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2年前、日本を代表する“豪華俳優陣が集結”【日曜劇場】サプライズ登場の俳優も加わり“重厚な演技合戦”

  • 2025.9.22

2023年に放送されたTBS日曜劇場『VIVANT』。堺雅人を主演に迎え、日本の連続ドラマの常識を覆す壮大なスケールと予測不能なストーリーで、大きな話題を巻き起こした作品だ。2026年には続編の放送も予定されている本作は、なぜ人々を惹きつけたのか、その魅力を振り返ってみよう。

壮大な陰謀が渦巻く、本格国際サスペンス

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堺雅人 (C)SANKEI

本作は、大手商社“丸菱商事”の社員・乃木憂助(堺雅人)が、誤送金問題をきっかけに中央アジアのバルカ共和国へ向かうところから始まる。彼はそこで国際的なテロ組織“テント”の巨大な陰謀に直面するが、乃木の正体は自衛隊直轄の非公認諜報組織“別班”の一員であり、彼の本当の任務は国際テロ組織から日本を守ることだった。

乃木は、公安警察の野崎守(阿部寛)らと時に協力し、時に敵対しながら、“テント”を率いるリーダー、ノゴーン・ベキ(役所広司)との宿命的な繋がりに迫っていく。国家間の思惑が複雑に絡み合う、日本では類を見ない国際色豊かなサスペンスが展開され、既存の日本のテレビドラマとは一線を画した作風となっていた。

1話1億円?常識を覆す「映画級」のスケール

本作の大きな見どころとなっているのが、日本のテレビドラマの枠を超えたスケール感だ。1話あたりの制作費は1億円とも言われ、海外ロケもふんだんに行った見ごたえある映像に仕上がっている。

撮影は2か月半にも及ぶ大規模なモンゴルロケを敢行。第一話から、主人公の乃木は見渡す限り砂しかない広大な砂漠を歩くシーンでは、ドローンを駆使して映し出される映像美で視聴者の目を奪い、その後は激しいカーアクションも繰り広げるなど、そのどれもが日本のテレビドラマの限界を超えようという意気込みに満ちていた。

また、バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)をはじめ、多くの海外キャストを起用したことで、物語に深いリアリティがもたらされている点も特筆すべきだろう。「世界基準の面白いドラマを作る」という制作陣の並々ならぬ気概が、画面から伝わってくる作品と言える。

日本を代表する豪華キャストの競演

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二階堂ふみ (C)SANKEI

本作は、他のテレビドラマなら主役級のキャストがずらりと並んでいることも話題となった。主演の堺雅人を筆頭に、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司といった、日本映画・ドラマ界を牽引する実力派俳優陣が集結している。

主人公・乃木を演じる堺雅人は、“お人好しの商社マン”と“冷徹な別班員”という性格の異なる人物を的確に演じ分け、その二面性で視聴者を魅了した。また、物語の鍵を握る人物としてサプライズ登場した二宮和也の存在感も大きかった。

さらに、阿部寛や役所広司といった日本を代表するベテラン俳優たちの重厚な演技合戦が、物語に説得力と深みを与えていた。そうした名優だけでなく、野崎の相棒として活躍したドラム(富栄ドラム)は、林原めぐみが声優を務めた合成音声で意思疎通する様がかわいいと意外な人気を獲得。脇を固めるキャラクターたちも強い個性を放ち、多くの視聴者に愛されたのも本作の特長と言える。

考察が止まらない!緻密に張り巡らされた伏線と残された謎

本作は、視聴者による“考察合戦”も白熱。全編にわたって散りばめられた無数の謎と伏線は、多くの視聴者の考察意欲を掻き立てた。

特に、第4話で乃木の正体が“別班”だと明かされたシーンは大きな衝撃を与えた。味方と敵が二転三転する予測不能な展開は、誰が敵で誰が味方なのか、一瞬たりとも目が離せないスリルを生み出している。誰が嘘をついているのか、誰が本当の味方なのか、スケールの大きな物語は政治的陰謀を巻き込み、大きくなっていき、最後には大きなどんでん返しが待っている。

乃木の別人格である“F”の正体や、ベキは本当に死んだのかなど、乃木の属する組織別班”の全貌、二階堂ふみ演じる医師の薫の正体など、最終回を迎えてもなお多くの謎が残されており、2026年に予定されている続編への期待も高まっている。来年の放送に向けて考察を膨らませるために、もう一度見るのもいいだろうし、まだ見ていない人はこの機会にぜひ一度触れてみてほしい。


ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi