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いとうあさこさんに聞く、50代の愉快な過ごし方「加齢も、大人の経験値。自分をつらくさせすぎないで」

  • 2025.9.8

テレビのバラエティやラジオ番組での明るくタフなキャラクターが愛されているタレント・いとうあさこさん。そのもうひとつの顔が、舞台俳優としての活動です。まもなく開幕する舞台で演じるのは、芸能界最強、いや〝最恐〟の女? 大人の女性の立ち位置をあらためて考えさせられる役に向き合い、今、感じていることとは。

誰にも叱ってもらえなくなるのは、大人の危機

2025年9月26日に開幕する舞台『ドラマプランニング』は、2008年に主宰・山田能龍さんらとともに旗揚げした劇団「山田ジャパン」の新作。タイトル通り、ドラマ制作の現場を舞台にした物語で、いとうさんが扮するのは芸能界屈指の敏腕マネージャー・鏡原麻衣子。強烈な個性と存在感で周囲を圧する〝ラスボス〟的存在だといいます。

「鏡原は、私と同世代だとしたら、80年代、90年代のトレンディドラマ全盛期から仕事をしていて、芸能界やドラマ作りの楽しさをすごく理解している人。そして、最初はきっと現場をよくしようと思って動いていたはずだと思うんですよ。この業界が好きで、抱えている役者が売れていない頃から『この子をよろしくお願いします!』と一生懸命で。でも、実績を重ねて立場が上がるにつれて、自分自身もまわりからチヤホヤされるようになり……」

気に入らない脚本と相手役にNGを連発。しまいには自ら脚本を書いてプロデューサーに突きつけるなど、権力を濫用する彼女は、曰く「制作現場にして100パーセントのヒール(悪役)」。しかし、そんな彼女の振舞いに、同世代として少々、哀しさも感じると言います。

「時代が変化して、パワハラ的な言動が許容されない世の中になったのに、『そんなんじゃやっていけないよ』って注意してくれる人が周囲にいない。そうしてできあがったかわいそうな怪物だと思うと、一概には憎めない部分もあるかなぁと。思えば、50代だったら、どんな職場でも似たような立場になってしまう可能性があるのかもしれませんよね。ただ、ここまで到達した人なんだから、その心には少しは正義が残っているだろうし、この人にも親がいて、かわいい女子高生時代があって……と想像すると、どこかに自然に人間味は出していきたいかな、とも思ってます。人間・鏡原としての」

「おばさん」でいることに、何の抵抗もない

劇中、鏡原と対立するドラマプロデューサー・青野貴則役には、さまざまな舞台作品に俳優として出演し、最近ではアイドルグループ「timelesz」加入で注目を浴びる原嘉孝さん。いとうさんとも、テレビや舞台で共演を重ねてきた間柄です。

「『タイプロ(timeleszのメンバーを決めるオーディションのドキュメンタリー)』を見て泣きましたし、この先、原〝先生〟がいったいどこまで知らない顔を見せてくれるんだろうと思うと、本当に楽しみで……あ、先生呼びですか? 親しい若い男性を『〜君』って呼ぶのが、どうにも恥ずかしくて(笑)。それでつい、先生って」

逆に、若い世代からの呼ばれ方は「あさこ姐さん」。舞台の現場の若手からは、お母さん的存在と頼りにされていると言います。

 「30歳で『電波少年的15少女漂流記』(バラエティ番組『進ぬ!電波少年』内の人気シリーズ)で無人島に行ったときも、最年長で『おかん』って呼ばれてましたから、どこか〝おっ母さん〟感があるのかも。でも正直、私、おばさんでいることに何の抵抗もないんです」

それは、日々共演している先輩たちの元気さを知っているからだと、いとうさん。

「バラエティでも、ラジオ番組でも、60代、70代、それよりもっと上の先輩方がバリバリ活躍されていて、私たちのくだらない話にも笑ったり怒ったりしてくださる。すごく楽しい時間を過ごさせていただいているので、加齢が嫌なものだっていう感覚がまったくないし、恐怖につながらないんです」

不調も落ち込みも「そんなもの」。でも好奇心だけは捨てずに

もちろん、お年頃ゆえのあれこれは、日々、身をもって実感。しかし、いとうさんの心境は決して悲愴ではなく、どこか軽やかです。
 
「もう55歳ですから、ここが痛い、あれはキツいって思うことは、ありますよ。アミノ酸の粉のつっよいやつ、常に舐めてますし。でも、ある時お医者さんに、女性ホルモンが減ってきているんだからやる気が出ないのは当たり前だと言われて、『そうなんだ!』って、逆に堂々とサボるようになりました(笑)。悩みは尽きませんけど、それもまたいいじゃないですか。『そんなもんだな』ってことで」
 
元気の出ない日は、そんな自分を受け入れて穏やかに過ごす。思えば、それもまた大人の経験として得たものなのでしょう。
 
「まあ、加齢を言い訳にしている部分も山ほどありますが(笑)。でも、そうやって無理をせず、自分をつらくさせすぎないことも大事かなと。たとえば、若い頃は友だち100人できるかななんて思っていたけど、そんなにいらないし、実際、付き合えないし。気の合う人ひとりと出会えてたら、それだけで素晴らしくない?っていうくらいの気持ちで。あとは、好奇心だけは常に持っている……そういう人間でいられたらいいなと思っています」

PROFILE

いとう・あさこ
1970年東京生まれ。2010年代よりお笑い芸人としてテレビ、ラジオの人気番組やCMに数々出演。劇団「山田ジャパン」のほか、俳優としてテレビドラマなどにも出演している。レギュラー番組に『ヒルナンデス!』『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系列)、『トークィーンズ』(フジテレビ系列)、『ラジオのあさこ』『大竹まこと ゴールデンラジオ!』(文化放送)など。

[舞台] ドラマプランニング

人気コミックの映像化権を手に入れ、最高のキャスト、スタッフを集めてクランクインするはずだったドラマの現場。しかし、相次ぐトラブルに加え、誰もが恐れる「あの女」が立ちはだかり……。作・演出を手がける山田能龍氏はいとうさんと同じくお笑い出身であり、今年放送されたドラマ『イグナイト-法の無法者―』など映像作品の脚本も担当。「彼は自分の経験から得たものを、命を削るようにして物語に紡いでくれる。私はそれを大事に、真摯にお客さまに届けたいと思っています」といとうさん。

脚本・演出:山田能龍
出演:原 嘉孝 いとうあさこ/松田大輔(東京ダイナマイト) 永山たかし 清水麻璃亜 横内亜弓 羽鳥由記 二葉 要 二葉 勇 布施勇弥 長江愛実 佐藤宙輝 高島麻利央 金子美紗 ほか
日程:2025年9月26日(金)〜10月5日(日)東京 本多劇場

撮影/久冨健太郎 取材・文/大谷道子

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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