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35年前、テレビから流れたストレートな“恋の叫び” 心を掴んだ「少年っぽい」歌声

  • 2025.11.21

「35年前の秋、あなたはどんな音を聴いていた?」

街にカセットテープのシャカシャカした音が響き、通勤ラッシュの電車には新しい時代の匂いが漂っていた1990年。バブルのきらめきが消えていく中、それでも人々の心には“勢い”と“夢”がまだ確かに残っていた。そんな時代の風をまっすぐに切り裂くように、爽やかな恋のロックが鳴り響いた。

LINDBERG『OH! ANGEL』(作詞:朝野深雪・作曲:平川達也)――1990年11月21日発売

セイコーエプソンのCMソングとしてオンエアされ、テレビから流れるたびに一気に気分が明るくなる。どこまでも前向きで、少し照れくさいほどに真っ直ぐなラブソングだった。

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LINDBERG-2009年撮影(C)SANKEI

青春を駆け抜けた4人のバンド

LINDBERGは1989年デビュー。ボーカル・渡瀬マキを、ギターの平川達也、ベースの川添智久、ドラムの”チェリー”こと小柳昌法という4人組だ。

彼らの魅力は、難しいことを言わずに「元気と恋」を全力で鳴らすシンプルさにあった。『OH! ANGEL』はその真骨頂ともいえる一曲。軽快なギターリフに乗せて、恋する気持ちをまっすぐに叫ぶ姿は、当時の若者たちの心をがっちり掴んだ。

ボーカルの渡瀬マキは、その小柄な体からは想像もつかないほどのパワフルな声で、恋のときめきと葛藤をリアルに表現する。どこか少年っぽさを感じさせる歌声には、“飾らない強さ”と“まっすぐな優しさ”が同居していた。

“軽さ”の中にあった確かな芯

『OH! ANGEL』の魅力は、そのサウンドの軽やかさにある。イントロから駆け出すギターとリズムの一体感は、聴く者の心を自然と走らせる。そこには、当時のLINDBERGが掲げていた「難しく考えずに楽しめるロック」という理念が色濃く表れていた。

だが、それは決して“軽いだけ”ではない。恋の楽しさの裏にある不安や切なさも、メロディの中にそっと織り込まれている。アップテンポでありながら、どこか胸が締めつけられるような余韻が残るのはそのためだ。

このバランス感覚こそ、LINDBERGというバンドの強さであり、時代を越えて愛される理由でもある。

CMソングから生まれた共感の輪

当時、セイコーエプソンのCMでこの曲が流れるたびに、テレビの前の視聴者は一瞬で元気を取り戻した。景気の浮き沈みよりも、自分たちの“今”を信じたい。そんな気持ちに寄り添うように、『OH! ANGEL』は軽やかに響いていた。

「こんな恋がしたい」ではなく、「いま恋をしている自分を肯定してくれる」

そんなポジティブなエネルギーが、この曲には確かに宿っていたのだ。

変わらない“まっすぐさ”の証

35年が経った今でも、『OH! ANGEL』を聴くと、胸の奥に小さな火が灯る。それは、時代の流れや年齢を超えて響く“まっすぐさ”の力だろう。

飾らない言葉、勢いのあるメロディ、前を向くエネルギー。LINDBERGが描いた恋は、いつだってシンプルで、そして誠実だった。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。