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キャッシュレス時代こそ要注意!災害時に役立つ「お金の備え方」

  • 2025.10.28

いまや多くの人が日常的にキャッシュレス決済を利用しています。コンビニでもスーパーでも、スマホをかざすだけで支払いが完結し、クレジットカードや電子マネーをメインに使う人も増えました。小銭を持ち歩く機会が減り、「財布を持ち歩かなくなった」という人も少なくないでしょう。
しかし、災害が起きると、その便利さは一変します。普段は頼りきっているキャッシュレス決済が、いざというときにはまったく役に立たない場面に直面するかもしれません。

キャッシュレスが使えない非常時に気づいたこと

2019年の令和元年房総半島台風で被災した際、私の住む地域では長時間にわたる停電が発生しました。昼間でも電気がつかず、夜は真っ暗。そんな状況の中で、近隣のお店がようやく営業を再開してくれましたが、レジのシステムは動かず、支払いは「現金のみ」。普段はキャッシュレス派の私も、このときばかりは財布に残っていた現金に助けられました。もし現金がなかったら、必要な食料や飲み物を手に入れることすらできなかったかもしれません……。

停電や通信障害が発生すると、電子マネーやクレジットカードは利用できません。ATMも停止してしまうため、銀行から現金を引き出すこともできなくなります。災害時には自動販売機も動かないケースが多く、キャッシュレスではどうにもならない現実に直面します。便利さに慣れきっている人ほど、「いざという時にお金が使えない」という事態に陥りやすいのです。

どのくらいの現金を備えておくべき?

では、実際にどのくらいの現金を用意しておくのがよいのでしょうか。災害時にはライフラインや物流の復旧に時間がかかります。水や食料、日用品を購入する必要が出てくることを考えると、最低でも1週間程度は手元の現金でやりくりできるよう備えるのが現実的です。

目安としては、1世帯あたり2万円程度が安心です。大きな買い物をするためではなく、日々の生活を回すための現金と考えると、このくらいの額がちょうどよいと感じます。さらに重要なのは、すべてを一箇所にまとめるのではなく、複数の場所に分散しておくことです。自宅の防災バッグ、普段持ち歩くポーチや財布、そして車の中。どこで被災しても取り出せるように備えておけば、いざという時の安心感が違います。

備え① 日常的に少額の現金を持ち歩く

普段まったく現金を持ち歩かない生活は、災害時に非常に危険です。たとえ千円札数枚でも、手元にあるのとないのとでは大きな差があります。特に災害時には、お店側がお釣りを用意できなくなることがあるため、五千円札や一万円札では使いにくく、千円札の存在が大きな意味を持ちます。

私がおすすめしているのは、千円札を2〜3枚と、小銭を少し持ち歩くことです。スマホケースのポケットや、普段持ち歩いているポーチの中に入れておくと、いざという時に役立ちます。さらに小銭は、公衆電話で家族に連絡する際に便利。携帯電話が使えない状況に備え、公衆電話用の10円玉を数枚入れておくと安心です。

また、この現金は「非常用」として意識して持つことが大切です。日常の買い物でうっかり使ってしまわないよう、あえて取り出しにくい場所にしまっておくとよいでしょう。

備え② 防災バッグに「災害用の財布」を準備

防災用品のひとつとして、現金をまとめた「災害用の財布」を用意しておくことも欠かせません。中には、千円札を中心にした現金2万円程度と、100円玉や10円玉などの小銭を入れておきます。さらに、保険証や運転免許証、マイナンバーカードなどのコピーをセットにしておくと、避難所での本人確認や医療手続きにも役立ちます。乳幼児がいる家庭では、母子手帳のコピーも入れておくと安心です。

この「災害用財布」は特別な財布でなくても構いません。ジッパー付きの食品用保存袋でも十分機能します。防水性があるため、大雨や水害の際も安心です。もちろん、市販の耐火・防水ポーチであればより安全性が高まります。

私自身は透明の袋に「現金」「身分証コピー」「緊急連絡先メモ」をまとめて入れ、防災バッグに常備しています。実際、避難所生活では身分証が必要になる場面が多く、現金と一緒に備えておくことの大切さを実感しました。さらに、子ども用の防災ポーチにも最低限の現金と身分証コピーを入れています。どこで被災するか分からないのが災害の怖いところ。保護者と離れた状況でも子どもが安心できるよう、備えを工夫しています。

備え③ 車にも現金を備えておく

災害は自宅にいるときだけでなく、外出中や移動中に起こることもあります。そのため、車の中に少額の現金を備えておくことも大切です。

特に役立つのは小銭です。自動販売機やコインパーキングなど、現金でしか対応できない場面は日常生活でも多くありますが、災害時にはなおさら現金の重要性が増します。

私は100円ショップで購入した小さなコインケースに500円玉や100円玉を入れ、ダッシュボードに常備しています。合計で約3,000円程度。ちょっとした買い物や緊急時の支払いには十分な額です。

ジッパー付き袋に小銭を数枚入れておくだけでも、いざという時に安心につながります。車を使う機会が多い方は、ぜひ取り入れてみてください。

キャッシュレス派こそ「現金」を忘れずに

キャッシュレス決済は私たちの生活をとても便利にしてくれる一方で、停電や通信障害が起こるとまったく使えなくなる弱点を持っています。だからこそ、現金を備える習慣はこれからの時代ますます重要になります。

普段から千円札を中心に少額の現金を持ち歩くこと。防災バッグには「災害用の財布」を準備しておくこと。そして車にも小銭を備えておくこと。この3つを意識するだけで、災害時の安心感は大きく変わります。

「普段は使わないから大丈夫」と思うかもしれませんが、いざという時、手元に現金があるかどうかで行動の選択肢は大きく広がります。キャッシュレス時代だからこそ、今一度「現金の備え」を見直してみてはいかがでしょうか。

<執筆者プロフィル>
海老原葉月
ライター、整理収納アドバイザー1級
13歳、10歳、1歳の三兄弟を子育て中。東日本大震災、令和元年房総半島台風にて被災した経験から、防災に関する情報を発信。

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