1. トップ
  2. グルメ
  3. フェアモント東京──都市の躍動と水辺の静けさを宿す滞在型リトリート

フェアモント東京──都市の躍動と水辺の静けさを宿す滞在型リトリート

  • 2025.10.21
2025年7月、ブルーフロント芝浦のタワーS内に初上陸。1階、4階および35階~43階に位置する。
2025年7月、ブルーフロント芝浦のタワーS内に初上陸。1階、4階および35階~43階に位置する。

2025年夏、世界中に90を超えるラグジュアリーホテルを展開するフェアモントホテル&リゾートが日本初上陸を果たした。フェアモント東京は、芝浦の⼤規模複合施設「ブルーフロント芝浦(BLUE FRONT SHIBAURA)」の「タワー S(TOWER S)」の⾼層階に位置し、西に東京タワー、東に東京湾を望む。銀座、麻布、六本木など都心へのアクセスに恵まれる一方で、海を近くに感じるウォーターフロント独特の雰囲気を持つ稀有なロケーションにある。浜松町駅から徒歩6分という都心にありながら、喧騒から切り離され、洗練をきわめた非日常の世界が体験できるのだ。

初めてこのホテルを訪れたのは8月。以来、すでに2度ほど足を運んでいるが、10月の再訪の時には、開業したての慌ただしさは落ち着き、あたかもこの場所でずっと営んできたかのように、芝浦という地にすっかりなじんでいるように感じられた。

フェアモント東京のスタッフの一員、セリーン。1階ロビーで、最高ハピネス責任者としてゲストを温かく迎える。
フェアモント東京のスタッフの一員、セリーン。1階ロビーで、最高ハピネス責任者としてゲストを温かく迎える。

館内に足を踏み入れると、まず出迎えてくれるのがラブラドールレトリバーのセリーン。すっかり有名になった彼女だが、ホテルの“最高ハピネス責任者”として、ゲストの到着を穏やかに歓迎してくれる。ホテルの空気に自然に溶け込み、ラグジュアリーの中にもどこか自宅に招かれたような温もりを感じさせる。そんな彼女の存在も、フェアモントが大切にするホスピタリティの哲学である “ラグジュアリーでありながら、心に触れる優しさ”を象徴している。

35階にありながら、窓の外に緑豊かなテラスが広がるレセプション。自由に座れるチェアやソファーが用意され、ゆったりとくつろぐことができる。
35階にありながら、窓の外に緑豊かなテラスが広がるレセプション。自由に座れるチェアやソファーが用意され、ゆったりとくつろぐことができる。

エレベーターで35階へと上がると、そこに広がるのは広々としたメインロビー。大きく開かれた窓には、都心と東京湾の絶景が広がっている。この眺望の素晴らしさを表現するのはなかなか至難だが、一瞬で都市の喧騒を忘れさせてくれることだけは確かだろう。

41、42階の客室(フェアモントゴールド)とすべてのスイートルームの宿泊者が利用可能な42階「フェアモントゴールド ラウンジ」。
41、42階の客室(フェアモントゴールド)とすべてのスイートルームの宿泊者が利用可能な42階「フェアモントゴールド ラウンジ」。

インテリアデザインは、メルボルンを拠点とするデザインスタジオBAR Studioが手がけた。パークハイアットニセコでも話題を呼んだ彼らのデザインは、ここでも“都心のエネルギー”と“湾岸の静けさ”という相反するコンセプトを見事に融合させている。35階のメインロビーでは、どこにいても開放感にあふれる窓から、壮大な景色を観ることができる。特筆すべきは、広々とした屋外テラスを東西に有し、高層階にも関わらず室外に出て絶景を望めることだ。ガラス越しに眺望を楽しめるホテルは都内にいくつもあるが、オープンエアの爽快感は格別だ。時間帯によって移り変わる景色を、風を感じながら過ごす体験は贅沢で、このためだけに何度でも訪れたいほどだ。

「フェアモント 東京タワービュー(ツイン)」。もっともコンパクトな客室でも52㎡のゆとりある広さ。
「フェアモント 東京タワービュー(ツイン)」。もっともコンパクトな客室でも52㎡のゆとりある広さ。
36~42階のコーナーに位置する「フェアモントゴールド スイート」。東京湾や東京タワーの圧巻の眺望が楽しめる。
36~42階のコーナーに位置する「フェアモントゴールド スイート」。東京湾や東京タワーの圧巻の眺望が楽しめる。

客室はすべて36階以上に位置し、全217室のうち29室がスイートルーム。最もコンパクトな部屋でも52㎡という贅沢な設計で、柔らかな色調のセン材や石英岩を基調に、真鍮のディテールが品のあるアクセントを添える。縁側を思わせる窓際のシーティングエリアは、東京のスカイラインを眺めるのに最適な場所だ。導線が緻密に計算されていて、実際の広さ以上のゆとりを感じた。ビジネスユースへの配慮も行き届いていて、高さや硬さまで緻密に調整されたデスクやソファが思いのほか快適だった。世界中から訪れる多彩なゲストが、ここでどう過ごすのかをとことん追求した、細やかな配慮こそが、滞在の快適さを大きく左右する。

フレンチと和の2種類のアフタヌーンティーが好評の35階ロビーラウンジ「ビュメール」。
フレンチと和の2種類のアフタヌーンティーが好評の35階ロビーラウンジ「ビュメール」。

食も充実していて、館内には異なるコンセプトを持つ5つのレストランと2つのバーが揃い、食においても都内有数のレベルの高さだ。「キルン& トニック」は、薪窯料理を中心にしたオールデイダイニング。オープンキッチンの臨場感を味わいつつ、素材の香ばしさを引き出したピザや新鮮な魚介のアクアパッツァに舌鼓をうつ。

本格的な薪窯で仕上げるアクアパッツァや薪焼きピザがシグネチャー。35階のオールデイダイニング「キルン&トニック」。
本格的な薪窯で仕上げるアクアパッツァや薪焼きピザがシグネチャー。35階のオールデイダイニング「キルン&トニック」。
「キルン&トニック」の屋外テラス。大空の下でのパノラマビューは格別。
「キルン&トニック」の屋外テラス。大空の下でのパノラマビューは格別。

「燈辻(とつじ)」は鉄板焼き、「みぎわ」は鮨、それぞれ限定6席のカウンターが用意され、目の前の夜景を独占しながらのしながらいただくディナーには、広々としたダイニングスペースで味わう食事とはまた違った特別感がある。最上階43階のスペシャリティ バー&レストラン「ドリフトウッド」では、オムライスやコロッケなど懐かしい日本の洋食を再解釈した、遊び心にあふれるメニューが楽しめる。

6席のみのカウンターで、丹念に仕事した江戸前鮨が味わえる36階の鮨「みぎわ」。
6席のみのカウンターで、丹念に仕事した江戸前鮨が味わえる36階の鮨「みぎわ」。
オーセンティックな「ドリフトウッド」のバー。日本のバーテンダーの卓越した技術を生かしたオリジナルカクテルも提供。
オーセンティックな「ドリフトウッド」のバー。日本のバーテンダーの卓越した技術を生かしたオリジナルカクテルも提供。
日本の立ち飲み文化を体現できる43階スタンディングバー「ヨイ ト ヨイ」。
日本の立ち飲み文化を体現できる43階スタンディングバー「ヨイ ト ヨイ」。

スタンディングバー「ヨイ ト ヨイ」は、立ち飲み文化を取り入れたカジュアルな空間で、こだわりの日本酒やハイボールなどが楽しめる。シークレット リスニングバー「オフレコード」は、詳細は“お楽しみ”ということで伏せておくが、実は扉を探すところから始まる知る人ぞ知る特別なバーだ。無事に通り抜けられれば、扉の向こうには約450枚以上のレコードと希少なスピリッツが揃う、感度の高い大人たちのための空間が待っている。

多彩なジャンルのレコードをHi-Fiサウンドシステムで満喫できる43階のシークレット リスニングバー「オフレコード」。
多彩なジャンルのレコードをHi-Fiサウンドシステムで満喫できる43階のシークレット リスニングバー「オフレコード」。

フェアモントといえば、1907年、サンフランシスコで誕生して以来、100年以上にわたって世界の王族や著名人を迎えてきた。国連憲章の草案が交わされたフェアモント サンフランシスコ、ジョン・レノンとオノ・ヨーコが「ギブ ピース ア チャンス」を録音したフェアモント ザ クイーン エリザベスなど、歴史の舞台となったホテルは数知れない。そのレガシーは、土地の文化と深く結びつき、唯一無二の体験を提供するという哲学に貫かれている。

フェアモント東京は、その精神を受け継ぎ、芝浦という土地の記憶と未来を織り込んだ象徴的なデスティネーションとして誕生した。アートに触れ、音楽に浸り、美食に酔い、そして心をほどくホスピタリティに出会う——フェアモントが、芝浦という地でどんなヒストリーを創り上げていくのか、これから楽しみだ。

3種類のシグネチャートリートメントをはじめ、心と身体に寄り添う包括的なウェルネスジャーニーを提供する35階「フェアモントスパ」。
3種類のシグネチャートリートメントをはじめ、心と身体に寄り添う包括的なウェルネスジャーニーを提供する35階「フェアモントスパ」。
港区のシンボル・バラ、日本の国花・サクラなどからインスピレーションを得た極上の香りに包まれる120分間の「デスティネーション」コース。
港区のシンボル・バラ、日本の国花・サクラなどからインスピレーションを得た極上の香りに包まれる120分間の「デスティネーション」コース。

フェアモント東京

東京都港区芝浦1-1-1 BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S

Tel./03-4321-1111

料金/1室1泊127,600円~ ※2025年10月現在

https://www.fairmont.com/ja/hotels/tokyo/fairmont-tokyo/

Text: Yuka Kumano

READ MORE

元記事で読む
の記事をもっとみる