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「想像できない」朝ドラでも活躍中の国民的人気女優、“ほぼスッピン”で挑んだ衝撃作『ナイトフラワー』

  • 2025.11.24

第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞と最優秀主演男優賞(草彅剛)を受賞した、内田英治監督作『ミッドナイトスワン』から5年。内田監督自ら“真夜中シリーズ”と銘打つ待望の最新作『ナイトフラワー』は、国民的人気俳優・北川景子を主演に迎えた衝撃作。北川は、愛する子どもたちのために、犯罪に手を染めることもいとわない母親を熱演している。本作は、第38回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門に公式出品され、ワールドプレミア上映された。

SNSには「北川景子さんが売人って」「いつもの彼女から想像できない衝撃的な役柄」「実力派俳優陣の演技力にも期待」といった声が上がっている。

映画『ナイトフラワー』

借金苦で生活に困り、追い詰められ八方塞がりとなった母親が、ドラッグの売人になる道を選ぶ映画『ナイトフラワー』。本作は、2人の子どもと親友と共に幸せを求め、暴走していく主人公を描くヒューマンサスペンス作品だ。

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(C) 2025「ナイトフラワー」製作委員会
ストーリー
借金取りに追われ、二人の子どもを抱えて東京へ逃げてきた夏希は、昼夜を問わず必死に働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子どもたちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。そんな夏希の前に現れたのは、孤独を抱える格闘家・多摩恵。夜の街のルールを何も知らない夏希を見かね、「守ってやるよ」とボディーガード役を買って出る。タッグを組み、夜の街でドラッグを売り捌いていく二人。ところがある女子大生の死をきっかけに、二人の運命は思わぬ方向へ狂い出す――。
出典:『ナイトフラワー』

“最近大変な母親役しかしてない”北川景子

子どもを守るためなら何でもするという“覚悟”を、魂を削るように演じ上げ、俳優としてさらに幅を広げた北川。2025年4月期のドラマ『あなたを奪ったその日から』では、食品事故で子どもを失い、事故を起こした会社の社長の3歳の娘を誘拐する母親を演じたことも記憶に新しい。さらに、現在放送中のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』でも、姫のような生活から一転、全財産を失い、息子と2人で生きていくために、物乞いに身を落とす母親に扮した。北川自身、SNSに「最近大変な母親役しかしてない」と投稿しているが、これまでの役柄とは一線を画す演技を必要とする作品が続いている。

中でも、『ナイトフラワー』ではドラッグの売人になる母親という、究極とも言えるキャラクターに挑戦している北川。彼女が演じる夏希は、小学生の娘と、まだ幼い息子を抱え、昼はパート、夜はスナックと仕事を掛け持ちしながら必死に働くも、日々食べるものにさえ困るようなギリギリの生活が続いている。

夏希の娘にはバイオリンの才能があり、伸ばしてやりたいが、月謝を払う余裕がない。ある日、夏希は娘が商店街の一角でバイオリンを弾き、お金を求めているのを見てしまう。その姿に胸を痛めると同時に、疲弊する出来事が重なった矢先、夏希はたまたまドラッグの密売現場に遭遇。そこから、薬物売買の世界というものを知っていく。

その世界は決して甘くないということが、思わず目を覆いたくなる描写の連続で綴られている。ほぼスッピンで夏希を演じている北川は、殴られて血まみれになる演技にも挑んでおり、改めて彼女の覚悟を実感した。

7キロ増量して役に臨んだ森田望智

そんな夏希を見かね、ボディーガードになってあげるから、一緒にドラッグビジネスをやろうと持ち掛けるのは、森田望智が演じる格闘家の多摩恵。森田は、半年に及ぶトレーニングで7キロ増量し、プロも絶賛する見事な格闘シーンを披露している。朝ドラ『虎に翼』の専業主婦役や、映画『火喰鳥を、喰う』の記者役などを演じていた人と同一人物とは思えないほど、強くて逞しい、そしてかっこいい格闘家の多摩恵になり切っている森田。2027年度前期の朝ドラ『巡るスワン』(脚本・バカリズム)の主演に選ばれたことも発表され、今後の活躍も楽しみだ。

多摩恵は孤独を抱えていたが、夏希と出会って心を開き、彼女の子どもたちとも親しくなっていく。やがて、2人は運命共同体のようになり、危険を顧みずに突き進む。夏希と多摩恵と子どもたちの笑顔のシーンが心に響き、彼女たちが幸せになることを願わずにはいられない。

佐久間大介と渋谷龍太の演技にも要注目

多摩恵に想いを寄せる幼なじみの海を演じているのは、Snow Manの佐久間大介。多摩恵を幸せにしたいと願いながらも、闇社会の組織に身を置く海にとって、“普通の幸せ”を手に入れるのは容易ではない。

多摩恵を一途に想う様子を体現している佐久間の好演は、ハードな描写が多い本作の中で、心が温かくなるひと時を与えてくれる。優しくて思いやりがある海の愛情が、佐久間の演技からたっぷりと伝わってくる。

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(C) 2025「ナイトフラワー」製作委員会

そんな海を配下に置き、夜の街を仕切っている麻薬密売の元締め・サトウ役は、SUPER BEAVERの渋谷龍太。サトウは凄みのある“ボス”だが、母親というものをリスペクトしており、ドラッグの売人になりたいという夏希が母親だと知ると、表情が和らぐ。闇社会で生きる怖く冷たい面と、母親への愛を抱いている温かい面、その両方を渋谷が表現し、本作が俳優デビューとは思えないオーラを放っている。

何度も観たくなる映画

実生活でも2人の子どもを持つ母親の北川。夏希役は、普段の彼女のイメージとは大きく異なるが、本作の中でも子どもたちへの溢れる愛や、育児をする姿は、北川自身と共通していると感じる。

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(C) 2025「ナイトフラワー」製作委員会

夏希がドラッグの売人になる決心をするのも、子どもにより良い生活をさせたいからだし、家族同然の存在となる多摩恵も含め、4人で幸せになりたいと、夏希が切望する気持ちは痛いほど伝わってくる。

東京国際映画祭で本作を鑑賞した人は、SNSに「最後の最後まで気の抜けない、息を詰めて見守るような感覚で惹き込まれた」「登場人物全員の描き方が細やか」「それぞれの立場で考えるとまた違った世界が見えて、何度でも観たくなってしまう」といった感想を投稿している。

本作のラストをどう捉えるかは、観る人によって違うかもしれないが、夏希と多摩恵と子どもたち、そして海の行く末を、ぜひ劇場で見届けてほしい。


出典:
@KKeiko_official 北川景子/ Keiko Kitagawa 公式X(2025年6月16日投稿)

『ナイトフラワー』2025年11月28日(金)全国公開
出演:北川景子、森田望智、佐久間大介(Snow Man)、渋谷龍太、渋川清彦、池内博之、田中麗奈、光石研
原案・脚本・監督:内田英治
製作:「ナイトフラワー」製作委員会
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/nightflower
(C) 2025「ナイトフラワー」製作委員会

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(C) 2025「ナイトフラワー」製作委員会

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP