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アンチエイジングにも効果的!ナニワの老舗ごま専門メーカー「和田萬」【上食研・Wあさこのおいしい社会科見学vol.8】

  • 2025.8.15

お料理教室&上方食文化研究會(上食研)を通じて上方の家庭の味を伝える日本料理家・吉田麻子先生と、奈良在住の編集者・ふなつあさこの“Wあさこ”がお届けする、上方(関西)の食にまつわる大人の社会科見学。

今回は、明治16年(1883)、大阪・天満(てんま)で乾物問屋として創業し、現在は一部自家栽培・自家焙煎のごま専門メーカーとして多くの名店や料理家もごまの専門メーカー「和田萬(わだまん)」さんに伺ってきました。小さな粒にいろいろな栄養素がギュッと詰まったごまは、アンチエイジングにも効果があるのだとか!

天下の台所で、上方の食文化をおいしく楽しくご紹介します♪

明治16年創業の乾物問屋・和田萬 今や知名度は全国区のごまメーカーに

日本料理にはさまざまな薬味が欠かせませんが、ごまもそのひとつ。薬味だけでなく、調理油や香味油としても使われるごまは、お料理の仕上がりを大きく左右します。

麻子先生のお料理教室では、先生自ら吟味した材料を使ってはりますが、ごまは和田萬さんのものをセレクト。

「なにしろ香りが全然ちゃうねん」という麻子先生と、和田萬本社敷地内にある本店「萬次郎 蔵」を訪れました。

出迎えてくれたのは、5代目・和田武大(たけひろ)さん。麻子先生は和田さんのごま畑に収穫体験に訪れたこともあるそうで、とても懇意にしてはります。

ちなみに、武大さんは私の夫の友人でもあり、私たちの結婚式にもご夫妻で参列してくれはりました。そういえば、結婚前に当時は男友だちのひとりやった夫から、和田萬さんのごまをもらったことがあったなぁ。

当時私が和田萬さんのごまを知ったのは、あるテレビ番組で見かけたのがきっかけ。黒縁メガネの芸人さんが「うまーーーーい」って叫んでいて「食べてみたい!」と思い、なぜかその話を友だち(現・夫)にしたところ、我が物顔で「あるで!」と和田萬さんの看板商品「黄金香りごま」などをお裾分けしてくれたんです。帰ってさっそくパックを開けたら、ブワッとごまの香りが立ち上り「ごまってこんなに違うんだ!」と思った記憶があります。

その際に「よく焙煎してるからかな?」と思ったのですが、金ごまは白ごまを焙煎したものではなく、白ごま、黒ごま、金ごまはそれぞれ別の品種だそうです。

和田萬の本社&本店のある大阪・天満は、大川(現在の淀川)のほとりに位置し、江戸時代には多くの乾物商が軒を連ねていたエリアだったそう。

明治に入ってから乾物問屋として創業した和田萬も、店のすぐそばを流れる川の水運を活用し、寒天や椎茸、黒豆などの豆類や切り干し大根、高野豆腐など乾物全般を商っていたといいます。

その後、第二次大戦中にこのあたりも空襲で焼けてしまい、戦後、立て直しを図るなかで3代目の栄三さんがごまを扱うように。

店の前の堂島川でごまを洗い、河原で天日乾燥させた「洗いごま」の販売に始まり、昭和28年(1953)には、大阪市内でごま加工工場の操業を開始。その後、自家焙煎もスタートします。

ごまのおいしさの鍵を握る焙煎の工程を任されたのが、のちに4代目となる悦治(えつじ)さん。武大さんが「父は、小さなごま粒に世界中で誰よりも向き合ってきた人だと思います」と語るほど職人気質の悦治さんは、和田萬ならではの高い焙煎技術を作り上げます。

転機となったのは、平成2年(1990)年にごまの家庭用小袋の販売を開始したこと。

武大さんは子どもの頃から、おやつがわりにごまを食べていたそうですが「しっかりごまの味がするので、とくに何にも味付けずに食べてましたね」と言います。それだけ味の濃い和田萬のごまは“とびきりおいしい!”とリピーターがどんどん増え、隠れた名品として人気を拡大!

「当時はそれだけこだわったごまっていうのが珍しかったのかもしれませんね」と武大さん。

それまではインスタントラーメンや手延べそうめん、冷麦などの乾麺、あるいはわらび粉などさまざまな商品を取り扱っていましたが、ごま専門メーカーへと舵を切り、加工工場を大阪・八尾市へ拡大移転し、現在に至ります。

5代目は元・新聞記者 実家に戻り、ごまの魅力を世界へ発信!

今は5代目として店を継いでいる武大さんですが、大学卒業後は新聞記者として活躍していました。仕事は面白く、やりがいを感じていたこともあり、後を継ぐつもりは正直まったくなかったそう。

そんななか「関西で頑張ってる中小企業を取り上げる連載があったんです。知ってか知らずかわかりませんけど、その連載で和田萬を取り上げることになり、僕が取材することになったんです」。なんという展開!

新聞記者として取材して初めてちゃんと知った、和田萬のこと。

武大さんの父にあたる4代目・悦治(えつじ)さんは職人肌でしたが、広報やプロモーションは叔父さんが手がけていたそうで、商品開発やパッケージの工夫、ほぼ輸入に頼るごまの生産を国内でスタートさせたことなどを取材していくうち、興味が湧いたそう。

そして客観的に「なかなか面白い会社やな」と思うとともに、会社で“主役”になるか“脇役”になるかを考えるようになったという武大さん。そして「せっかくなら主役に」と半年後に新聞社を退職し、家業に戻ったのです。

今では、ごまを使ったふりかけ(お行儀悪いんですが、私は手のひらに出してそのまま食べちゃうほどおいしい……!)や

食材とあえるだけでごまの風味香る一品が作れて便利な“もと”など、ユニークなごま商品を次々と開発・販売。

和田萬の商品はメディアにも引っ張りだこで、テレビ番組で紹介されたというドレッシングは、この日の店頭在庫があと1本!

以前取材に訪れた八尾市の鉄フライパンメーカー、藤田金属さんとコラボした「ごま煎りフライパン」やすり鉢なども。

エントランスにオブジェも鎮座しているオリジナルキャラクター「ごまやん」のグッズもかわいい!

ごまはミネラルや良質な脂質やビタミン、たんぱく質などがたっぷり。それだけでなく。ごまだけに含まれる抗酸化作用の高いゴマリグナン(セサミン、セサモリン、セサモール、セサミノールなどの総称)を含んでいることから、アンチエイジング効果が期待できるそう!

日本では縄文時代の遺跡からもごまが見つかっていて、古くから食用もされてきましたが、世界的に見るとごまを食べるのは日本、韓国、中国やアラブ諸国ぐらいなのだとか。世界で日本の食が注目されているなかで、武大さんは海外にごまを輸出するなど、グローバルな展開にも今後力を入れていきたいと今後の展望を語ります。

和田萬が手がけるシェアキッチン「IRUAERU」で その日の“おいしい”に出合う

2023年には、本店のお隣に「IRUAERU(イルアエル)」がオープン。近隣にはオフィスも多いので、お客さんの半数はご近所さん。そのほか、本店を目当てに訪れた方がこちらでひと休みされていくそう。

IRUAERUでは、和田萬のごまを使ったドリンクなどのカフェメニューを楽しめます。こちらの「ごまラテ」は濃厚なお味。何より、ごまの風味がしっかりしています。

でも、面白いのは実はここがシェアキッチンであること。和食や洋食、アジアンなど日替わりでさまざまなシェフが料理を手がけています。

取材後、この日を担当していた「ばんざい食堂」さんのおにぎりセットをランチにいただきました。

取材を終えて、本店に戻ってショッピング(毎度のことですが……)。麻子先生も私も「これおいしそう!」と新商品の「ごま専門店 香る担々麺」などを買い込みました。

後日、麻子先生はこちらのお写真を送ってくれはりました。「セットのスープを豆乳でのばして、ビーガン担々麺でいただいてみました」とのこと。

具材はトマト、とうもろこし、厚揚げ、ゴーヤで、上からさらに和田萬さんの「有機 黒すりごま」をかけたのだそうで、見た目にも美しい……。

ズボラな私は裏面の作り方通りにシンプルに調理していただきましたが、めちゃくちゃおいしかったです! 日持ちするので、ギフトにも喜ばれました。

この記事を書いた人

編集者 ふなつあさこ

ふなつあさこ

生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。

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