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“花からボトルまで”シャネル N°5フレグランスづくりの舞台裏へ。出口夏希さんとJURIN(XG)さんが原点をたずねグラースへ

  • 2025.10.24

シャネルは9月にフレグランスのキー香料であるジャスミンの開花にあわせて、南仏コートダジュールの香水づくりの聖地、グラースに広がるシャネルの専用農園でイベントを開催しました。各国のジャーナリストやセレブリティに加え、日本からは出口夏希さんとJURIN(XG)さんが参加しました。


シャネル フレグランスの卓越したサヴォアフェールを紡ぐ55の情熱

これまでシャネル N°5にまつわる様々エピソードが語られてきましたが、今回のイベントでシャネルがスポットライトを当てたのは、香りづくりを支える比類なきサヴォアフェールと、各工程に携わる人々が織り成すバリューチェーン。

シャネル N°5の主役であるジャスミンの収穫期にあわせ、“花からボトルまで”をキーワードに、複雑な過程の奥深さと、クリエイションに携わる55人の声をグローバルに、そして隈なく紹介しました。


特に話題となったのは、シャネルのフレグランスに携わる55人の声を一堂に集めた「55 VOICES」。55人が抱くフレグランスづくりへの情熱や仕事道具などもお披露目。「55 VOICES」を通じて、シャネルは目に見えぬ職人たちの技を称えます。

調香師、化学者、文化遺産保全管理者、コンサルタント、アーティスティック ディレクター、摘み手など、グラース、パリ、コンピエーニュ、パンタンで、それぞれが独自の方法でシャネルのフレグランスを生み出す一助となっているのです。


フレグランス界に革命を巻き起こしたシャネル N°5

誕生以来およそ100年以上にわたり世界中の女性を虜にし続けているシャネル N°5。

1921年フレグランスをつくるにあたり、ガブリエル シャネルはたったひとつの花を表現することを拒み、初代調香師エルネスト ボーに依頼したのは“ドレスと同じよう、人の手が紡ぎだすクリエイション”でした。彼女が求めたのは、“女性そのものを感じさせる、女性のための香り”だったのです。

そしてボーは80種以上の香料が織りなす香りのブーケで、贅沢な花々(ローズ ドゥ メ、ジャスミン、イランイラン、サンダルウッドなど)に史上初となる合成香料のアルデヒドを大胆にも配合し、シャネル N°5が生まれました。


ネーミングとボトルも当時の習慣を打ち破りました。それまでの華美なネーミングではなく、リファレンスナンバーだった数字「5」をそのまま採用したと伝えられる一方、記号や象徴というものに興味をもっていたガブリエルが、自らのラッキーナンバーを採用したという説も。また、ボトルはシンプルで角に丸みを帯びたデザインは薬品ボトルを彷彿させ、当時の人々にとってはこの上なく斬新なものでした。

シャネル N°5の誕生は香りの革命だったのです。

誕生からおよそ100 年を経てもなお、シャネル N°5がたたえる魅力とモダニティは、シャネルの歴代の専属調香師たちによって引き継がれています。現在では、専属調香師をつとめるオリヴィエ ポルジュによって、シャネル N°5はそのオリジナリティが忠実に守られながらも、その存在を時代に合わせて鮮やかに蘇らせています。


“花からボトルまで”の工程をすべて自社で行う唯一のブランド

今回のイベントが行われたグラース。18世紀に肥沃な土壌と山に囲まれた局所的な微気候がデリケートな花の栽培に適しているため、調香師たちは拠点とするようになりました。

ガブリエルが調香師ボーに調香を依頼した際の唯一の条件は“最も美しい原料を使うこと”。そこで彼が選んだのは“グラースのジャスミン”と呼ばれる特別なジャスミン。フレッシュかつ官能的で、他の成分に左右されずに安定した香りを放つ花です。それ以来、シャネル N°5にはグラースのジャスミンが使用されています。

地域開発の影響でグラースでのジャスミン栽培が脅かされると、3代目シャネル専属調香師ジャック ポルジュは大手農園、ミュル家とパートナーシップを結び原料確保に成功。さらに、収穫された新鮮な花々のクオリティを最大限に活かしてエッセンスを抽出できるよう、工場を敷地内に設けました。


シャネル N°5がつくられる舞台裏へ。花摘み、試香、そしてエッセンス抽出の工場へ

小ぶりで可憐な白い花、ジャスミンは夜の間に咲くことから、星の花とも呼ばれます。また5つの花びらも星を思わせるでしょう。

出口夏希さんとJURIN(XG)さんは早朝に花畑に出向き花の手摘みを体験。ジャスミン畑が一面に広がる敷地では、ジャスミンの濃厚な香りが立ち込みます。バスケットを持ち細心の注意を払いつつ、全開している花のみを選び指で花全体を覆うようにして丁寧に摘んでいきました。


そして、専属調香師 オリヴィエ ポルジュによるセッションでは、複数のジャスミンの香りのバリエーションやローズ ドゥ メ、ローズ ゼラニウムなど様々な花のエッセンスを試し、シャネル N°5がいかに特別かの話に聞き入りました。


その後は摘みたてのジャスミンが集まってくる軽量所や、収穫された花の新鮮さと品質を担保するために畑に隣接するエッセンスを抽出する工場など、シャネル N°5が生まれる工程を見学。


最後には、シャネルは参加された皆さんにサプライズのギフトをご用意。香りづくりに関わる55人のポートレートと言葉をまとめたポスター、ポッドキャスト、シャネルの卓越したサヴォアフェールを支える道具に焦点を当てた冊子などが詰め込まれた特別なボックスです。

あまりに奥が深い、シャネル N°5。複雑な工程を経て完成されるシャネルのドレスやアクセサリー同様、シャネル N°5にもサヴォアフェールや作り手の想いが込められていることに触れることができた、貴重なイベントとなりました。

写真提供=CHANEL

web edit : KIMIE WACHI

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