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ペットと「防災訓練」していますか?日常の中に取り入れる災害への備え方

  • 2025.9.12

台風や豪雨による風水害、地震や雷など突然起こる災害時には、飼い主さんもペットも混乱状態に陥りやすくなります。

日常から防災意識を高めるため、環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を定めており、ペットとの避難時は「同行避難(飼い主がペットとともに避難所へ避難すること)」を行うことを想定しています。

また、東京都による同行避難推進資料でも、日頃から災害に備えることの重要性を強調しています。

災害から命を守るポイントは、普段から防災に“慣れ”ておくことにあるといえるでしょう。防災訓練を日常に取り入れることでペットの行動を予測しやすくなり、災害時に冷静かつ迅速な避難行動が可能となります。

日常で取り組めるペット防災訓練

普段の生活で可能な防災訓練の仕方をはじめ、自治体が行う大規模な防災訓練など、災害時に役立つスキルを身につけるための方法をいくつかご紹介します。

ペットをキャリーに慣れさせる

まずは同行避難する際に便利なペット用キャリー(バッグやケースなど)にペットが自然に入れるよう、日常的に遊び感覚で練習しましょう。「キャリーが安心できる場所、楽しいことがあるかもしれない場所」とペットがイメージできるように取り組むことがポイントです。

食事やおやつをキャリーの中に置いて食事をとったり、短い時間閉じ込めて環境に慣らしたりと練習を重ねることで、非常時にもストレスなく落ち着いて過ごしやすくなります。環境省のガイドラインでも普段からの慣れが避難時の負担軽減につながると指摘しています。

避難用グッズを日常的に使う

非常用フード、水、ペットシーツ、薬、首輪やリード、キャリーなどの避難用品は、災害に備えて防災バッグにまとめておき、時々状態を確認しながら、トレーニングに活用しましょう。

「避難用品を持ってお散歩に出かける」「いつもの散歩に非常用リードを使う」など、日常的に使用して慣れさせておくことが、いざという時の不安軽減につながります。非常時であっても、平時に近い感覚で行動できることはペット、飼い主双方にメリットがありますし、身の安全を左右するポイントにもなります。

定期的な外出や避難ルートの散歩(わんちゃん)

わんちゃんが散歩慣れしていると、スムーズに避難しやすくなります。また、飼い主さんがリードの扱いに自信を持てば、混乱時に制御しやすくなるでしょう。

散歩で普段と違う道を歩いたり、避難所になり得る公園や学校の周辺を下見したりと、防災を意識した外出をすることも有効な方法の一つです。わんちゃん自身も新たな環境に慣れておくことができます。

「おいで」や「待て」など基本指示の再確認(わんちゃん)

災害時は慣れない環境の中で、屋内外で突然大きな音が出る場合があり、ペットが混乱することがあります。

「おいで」や「待て」の指示に応えられるよう、日常的に散歩や遊びの中で繰り返し練習をしておきましょう。これにより、避難中の逸走を防ぎ、わんちゃんの安全確保につながります。

災害時の「隠れ場所」チェックと対策(ねこちゃん)

ねこちゃんは驚くと家具の下や押入れに隠れてしまうことがあります。普段から家中の隠れ場所を把握し、人が手を差し込めるか、出られるかなど確認しましょう。

また、キャリーの扉を開けたまま部屋に置き「ここに行けば安全」と認識させるトレーニングも有効です。その際には、キャリーで食事ができるようにしておくことも重要です。

“いざという時”の捕まえ方・包み方を練習(ねこちゃん)

非常時に慌てて捕まえようとすると、ねこちゃんにストレスと危険が伴い、おうちの方もケガする恐れがあります。

普段からタオルやブランケットを使って静かに包む練習をしておくと、安全に保護できます。ねこちゃんが、包まれること自体をストレスに感じないよう練習が重要です。

家族で決めておくこと(避難場所・連絡方法・誰がペットを連れていくか)

災害時には家族の意思決定が欠かせません。誰がペットを連れて逃げるのか、集合場所や連絡方法、ペットの受入れ可能な避難所や預かり先を家族で共有しておきましょう。

ペットの情報カードを準備(名前、年齢、病歴、持病など)

個体識別情報や健康情報、ワクチン接種歴、常用薬、アレルギーや食事制限、かかりつけ獣医師の連絡先などをまとめておくと、避難所や動物救護本部で情報提供を求められた際、役立ちます。

避難所では、「同行避難動物登録票」への記入を求められる場合もあり、事前に準備しておくと安心です。また、名前入りの首輪やマイクロチップで身元表示を確実にしておくことも、災害時の逸走対策として重要とされています。

まとめ

不測の事態に飼い主さんとペットが冷静に対応できるよう、日常的な「防災訓練」は必要不可欠です。

キャリーへの慣れ、避難用品の確認、外出先での避難を兼ねた散歩の練習、基本的な指示の確認、ねこちゃんの包み方練習、そして家族での役割分担や情報カードの整備――。普段から少しずつ取り組むことで、いざというときに迅速かつ安全に対応できます。

飼い主さんによる同行避難の意識と備えこそが、ペットと人の命を守る最大の武器です。日ごろからの継続した訓練、練習が、災害時には大きな安心と安全につながります。平時から備えておくことが大切です。

〈執筆者プロフィル〉
増田国充
ますだ動物クリニック 院長
獣医師・国際中医師・愛玩動物看護師・防災士

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