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『ミステリー&ホラー大賞受賞』の“大人気作品”映画化→思わず目を奪われる“Snow Manのメンバー”の快演

  • 2025.10.22
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【フジテレビドラマ「ブルーモーメント」発表】水上恒司 (C)SANKEI

映画『火喰鳥を、喰う』が10月3日より公開中だ。本作は第40回横溝正史ミステリー&ホラー大賞で大賞を受賞した原宏氏の同名小説が原作。『超高速!参勤交代』、『シャイロックの子供たち』などの本木克英監督が手掛けている。

水上恒司、山下美月、宮舘涼太(Snow Man)らが共演した作品の魅力について迫る。

1冊の日記から始まる怪異

物語の舞台となるのは信州のとある村。そこに暮らす久喜雄司(水上恒司)と夕里子(山下美月)のもとに、雄司の大伯父・久喜貞一の遺品である日記が届く。貞一は太平洋戦争末期に戦死したとされる彼の日記には、異様なほどの生への執着が書かれており、最後のページには「ヒクイドリ、クイタイ」という文字が。

最初は、ただ不気味さを感じさせるだけの日記だったが、日記が届いた日を境に墓石の損壊や祖父の失踪、日記に関わった人たちの身に異変が起こり始める。

思い悩んだ雄司と夕里子は、夕里子の大学の先輩・北斗総一郎(宮舘涼太)に不可解な現象の解明を依頼。北斗は超常現象専門家なのだ。しかし、実は北斗は夕里子に強い執着を持っていて……。

変容していく日常

とても仲が良い夫婦である雄司と夕里子。楽し気に一緒に食事を摂り、雨の日は夕里子が雄司を職場まで迎えに行ったり……冒頭で微笑ましい描写があるだけに、貞一の日記が届いてからの日常の変化は悲しくなってくるものがある。それほど、雄司と夕里子の関係は温かなものだった。

北斗が現れてからはさらに乱れていく。北斗と夕里子は共通した悩みを持っており、大学時代は親しい間柄だった。が、今は夕里子も、夕里子の弟・亮(豊田裕大)も北斗に嫌悪を抱いているのが見て取れる。ただ、弟にまで嫌われているということは、夕里子と北斗の関係の深さを示唆していることにもなるのだ。

もちろん、雄司も北斗に対してすぐさま嫌悪感を示す。怪異に対する姿勢についてもそうだし、夕里子への態度も夫としては苛立ちを感じるものなんだろう。次第に、日記以上に北斗の存在が違和感へと変わっていく。

思わず嫌いになりそうなキャラ作り

正直、想像以上に北斗が不気味である。夕里子が頼ったということもあって、最初は味方か? と思うのだが、ところがどっこい。すぐに「どうしてこんな奴に頼ったんだ?」と思わざるを得ない。

ねっとりとした喋り方、夕里子に向ける舐めるような視線、ちょっと芝居がかった動き……怪異よりも何よりも北斗から夕里子を引き離さなければ、と雄司は思ったに違いない。

宮舘涼太についてSnow Manのメンバーである、ということしか知らないイチ鑑賞者からするとこの配役は少しばかり驚き。勝手にもっとヒーロー的に立ち位置なのかと思っていた。

雄司と同じように「誰よりも何よりも北斗を遠ざけなければ!」気持ちにさせられたのは、宮舘の演技の勝利と言えるのかもしれない。ただ、見ているとだんだんと北斗がちょっとクセになってくるのもワナだ。

ホラーか? ミステリーか?

原作が横溝正史ミステリー&ホラー大賞を受賞しているということもあり、ホラーなのかミステリーなのか、と最初は思うのだが、これが悩ましいところ。ホラーというほど怖さがあるかというとそうでもないし、ミステリーの要素が強いかもしれない。

それ以上に強いのがラブロマンスだ。夕里子をめぐっての雄司、北斗の恋愛関係が見どころのひとつでもある。いや、雄司と夕里子は夫婦だし、北斗に対して夕里子は嫌悪感を持っているのだから、雄司の圧倒的勝利ではないか、と思うのだが、それが後半に向かうに従って変化していく。

夕里子の気持ちが揺らぐわけではないのに、この変化していくさまが一番ホラーと言えるかもしれない。「最終的に夕里子は誰と結ばれるのか」ということもこの物語の肝と言えるだろう。

そして、やはり一番怖いのは人間の感情だということも実感できるはずだ。


※記事は執筆時点の情報です