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【60代エンタメ】日本オリジナルミュージカルが愛される理由とは?注目の新作紹介&プロデューサーにミュージカル上演にかける思いをうかがいました!【好奇心の扉・中編】

  • 2025.8.19

世界から愛される漫画や小説からミュージカルを立ち上げ、『デスノート THE MUSICAL』『生きる』ほか数々の人気ミュージカルを上演し、海外での公演も果たしてきたホリプロ公演事業部。多くの作品を手掛けてきたプロデューサーである日本発のオリジナルミュージカル上演にかける想いを伺いました。 

劇場へ足を運ぶ観客層を広げていく作品は宝物

オリジナルミュージカル第2弾は、梶山プロデューサーが企画した黒澤明監督の名作『生きる』。世界的に愛される名画の舞台化は、制作発表と同時に大きな注目を集めました。

2023年の再再演では上皇夫妻もご覧になり、ニュースではその様子が報道されました。

「通常、ミュージカルは女性のお客様が多いのですが、この作品は男性やご夫婦連れなど、普段劇場に足を向けない方もたくさん来てくださる作品になりました。届ける作品が、幅広いお客様がミュージカルの面白さを知るきっかけになるのならこの上ない喜びです」

生きる/余命を知ったら、残された人生をどう生きるか

定年を間近にした市役所の市民課長、渡辺勘治。早くに妻を亡くした彼は息子夫婦と同居しているが、心の距離は遠い。

そんなある日、渡辺は、自分が胃癌であり残りの命が長くないことを知る。自暴自棄になった彼は、居酒屋で出会った売れない小説家と夜の街に繰り出し、人生を楽しもうと試みるが、心が満たされることはなかった。

翌朝、市民課で働く女性・小田切とよに偶然出会う。太陽のように明るい彼女に惹かれ、頻繁に誘うようになる渡辺は「残りの人生を、1日でいいから君のように生きたい」と本音を語る。そして、とよが何気なく伝えた言葉に心を動かされ、渡辺は人生をかけた決意をするのだった。

作曲・編曲:ジェイソン・ハウランド
脚本・歌詞:高橋知伽江
演出:宮本亞門/初演2018年
初演キャスト:市村正親、鹿賀丈史(以上、渡辺勘治ダブルキャスト)、新納慎也、小西遼生(以上、小説家ダブルキャスト)、May’n、唯月ふうか(以上、小田切とよダブルキャスト)、市原隼人、山西淳ほか/2020年、2023年には一部キャストを変更して再演、再再演。

勘治は、偶然知り合った小説家に、それまで知らなかった華やかな夜の街に誘い出される。

勘治の葬式。市役所の職員や家族が参列するなか、小説家や勘治の最後の仕事に感謝する市井の人々も訪れる。

COLOR/18歳の大学1年生が突然、赤ちゃんのようになった…

井川さんのオリジナル作品の初企画プロデュース作品は、オートバイの事故で記憶喪失になった男性の実話を元にした『COLOR』。3人で演じられる小劇場向きミュージカルでした。

「『記憶喪失になったぼくが見た世界』という坪倉優介さん原作のタイトルが気になり読み始めました。

自分や両親や友人の記憶、『食べる』『眠る』などの感覚さえも失った作者が書かれた、ご飯を初めて見るものとして『ぴかぴか光るもの』『おいしい』と描写するのを読んだとき、これを音楽にのせて表現できたらという思いが湧いたんです。

道を歩いてるだけでも、晴れた空を見るだけでも、記憶を失った彼の目を通したらすべてが新しい世界。大変な経験だけれど、視点を変えることで幸せを感じる生き方もできる、そんなことを感じさせる作品になるんじゃないかなと思いました」

ひとりの編集者が、「オートバイ事故により意識不明の重体に陥った大学生が奇跡的に意識を取り戻すものの、自分や両親、そして言葉や文字、『食べる』『眠る』などの記憶が失われた」という新聞記事を偶然目にする。そこから、どのようにして回復し人生を切り開いていったのか、編集者はその経験を書いてほしいと、その大学生と家族に相談するのだった。

原作:坪倉優介
音楽:植村花菜
歌詞:高橋知伽江・植村花菜
脚本:高橋知伽江
演出:小山ゆうな/初演2022年
初演キャスト:浦井健治、成河、濱田めぐみ、柚希礼音/主人公「ぼく」浦井健治、「母」柚希礼音、「大切な人たち」成河・主人公「ぼく」成河、「母」濱田めぐみ、「大切な人たち」浦井健治というダブルチームによる上演。

「俳優やクリエイティブスタッフからの提案や意見が、活発に交わされた自由な稽古場でした」と、井川さんは当時を振り返る。

『記憶喪失になったぼくが見た世界』

坪倉優介
朝日文庫¥616
回復していく過程を、著者本人が綴るエッセイだけでなく、家族として見守り続けた母の証言も胸を打つ珠玉の手記。

ミセン/人生は自分の選択次第であらゆる道に進むことができる

今年1月に上演したのは韓国の漫画を原作としたミュージカル『ミセン』。脚本・作詞・音楽・演出を韓国のクリエイターが、振付や美術・映像などは日本のクリエイターが手がけ、作り上げられました。

「あるマネージャーさんから、韓国と日本のクリエイターがオリジナルミュージカルを日本で創作するのは初めてだよ、と言われました。そんなことはまったく意識していなかったのですが、作品にとっていちばんよい、と思う形をとって進んだ結果が、日韓のトップクリエイターによる新たな挑戦となりました」  

チャン・グレは囲碁のプロ棋士になるという子どものころからの夢を諦めざるを得なくなり、社会に放り出されてしまう。知人の紹介で大手貿易会社「ワン・インターナショナル」のインターンシップに参加することになるが、入社早々、グレは厳しい現実に直面する。熾烈な争いを勝ち抜いてきたエリートばかりの同期インターンたち。企業社会での経験が皆無のグレは、明らかに後れを取っている。そして、グレが配属された第三課は会社では日陰の存在。この課を率いるのが、情熱と人間味溢れるオ・サンシク課長。オ課長のもと、グレは自分の経験や囲碁で培った戦略的思考を仕事に応用し、少しずつ成果を上げていく。

原作:ユン・テホ著作権者:SUPERCOMIX STUDIO
脚本・歌詞:パク・ヘリム、音楽:チェ・ジョンユン
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:オ・ルピナ/初演2025年
初演キャスト:前田公輝、橋本じゅん、清水くるみ、石川禅、安蘭けいほか

原作漫画『ミセン』は韓国で大ヒット。母国でのテレビドラマ、映画化につづき、日本のプロダクションがミュージカル化を手がけることも大きな関心を呼んだという。現在、日本では、コミックスからオリジナル漫画、ライトノベルを「話」「巻」単位で読むことができる電子書籍の配信サービス「ピッコマ」で読むことができる。

主人公がインターンとして働く職場の喧騒を、見事な映像美術とともに表現した。

※ご紹介した作品は、DVDやBlu-rayなどのソフト化はされていませんが、WOWOWや衛星放送などの有料チャンネルで放送されることがあります。

お話を聞いた方…

井川荃芬(いかわかおる)さん

2008年、株式会社ホリプロに入社。6年半マネージメント部署にて鹿賀丈史さん、船越英一郎さんを担当。その後、念願の公演事業部に異動し、さまざまなミュージカル作品を手がける。海外作品では、2024年にはブロードウェイの名作『カムフロムアウェイ』を上演、第32回読売演劇大賞選考委員特別賞を受賞。2025年には、英国BBCのドキュメンタリーに基づいた『ジェイミー』(日本初演2021年)の再演を果たした。

構成・文/杉村道子

※素敵なあの人2025年9月号「注目の新作が次々に誕生しています 日本オリジナルミュージカルが愛される理由」より
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この記事を書いた人 素敵なあの人編集部

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