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ついつい「自虐ネタ」に走る気持ち、わかりすぎるけど…これから大事にしたいキーワードをアドバイス

  • 2025.10.28

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

「寒くなってきましたねぇ〜」なんていう、季節の移り変わりにともなう気候の変動なんて話題は、おそらく典型例ですが。

その日の天気予報であるとか、今日何を食べたかとか。
お客様とお話をするために、「飲み屋さん」のキャストが仕込んでいるネタというのには、いくつかのパターンがあったりします。

Sitakke
ライター・満島てる子

接客業をやったことがある人なら、この「ネタづくり」に取り組んだことがある人も、おそらくいるんじゃないかしら。

この「ネタづくり」、だんだんと癖になっていくんだよねぇ。

普段から無意識のうちに、話しやすい話題やノリのいい話し方といったものに、自分自身の口が引っ張られやすくなっていっちゃうというか。
そのせいで、周囲とのズレを感じる瞬間も、時たま訪れるようになっちゃうというか。

今回は、そんな自分の「話し方の癖」に悩む方からのお手紙です。

読者からのお悩み 昔のクセで、自虐ネタを言いがち。昼の世界だと気を使われてしまう…

Sitakke
Sitakke

あらまっ!元同業者の方なのね。
ペンネームからして、どれぐらいあなたが普段から自虐ネタになじみがあるのか、なんとなく感じちゃうところもあったりして。
ともあれ遠慮なくこう呼ぶけれども、ぽっちゃりさん、今回はお手紙送ってくださり、どうもありがとうございます!

そうねぇ、自虐ネタってやつの「夜適性」というか。
昼間の会話とのそぐわなさというか。

これはあたし自身も、ここしばらく日中に様々なお仕事をやらせていただくなかで。
正直自分の話している内容について「あ、これはこの時間帯にそぐわないのかも……」とハッとさせられる瞬間が、自虐もふくめて多々あったりするのよね。

夜の世界というのは、その核ががっちりエンターテイメント性と結びついています。

お酒を提供する仕事といっても、では単にアルコールをお客に出していれば「飲み屋さん」として成立するのかというと、それは多くの場合“否”。

ご来店いただいた方に「すごい!」「すてきぃ……!」といった高揚感だったり、ときには「おもろ!」「笑えるわぁ」という破顔一笑の瞬間だったりを。
ある瞬間には言葉で、ある瞬間には自身の身でもって。
お客様とともに乾杯しながらあらゆる手段でお届けすること。

それができなければ失格な職種だなと、個人的には思っていたりするんです。## 夜と昼の乖離…おのれの未来につながる課題でもあるなぁ

Sitakke
お花シリーズ・一目ぼれ購入したトルコ桔梗。花言葉は「希望」。本名に入っているからか、希望って単語、昔から好きなのよね。

そんな仕事であるがゆえに、あたし自身もそうなんだけれど。

夜の人間は、昼の世界では「コンプライアンス」に抵触するんじゃととがめられたり、「ハラスメント」ではないかと現在ではいぶかしがられるようなラインを、その場の状況に応じて「仕方ない……えいや!」と飛び越えざるをえなかったりもするんだよね。
しかも、その「えいや!」が一種のしきたり/売りとして、定着していたりもする。

ゲイバーに「ブス!ってののしられたいんです!」という理由で来るお客さんって、昔から絶えないのですが、これはそんなしきたり/売りが定着している典型例だと思いますし(あたしは大抵そういう人、あえてののしらなかったりするんだけれどね。「あんたの思う通りには動かないわよ」って。苦笑)。

考えるに、自虐もそういうしきたり/売りのひとつ。

自分のことをあえて下げ、それによって笑いを演出することで、お客様が自己開示しやすい環境を作っていくという、「飲み屋」あるあるの戦法だなぁと、あたしは従事者としてそう素直に思います。

(他者と関わり、会話をその仕事の中心とする人の中には、似たような戦法を駆使する方も、飲み屋に限らずいらっしゃいますよね。)

でもさ、本当にぽっちゃりさんが書いてくれている通りなんだけれどね。

この「夜の魔法」は、やっぱり日が暮れた世界じゃないと有効打にならないことも多いみたいで。

なんならもはや「自分も含め、誰かを否定することで成立する笑いは、もう時代遅れ」という感覚が、社会では一般的。

「いいマインドセットのために、ポジティブなセルフトークをしましょう」(カタカナ多くね?(白目))といった言説が、SNSを中心にひろく流布しているわけです。

そりゃ自虐ネタを言った場合、周囲から「気を使われてしま」う結果になっちゃうわけよね。
夜と昼には、小さくない乖離があるとも言えるでしょう。

ぽっちゃりさんやあたしが、生き残るために自分たちなりに、おのれの生きている世界のなかで身につけてきた話術。
どうやらそれは、別の時間帯だと古いもの、過去のものになりつつあるらしい。

でもだからといって、自分たちの話し方をいきなり変えられるかというと、そうはいきませんよね。
長年身に染み付いた習慣って、一朝一夕では抜けないはずだもの。

ぽっちゃりさんの戸惑いと苦しみに、大いに共感しながら。
今回のお手紙のなかからは、おのれ自身の未来につながる課題が見出せるなぁとも、あたしは感じていたりするのでした。

あたしなりのAnswer

Sitakke
大丸札幌店で行われたファッションショーにドラァグクイーンで参加

さて、ぽっちゃりさん。
さっきは話の流れからも、自虐ネタを時代遅れのくくりに入れたけれど。

あたし正直、お昼の世界で共有されている考え方が、すべて正しいとは思ってはいないのよね。

例えば「ブス」。

ゲイバーのコミュニケーションの中では、実際によく飛び出す単語なのですが。
この言葉は、造形が不細工であることのみを指すものではありません。

どちらかというと「生き様が不器用で、どうしようもなくって、でもどこか憎めないよね」という一種の愛らしさを伝え合うために、仲のいい相手に対してであるとか、自虐の意味を込めてもあえて使ったり。

かと思えば、その場を乱す不粋な人に向けて、その行動を静止するために放つ言葉としても、「飲み屋」の中では用いられたりします。

これは、意味のある毒なんです。

LGBTQのQに相当する「クィア(Queer)」も、もともとは自虐ネタです。
日本語に訳せば「変態」。
その意味ゆえに、英語圏では元々性的マイノリティに対する侮蔑語として使われていたのですが。

それを逆手にとって「変態で何が悪い」と、自己紹介の単語としてあえて使う文化がコミュニティの中に生まれ、それが今でも継承されています。

こんな風に、実はポジティブで、力強い意味を持つ自虐ネタが事実ある。
もしかしたら「ぽっちゃり」というペンネームも、そのひとつに当たるかもしれませんよね(マツコ•デラックスさんとナンシー関さんの『クィア•ジャパン vol. 3』(2000年/勁草書房)での対談が、この点についてはとっても参考になるのでオススメです)。

でも、その力強さを愛で、毒を薬として活用する余裕というか余白というかが、おそらく今の社会にはもうない。
というか、毒はそもそも遠ざけましょうよという考え方が、様々な場面でスタンダードになってきている。

だとすれば、ぽっちゃりさん。我ら毒タイプの技の使い手としては、環境としてしんどいかもしれないんだけれども。
あたしたち、そういう考え方に少しずつ、ある意味力づくでも馴染んでいかなきゃいけないんじゃないかしら。

新しい感性にふれて、自分の糧にしてほしい

Sitakke
中学校での講演会のひとコマ 素直な生徒さんたちとあっという間の時間でした!

ニュースでも、笑いの基準の変化が取り上げられているのを、しばしば目にするようになってきました。
自分や誰かを下げたり罵ったりする「アグレッシブな笑い」から、誰も傷つけない「優しい笑い」へ。

「おもしろい」という事柄自体が、お笑い業界の中ですら変化をはじめています。

事実「優しい笑い」というキーワードで検索すると、その事例を創り出している芸人さんたちの名前がズラリ。

ぽっちゃりさん、あたしあなたには、ぜひその人たちの感性に実際に触れながら、それを自分自身の糧にしてみちゃってほしいの。
きっとあなたにとって有効な「話のネタ探し」になるはずだから。

あたし自身もいま少しずつ、SNSや動画サイト、メディアを通じて、そうした先駆者たちの「笑い」の作り方を、意識的に勉強しているところです。

とはいえ、自虐ネタを完全に封印すべき、と言いたいわけではありません。
多分だけれど、ぽっちゃりさんのお話を聞いて「笑いたいけど、今笑う空気じゃないしな……」と、周囲の目を気にしてゆるみかけた表情筋を締め直している人も、昼の世界にいるんじゃないかしら。
そんな人を見つけたら、その相手を「自虐仲間」にしてしまえばいい。

そうした人ともし出会えなかったとしても、自虐ネタを話せる場は現にたくさん存在します。
バーのカウンターに足を運び、そこのスタッフたちと思いっきり自虐を浴びせ合うのもひとつの手。
歓迎されたりするかもね。

でもぽっちゃりさん。
今の時代は「アップデート」がひとつのキーワードです。

「優しい笑い」と触れることで、これまでになかった価値観を手にいれ、自分を刷新すること。
それがあたしたちには、もっと言うと「夜の世界」そのものにも、目下求められているのでしょう。
そのこと自体は、真っ直ぐに受け止めた方がいい。

ぽっちゃりさんとあたしが迎えた、ひとつの変化のタイミング。
これをいい機会にして。
お互いに素敵な「ネタ探し」ができるよう、おのれの新陳代謝にこれから一緒に努めていきましょうね!

ま・と・め♡

というわけで、今回は「自虐」や「笑い」について、他人事ではない感じで向き合わせてもらうことになりました。

いやぁ、なんだか普段の自分の振る舞い、ちょっとしっかり反省したわ。笑

あたしもいろんな側面で、自分自身の「アップデート」を怠らないようにしたいなぁと、そう改めて思いました。
みんなもどんどん価値観、新しいものにしていきましょ!

ではでは、今回はこのへんで。
また次回、Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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