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「今年の邦画は豊作」「当たり年」17年前の"大ヒットソング"から誕生、“2025年・年明け”話題をあつめた感動映画

  • 2025.12.5

2008年に発表されて以来、叶わぬ恋を歌った失恋ソングとして愛され続けるHYの『366日』。2024年には、同曲に着想を得た同名ドラマ(フジテレビ系)も放送され、そして2025年1月に同曲からインスパイアされたまったく新しいオリジナルラブストーリーが映画『366日』として公開された。

『国宝』『8番出口』『爆弾』など、数々のヒット作が生まれ、「今年の邦画は豊作」「当たり年」とSNSでも言われる2025年。その幕開けに大きな話題を集めた映画『366日』の魅力に迫る。

予想だにしない展開が胸を締めつける!

今年1月10日に公開された映画『366日』は公開4週目に観客動員ランキング第1位を獲得し、累計観客動員数200万人、興行収入25億を突破する大ヒットを記録している。さらに、ハリウッドの制作会社がリメイク権を獲得。日本のみならず、台湾、韓国でも公開され、大きな爪痕を残した。

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赤楚衛二 (C)SANKEI

赤楚衛二が主演を務め、ヒロインは上白石萌歌が演じている。二人は、2023年4月期放送のTBSドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』で共演。今作では、思いを寄せる恋人役を演じ、それぞれの20年間の人生を演じ切っている。

2003年、沖縄に住む高校生・湊(赤楚衛二)は、同じ高校の後輩・美海(上白石萌歌)と出会う。音楽がつないでくれた縁がきっかけで2人は自然と惹かれ合っていった。MDで音楽を伝えあったり、CD店で一緒に視聴したり、仲を深めていく高校時代の2人の日々が爽やかでまぶしい。

湊の高校の卒業式の日に、2人は、付き合うことに。音楽を作る夢のために、東京の大学に進学する湊を追い、2年後、上京して大学に進学した。東京での2人の生活は、キラキラと輝いていて、とても微笑ましく映し出される。だが、音楽会社に就職した湊が忙しい日々を送る一方で、美海は通訳になるために就職活動を行なったが、就職氷河期でうまくいかず…。美海の夢は、いつしか“湊と一緒にいること”となり、そのために東京で頑張ろうとしていた。だが突然、湊は美海に別れを告げたのだった。

2人の幸せな日々が描かれていただけに、美海の失恋の悲しみは計り知れず、悲痛な思いがあまりにも辛い。そして、2人は別々の人生を歩むことに。傷心の美海、そして「一緒にいられない」「何もしてあげられない」「別れてください。お願いします」と告げた湊の思いが描かれ、クライマックスまで、観客の心をより締めつける。

互いを思い合う心と運命のすれ違いに号泣必至!

中島裕翔が演じた美海の幼なじみ・嘉陽田琉晴は、本作の重要人物といえる。いつも美海を優しく見守ってきた彼は、美海のことがずっとずっと好きだった。湊と別れ、一人で沖縄に帰った美海。彼女のすべてを受け止め、彼女を笑顔にしようと明るく振る舞う琉晴に、深い愛を感じずにはいられない。それゆえに、琉晴の心が揺さぶられるシーンは、観る人の心にも痛いほど刺さった。

一方、美海を愛していたにも関わらず、湊が自分の身に起きたことを打ち明けずに、一人で出した決断があまりにも切ない。ただただ美海を思ってのことだった。そんなふうに、誰かを思って生きる3人の、運命のいたずらともいえるすれ違いが描かれた本作。心の痛みを時間をかけて、“人生の宝”として昇華させ、前を向いて生きていく姿が感動的だ。

観客からも「まさかこんなに泣けるとは」「みんながみんなを思いやるから、暖かくて切ない」「久しぶりに一つの映画で2、3回泣かされました」「一途なラブストーリー作品で良かった」と声が上がっていた本作。

『366日』という歌が時を経て、何度となく世代を超えて聴く人の心に響くように、映画『366日』も誰かを思う気持ちに心を温められ、何度となく感動の涙が押し寄せる作品となっている。


ライター:小松加奈
ライター/編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー/レビュー/コラム記事などを手掛ける。