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駅員「朝のラッシュ時は困難」線路の落とし物で怒る乗客に本音「ご理解いただくのは難しいだろう」

  • 2025.10.11
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photoAC(画像はイメージです)

駅のホームでは、日々多くの人が行き交うからこそ、ちょっとした不注意が大きな事故につながることもあります。駅員さんのアナウンスは、安全を守るための大切な呼びかけ。慣れた場所でも、改めて「注意を怠らないことの大切さ」を思い出させてくれますね。

現役駅員の本当の話(@n3cflFNAtq5B9o3)さんが、「落とし物をした乗客からのあり得ない主張」についてX(旧Twitter)に投稿したところ、「落とすのが悪い」「拾ってもらえるだけありがたい」などと話題になっています。

いったい、どんな主張があったのでしょうか?

気になる投稿が、こちら!

駅員さんが丁寧に理由と対処法を説明しているにもかかわらず、なぜこの乗客は納得できなかったのでしょうか。

どの駅でも「線路に入ってはいけません」という注意喚起は繰り返し行われており、危険性を理解していない人はほとんどいないはずです。駅員さんが安易に線路へ入れない理由も、少し考えれば分かることでしょう。

定期券を使えない間の切符代を惜しむあまり、駅員さんの命の危険や列車を止めるリスク、さらには社会的影響を軽く見てしまっているのではないでしょうか。

現役駅員である投稿者さんは、「黄色い点字ブロックの外側には命の保証がない」ということを多くの人に知ってほしいと強く訴えています。

実際、いまだに点字ブロックの外側を歩く人や、イヤホンをして列車接近のアナウンスが聞こえない人もおり、ヒヤリとする場面が少なくないそうです。また、線路に物を落とした際、乗客が身を乗り出して探そうとすることもあり、悪気がないとはいえ非常に危険な行為だといいます。

毎日利用する電車だからこそ、慣れに甘えず、一人ひとりが改めて安全への意識を持ちたいものです。

駅員と乗客での理解の差

投稿者さんに詳しくお話をお伺いしました。

ーーー大変でしたね…。「目の前にあるんだから拾ってよ」と言われた時、どのように思いましたか?

職業人と一般人では感覚に違いがあるので、ご理解いただくのは難しいだろうと思いました。

ーーー線路内の落とし物を拾う時の危険性について詳しく教えてください。

線路内の落とし物を拾う際には、線路側に身を乗り出すことになります。もし、そのタイミングで列車がきて接触すれば、死亡または大怪我をすることになります。

列車と人が接触することを「触車(しょくしゃ)事故」と言いますが、鉄道の三大労災は「触車・墜落・感電」であり、鉄道に従事する者なら、触車事故をとても恐れています。

ーーー実際には、どのような触車事故があるのでしょうか?

発車直後、ホーム上で酔客がふらついて、およそ20km/hの列車の側面にぶつかり緊急停車させたことがあります。

頭から大量出血の大怪我をされ、救急搬送されました。

ーーー発車直後でも大怪我してしまうほど危険なんですね。

たかが20km/hでこの威力ですから…。列車進入時の高速度でぶつかれば、ほぼ死ぬわけです。そのため、会社によって安全基準は異なりますが、私の会社では進入する列車の見張り役と作業役に分けて、見張り役は見張りに専念します。

ーーー落とし物を拾うという作業がどれほど大変なことなのかが伝わってきます。

見張り役の業務をするには社内資格が必要で、緊急停止手配や列車接近を知得する手段など、座学と実技で講習を受け、合格した人しか従事できません。

ーーー見張り役になるのに社内資格が必要だとは驚きました…!

私達は「一歩間違えれば死亡する」ことを理解し、厳正な手続きの中で作業しているわけですが、一般のお客様はそのような背景を知る機会がありませんから、お怒りになるのも無理はないだろうなと思います。

駅員の声に耳を傾けない乗客も…

ーーー今回のようなことは多いのでしょうか?

特に朝のラッシュではよくあります。運行頻度も2分に1本ペースと列車と列車の間隔が短いので、拾得作業は困難を極めます。

ラッシュが終わって間隔が開いてから拾得作業をするので、一旦会社や学校に行っていただき、帰りにお渡しするケースもありますが、「なぜ今拾ってくれないのか!」と責められることは、残念ながらしばしばあります。

ーーー駅員さんからすればとても困りますよね…。その後、どのような対応をしたのでしょうか?

「運行間隔が短い時間帯であり、今すぐ拾得するのは難しい」とご説明しましたが、理解いただけず「目の前にあるんだから早く拾って!」と仰っていました。

数本見送ったところで運転間隔が少々開いたので、無事に拾得することができました。

ーーーとても貴重なお話をありがとうございました!

拾ってもらうことに感謝の気持ちを

こちらの投稿には、さまざまなコメントが寄せられていました。

止めて損害賠償払うのと止めずに切符買うのってどっちが安いのか
落とすのが悪い、拾ってもらえるだけ有難いと思わないと
気持ちはわからなくもないけど、自分の過失なんだから1往復分の切符くらい払いなよ、、落としたものを拾ってもらう手間もかけるわけだし。
なんで落とした側が偉そうなんだろう?

線路内に落ちた物をすぐに拾えない理由を理解し、「安全を優先する駅員さんの判断は正しい」とする声が多く見られました。また、駅員さんに理不尽な態度を取る乗客に対しては、「自分勝手すぎる」「駅員さんがかわいそう」といった厳しい意見も。

駅員さんがすぐに拾えないのは、誰もが安心して電車を利用できるようにするため。安全確保を最優先に行動しているということを、私たちも改めて心に留めておきたいですね。

取材協力:現役駅員の本当の話(@n3cflFNAtq5B9o3)さん

※本記事は投稿者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています



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