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「自分の直感を信じる」吉田羊が語る【人生の正解とは?】|40代インタビュー

  • 2025.10.1

現在公開中の映画『遠い山なみの光』で物語のキーパーソン、イギリス時代の悦子を演じている吉田羊さん。役作りでは語学学習に励み、撮影先のイギリスではクランクイン前からホームステイをして語学力をさらに磨いたそう。作品に対する想い、そして分の人生を前向きに、自分らしく生きる秘訣を伺いました。


映画『遠い山なみの光』出演。滞在したイギリスが愛すべき場所に

シャツドレス22万3300円(ロエベ/ロエベ ジャパン クライアントサービス) パンツ(スタイリスト私物)

物語のキーパーソン、イギリス時代の悦子を演じる

全国公開中の映画『遠い山なみの光』では、1950年代の長崎と1980年代のイギリスを生きる3人の女性が描かれている。吉田さんは、物語のキーパーソンであるイギリス時代の悦子を演じた。
「この映画のオーディションのお話をいただいた時、悦子は長崎で被曝した女性という設定だったので、わたしの父も長崎生まれで5歳の時に被曝をしていたというルーツに特別なご縁を感じずにはいられませんでした。だから、わたしにしか抱けない思いを役にいかしたい、と願ったのです。今年は戦後80年という節目の年です。この物語の根底に流れているのは、戦争、原爆、女性の生き方、親子、夫婦のあり方など、現代人にも共通するテーマです。映画を観た方が心に残ったものをそれぞれにそっとお持ち帰りいただければ、とてもうれしいです」

撮影半年前から語学学習に励み、現在もコツコツ継続

悦子は英語を話す役なので、撮影に入る半年くらい前からコーチをつけて語学学習に本腰を入れて取り組んだ。その甲斐あって、実際に現場に入った際は、英国チームのスタッフに『よくがんばったね』と労いの言葉をかけられたそう。
「以来ずっと英語の学習を続けていて、今はネイティブの発音を耳から覚えるシャドーイングをやっています。長年英語を習得したいと思っていながらなかなかできなかったのは、毎日コツコツ、小さな成功体験を積み重ねるという習慣がなかったから。だから今は、5分でも10 分でもいいから、英語に触れることを日課にしているのです」

「イギリスは住みたいと思うくらい、大好きな場所のひとつに」

映画撮影の1ヶ月前からイギリス入りし、ホームステイで現地の暮らしを経験したことで、イギリスに特別な愛着を持つようになった。
「街を歩いていると、見ず知らずの人から 〝その服、格好いいね〞と声をかけられるのです。こっちも相手が素敵だったら、〝いや、あなたこそ素敵じゃない〞と、知らない者同士で褒め合う温かさがある。本当にお洒落し甲斐がある国ですよね。そういうふうに、相手が誰であれ、人種が何であれ、丸ごと受け入れる懐の深さみたいなものを感じられ、心が温かくなりました。あとは、食がイマイチという前評判があったのですが、実際は全然違って、フィッシュアンドチップスでさえお店ごとに特色があってとても美味しかったのです。移民が多いので、各国の本格的な料理が食べられるレストランが多く、食生活も充実していました。もはや住みたいと思うくらい、大好きな場所のひとつになりました」

シャツ49万5000円※予定価格、パンツ20万1300円(ともにドルチェ&ガッバーナ/ドルチェ&ガッバーナ ジャパン)

「結局人生は、自分自身で正解にしていくしかない」

自分の人生を前向きに、自分らしく生きようとしている読者の皆さんに伝えたい思いをたずねると、最後にこう話してくれた。
「人生において何かを決める時、自分の直感を信じるというのはとても大事だと思います。たとえばレストランでメニューを決めるなど、日常の小さなことから主体的な決断を積み重ねていけば、直感は鍛えられ、判断にかかる時間も短くなっていく。たとえ決断の結果が望まないものになったとしても、自分で決めたことなら納得できるし、建設的に次の手を考えられます。自分の判断を信じることは、自分自身のいちばんの味方になることでもあり、それが自信を形作っていく。その自信は、まわりから見ても気持ちのいいものだと思います。また、生きていく中で、反省や後悔がない人はいないとわかっていれば、自信を持って立っている人がふと弱さを見せた時に、失望するのではなく、心を寄せ合えるのではないでしょうか。結局人生は、自分自身で正解にしていくしかないですよね。この先も、続いていくのだから」

吉田羊さん出演『遠い山なみの光』

©2025 A Pale View of Hills Film Partners

【Story】
作家を目指すニキは、母・悦子の語る戦後の長 崎の物語に秘められた嘘に気づき、いつしか思いがけない真実に辿り着くのであった。カズオ・イシグロの長編デビュー小説を遂に映画化!

TOHOシネマズ日比谷他にて全国ロードショー
配給:ギャガ

よしだよう 2月3日生まれ、福岡県出身。1997年、舞台 を中心に俳優活動を開始し、2015年の『映 画 ビリギャル』他で、第58回ブルーリボン賞 助演女優賞、同作で第39回日本アカデミー 賞優秀助演女優賞を受賞。近年はTBSドラマ 『不適切にもほどがある!』、NHK大河ドラマ 『光る君へ』など話題作に多数出演。

 

撮影=渡辺謙太郎 スタイリング=白幡啓〈LOVABLE〉 ヘア=道下大 メイク=佐々木貞江 取材・文=土谷沙織
※GLOW2025年10月号より

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