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30年前、伝説バンドの世界観を打ちつけた“心が踊るのにどこか切ない”ドキドキソング

  • 2025.10.22

「30年前、あなたは学校帰りにどんな音楽を聴いていた?」

1995年の秋。街のショップからは色鮮やかなファッションが溢れ、CDを手にした若者たちが、それぞれのプレイリストで日常を彩っていた。そんな時代に、まるで風船のように軽やかで、しかし胸の奥をやさしく揺らすような一曲が生まれる。

JUDY AND MARY『ドキドキ』(作詞:YUKI・作曲:恩田快人)――1995年10月21日発売

耳にした瞬間から笑顔がこぼれるような、ポップの魔法をまとった楽曲は、誰もが心の奥に眠らせていた「無邪気なときめき」を呼び覚ました。

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コンサートツアー『THE POWER STADIUM DESTROY’97』より(C)SANKEI

JUDY AND MARYという存在感

1990年代を象徴するバンドのひとつ、JUDY AND MARY。YUKIの透明感のあるボーカルと、メンバーによるキャッチーな楽曲センスは、同時代のバンドシーンの中でも際立っていた。『ドキドキ』は彼らにとって通算8枚目のシングルであり、アルバム『MIRACLE DIVING』へと繋がる重要な時期の作品でもある。

YUKIによる詞は、少女の心をそのまま映したような言葉選びで、音に乗った瞬間に“永遠のポップス”へと変貌する。作曲を手がけた恩田快人のメロディは、明るさの奥にどこか懐かしさを残し、「懐かしいのに新しい」というJUDY AND MARY独自の世界観を強く印象づけた。

心を跳ねさせるポップの魔法

『ドキドキ』の最大の魅力は、やはりそのサウンドの愛らしさにある。軽やかなギターリフ、弾むようなリズム、そしてYUKIの声が合わさることで、聴き手の心臓をまさに“ドキドキ”させる。

ただ可愛いだけではなく、バンドとしてのエネルギーが詰まっているのも特徴的だ。スピード感のある演奏が疾走する一方で、メロディラインは甘くやさしい。矛盾するような二つの要素が混ざり合うことで、「聴けば自然と笑顔になるのに、どこか切なさが残る」という絶妙なバランスを作り出している

セールスと時代の空気

『ドキドキ』は発売後、じわじわと支持を広げていき、最終的にクォーターミリオン(25万枚)を超えるセールスを達成した。この数字は、当時のバンドシーンにおいても決して小さなものではない。むしろ、アイドルやドラマ主題歌がランキングを賑わせる中で、純粋に音楽の力で愛された“ポップの宝石”だったと言えるだろう。『ドキドキ』が放った存在感は、派手さよりも「聴く人をやさしく包む力」だった。

いまも胸に響く“ドキドキ”

振り返れば、あの頃の音楽は日常と分かちがたく結びついていた。部屋のステレオから流れてきた音、友達とシェアしたCD、テレビの音楽番組で耳にした初めての衝撃。『ドキドキ』は、そんな“90年代の記憶”をまるごと抱きしめている。

そして今もなお、この曲を聴くと心が軽くなる。大人になって忘れてしまったはずの小さなときめきが、ふと胸の奥から顔を出す。音楽は時を超えて、人の心をやさしく揺さぶる力を持っている。

1995年の街を彩った『ドキドキ』のポップな魔法は、これからも消えることなく、私たちの耳と心に寄り添い続けるのだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。