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「どんどん売れていく」4年前の傑作映画でも存在感…!2025年“GP帯連ドラ初主演”に抜擢した2人の実力派俳優たち

  • 2025.10.28

映画『ヤクザと家族 The Family』は、2021年1月29日公開され、大ヒットした映画だ。監督は、映画『新聞記者』(2019年)で注目を浴びた藤井道人で、主演は、綾野剛と舘ひろしだ。本作は、1999年から2005年、そして2019年という三つの時代軸を舞台に、ヤクザという“生き方”と、それを取り巻く“家族”のかたちを鮮烈に描いている。綾野剛が演じる青年・山本賢治が、血縁を越えた父子関係の中で自らの居場所を掴み、そして時代の波に翻弄されていく姿は、アウトロー映画の枠を超えた普遍的な人間ドラマへと昇華されている。

生きる権利をかけた家族の物語

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綾野剛 舘ひろし(C)SANKEI

物語は、自暴自棄になっていた19歳の賢治(綾野剛)が、暴力団組長・柴咲博(舘ひろし)に救われるところから運命が大きく変わっていく。その出会いがきっかけで、賢治は“組員”としてヤクザの世界に足を踏み入れることになる。1999年、2005年、2019年と変わりゆく時代の中で、賢治は組の勢力争いや社会の抑圧、刑期を経ての出所といった出来事に直面。

特に2019年パートでは、ヤクザが口座を作れず、携帯を契約できず、住居も借りられないという“社会からの排除”に向き合うことになる。このように、ヤクザという枠組みを通して“人として生きる”“居場所”というテーマが浮かび上がる構成だ。本作において、家族とは血縁だけではなく、居場所や信頼を分かち合う存在として定義されており、賢治と柴咲との父子関係が象徴的に描かれている。

「スタントだと思っていた」「車は重かった」実際に車に轢かれる綾野剛…

“ヤクザの世界”を描いているため、迫力のあるアクションシーンが印象的だ。物語の序盤である1999年、賢治が柴咲組と敵対する侠葉会に関わる売人から覚せい剤を奪い、逃走するシーンがある。友人の細野(市原隼人)から携帯電話に連絡が入り、追われることとなった賢治。白昼堂々と、商店街を全力で走って逃げ、何度か追手であるヤクザに捕まりかけ、暴力を振るわれながらも、逃げ続ける。そして、逃亡した先に現れた車に轢かれてしまい、倒れ込んでしまう…。一触即発のハラハラするシーンで、最後車に轢かれた瞬間は、観ている方も思わず声が出てしまうくらい、迫力があった。

なんとこのシーン、スタントマンを綾野自身が車に轢かれるところも演じていたという。「最初はスタントだと思っていた」「轢かれる瞬間は思った以上に車は重かった」と公式のXでもコメントしている。

俳優たちの意気込み

本作は、藤井道人が監督だけではなく脚本も務めている。3つの時代を撮影するにあたり、カメラの種類を変えたり、色彩補正の仕方を微妙に変更したりなど、明確な狙いを持って作り上げたという。作品に対する藤井の熱い思いを筆頭に、演じている俳優たちもこの作品にかける思いは、特別のようだ。

2021年2月1日配信『ムビコレ』の記事によると、初日舞台挨拶で、綾野は本作を「最愛の作品」「集大成なのは間違いない」と語っている。また、本作で初共演を果たした同じく主演の舘ひろしは、この映画を誰に見て欲しいかという問いに「天国にいる渡哲也さん」と回答する場面も。それぞれが、特別な思い入れをもってこの作品を世に送り出していた。

2025年、連続ドラマ初主演を果たした俳優たちも出演

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磯村勇斗 (C)SANKEI

本作では、2025年に初めて地上波GP帯連続ドラマの主演を務めた俳優が2人出演していることも特筆したい。1人目は、柴咲組の頭(カシラ)だった父親を早くに亡くして、半グレとして繁華街を仕切っていた木村翼を演じた磯村勇斗だ。磯村は、この作品で“第45回日本アカデミー賞 新人俳優賞”を受賞している。磯村は、2025年7月期、カンテレ・フジテレビ制作 月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』で、初めての民法連続ドラマかつGP帯の初主演を務めている。

2人目は、柴咲組の補佐から若頭に就任した中村努を演じた北村有起哉だ。北村は、本作で抗争事件を引き起こすも、賢治が身代わりに刑務所に入ったことで、柴咲組の運営を担うという重要な役どころを演じ、存在感を放っていた。2025年10月期、現在放送中のフジテレビ系 木曜劇場『小さい頃は、神様がいて』で地上波GP帯ドラマ初主演を果たしている。「豪華すぎるキャスト」「どんどん売れていく」と声が上がっている。

そのほか、尾野真千子や市原隼人など、実力派俳優たちが脇を固め、物語を支えている。そして、極め付けは主題歌であるmillennium paradeの『FAMILIA』だ。millennium paradeは、King Gnuの常田大希がプロデュースしているバンドだ。綾野とは、プライベートでも交流があり、本作も綾野と2人で新宿の映画館で鑑賞したという公式Xが、当時大きな話題になっていた。ぜひ、キャストや主題歌も注目し、楽しんでいただきたい。

映画『ヤクザと家族 The Family』は、ヤクザ映画というジャンルの枠を破り、家族・時代・居場所といった普遍的な問いを強く打ち出す作品である。そして綾野剛の演技が、その問いに真摯に応える“器”を備えている。鑑賞後には、アウトロー映画とは、また違った余韻が胸に残るだろう。


出典:
@yakuzatokazokuF 映画『ヤクザと家族 The Family』 公式Xより(2021年7月30日投稿)
綾野剛「集大成なのは間違いない」主演ヤクザ映画の高評価に喜び語る|ムビコレ(2021年2月1日配信)
@DaikiTsuneta 公式Xより(2021年2月16日投稿)

ライター:朝倉 結(あさくら ゆい)
主にドラマや映画に関する記事を執筆。お気に入りの作品は何度も繰り返し視聴し、その魅力を深掘りするのが好きです。