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25年前、日本中の胸を高鳴らせた“静かなる疾走感ロック” 新人バンドを開花させた“希望のミレニアムソング”

  • 2025.10.23

「25年前の深夜、どんな音が街を駆け抜けていたか覚えてる?」

2000年の冬、夜の街を照らすネオンの隙間から、妙に熱を帯びたリズムが聞こえてきた。インターネットもまだ不安定で、携帯の液晶は青白く光っていた時代。そんな中、テレビから鳴り響いたあるイントロが、若者たちの心を一瞬で掴んだ。

ポルノグラフィティ『ヒトリノ夜』(作詞:ハルイチ・作曲:ak.homma)――2000年1月26日発売

デビュー曲『アポロ』の勢いをそのままに、次なるステップへと踏み出した2枚目のシングルだった。

走り出した青春の音

アキヒト(現・岡野昭仁)の突き抜けるハイトーン、そしてハルイチ(現・新藤晴一)が描く都会的で少し尖った世界観。ポルノグラフィティの原点は、この曲の中にすべて詰まっていると言ってもいいかもしれない。

イントロから放たれるギターリフは、まるで夜の街をバイクで駆け抜けるようなスピード感。だがその疾走感の裏には、どこか孤独で、現実を見据える冷静さも潜んでいる。

彼らはこの曲で、単なる新人バンドの枠を越えた。勢いだけではなく、メロディラインの緻密さ、言葉の運び方、そして“聴き手の共感を掴む温度”を持っていたのだ。

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2011年、ラジオの公開生放送に出演したポルノグラフィティ(C)SANKEI

“GTO”とともに記憶された夜

『ヒトリノ夜』は、フジテレビ系アニメ『GTO』のオープニングテーマとして起用された。破天荒な教師・鬼塚英吉の物語と、この曲が持つ反骨的なエネルギーが見事に重なった。「自分らしく生き抜け」というメッセージを感じた若者たちは、曲が流れるたびに胸を高鳴らせた。

作曲を手がけたのは、音楽プロデューサーak.hommaこと本間昭光。彼の手腕は、ただのロックに終わらせない独特のポップ感覚にあった。ギターサウンドの中にも、メロディが際立つよう緻密に設計されており、アキヒトのボーカルを最大限に引き立てる構成が施されている。

デビュー曲『アポロ』の壮大さと比べると、『ヒトリノ夜』はよりタイトで、街の鼓動に近い。この対比が、ポルノグラフィティというバンドの“幅”を早くも印象づけたのだ。

青春の衝動と孤独のはざまで

この曲には、“若さの衝動”と“孤独の静けさ”が共存している。

叫ぶようなサビの裏で、どこか遠くを見つめるようなクールな視線がある。「勢いのまま進むしかないけれど、ほんの少しの寂しさを抱えている」――そんな心情を音が語っているようだった。

当時の日本は、ミレニアムを迎えたばかり。世の中が新しい時代への期待と不安に揺れていた頃だ。ポルノグラフィティの音楽は、その時代の空気を確実に吸い込み、若者たちの“心の代弁者”になっていった。

ここから始まる“ポルノらしさ”

『ヒトリノ夜』の次にリリースされたのは、『ミュージック・アワー』。この連続性こそ、彼らが単なるロックバンドではなく、“エンターテインメントとしての音楽”を追求する存在であることを決定づけた。

“熱さと冷静さ”、“疾走と遊び心”。この相反する要素が同居していることが、ポルノグラフィティの魅力の核。『ヒトリノ夜』は、その核が最初に形になった瞬間だった。

夜の街で、今も鳴り響く

25年経った今も、『ヒトリノ夜』を聴くと、不思議と胸の奥がざわつく。それは単なる懐かしさではなく、「何かを始めたくなる衝動」に近い感覚だ。音の粒ひとつひとつに、当時の熱と希望が閉じ込められている。

深夜のコンビニの明かり、ヘッドホンから漏れるサウンド、仲間と語り合った帰り道――そのすべての記憶に、この曲が寄り添っていた。

ポルノグラフィティが放った“夜明けのロック”。それは、2000年という時代を鮮やかに切り裂いた、希望の音だった。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。