献度」をどうとらえるかですよね。家庭における貢献度と家計という経済的な貢献度を計算するとそこまで不公平感が出ないかもしれない。夫と妻でつり合いがとれるかもしれない。 そこでお互いに不平不満を感じることなくつり合っていればいいのですが。外から見たときにはつり合っていると思うけど、当事者が納得していなければ、しかもそれを言わなければ(笑)幸福度は上がらないですよね。今さら言っても仕方ないか、ということもあるかもしれませんが。

※内閣府男女共同参画局 「男女共同参画白書 令和2年版」より
男女別に見た生活時間(週全体平均)(1日当たり,国際比較) https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/column/clm_01.html

ーーカチンとこない言い方ってないものなんでしょうか(笑)

残念ながら、100%それでうまくいく言い方はありません(笑)。僕たちが出せるデータは平均値なので、エビデンスはあっても、個別の夫婦にそれがあてはまるかといったらそうではない。万能な言い方はないからこそ、コミュニケーションをとって、お互いの理解を深めるしかないんです。

ーーとはいえ、熟年夫婦には「言っても無駄だし面倒」と思っている方も、一定数いるかもしれません…

ふつふつと不満をたぎらせるよりするより言った方がいいと思うのですが、この考え方は比較的新しいかもしれません。一定の年齢層以上の方はそうじゃないという世代の方も多いかもしれないですね。

ーーでは、夫婦間で、これをやったらダメでしょう!ということはありますか?

比較でしょうか。親夫婦や友達夫婦、SNS、それこそこういうアカデミックな成果などを、よそと比べない。ポジティブな話や、参考程度にしていく分にはいいと思うんですけど、価値観のずれという話題で比較すること。幸福感もそうなんですけど、人と比べると幸福感が下がるんです。

そういえば、いつもと違うことをパートナーと一緒にすると、コミュニケーションのきっかけとなり、関係がよくなった、という内容を夫婦で書いている論文がありましたよ(笑)

ーー何かを一緒にやることに意味があるんでしょうね。共通の話題づくり。頑張ってコミュニケーションをとっていくことにします(笑)ありがとうございました。

「リビングふくおか」2025年11月22日号掲載

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