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2025年“3作品で主演、”大人気俳優”の時代がいよいよ到来…!“バカリズムの傑作”で強烈な快演を披露

  • 2025.9.10

歴史ノンフィクションの傑作『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(かげはら史帆著/ 河出文庫刊)が実写映画化され、2025年9月12日より公開される。ベートーヴェンの面白さに魅せられたバカリズムが斬新なアイデアを加えながら脚本を担当した映画『ベートーヴェン捏造』は、バカリズムならではの傑作に仕上がっている。ベートーヴェンへの愛が重すぎる忠実な秘書・シンドラーを山田裕貴が、シンドラーから熱烈に敬愛されるベートーヴェンを古田新太が演じ、天才音楽家の“真実”が紐解かれていく。

SNSには「想像するだけで面白い」「想像しただけでニヤニヤが止まらない」「バカリズムさんの脚本だから、きっと笑いのツボを突いてくるんだろうな」といったコメントが見られ、公開前から盛り上がっている模様だ。

『ベートーヴェン捏造』

学校の音楽室に肖像画が飾られている有名作曲家の1人で、誰もが素晴らしい天才音楽家だと認識しているベートーヴェン。でも、その認識が“捏造”されたものだったとしたら……?

19世紀のウィーンで起きたその“捏造”を、音楽史上最大のスキャンダルとして暴く映画『ベートーヴェン捏造』。音楽に関する映画が大好きな筆者が一足早く鑑賞し、本作の魅力や見どころをお届けする。

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ストーリー
耳が聞こえないという難病に打ち克ち、歴史に刻まれる数多くの名曲を遺した、聖なる孤高の天才・ベートーヴェン(古田新太)。しかし、実際の彼は――下品で小汚いおじさんだった……!? 世の中に伝わる崇高なイメージを“捏造”したのは、彼の忠実なる秘書・シンドラー(山田裕貴)。彼の死後、見事“下品で小汚いおじさん”から“聖なる天才音楽家”に仕立て上げていく。しかし、そんなシンドラーの姿は周囲に波紋を呼び、「我こそが真実のベートーヴェンを知っている」、という男たちの熾烈な情報戦が勃発! さらにはシンドラーの嘘に気づき始めた若きジャーナリスト・セイヤー(染谷将太)も現れ、真実を追求しようとする。シンドラーはどうやって真実を嘘で塗り替えたのか? 果たしてその嘘はバレるのかバレないのか――?
引用:映画『ベートーヴェン捏造』公式サイト

ベートーヴェンへの狂気的な愛を熱演する山田裕貴

最初に『ベートーヴェン捏造』が公開されると聞いた時、日本で実写映画化するにあたって、日本の俳優がシンドラーやベートーヴェンといった外国人をどのように演じるのだろうと、興味を抱くと共に、ちょっと変な感じにならないかなと、少し心配にもなった。でも、脚本が『ブラッシュアップライフ』や『ホットスポット』を大ヒットさせたバカリズムなのだから、変でも全然いいし、むしろ変な方が面白いかもしれないと楽しみの方が上回った。

実際に本編を観てみると、古田が演じるベートーヴェンの偏屈さをものともせず、ただひたすら愛情を溢れさせるシンドラーに扮する山田の怪演が強烈で、大いに引き込まれた。予告編にもあるが、ベートーヴェンから失礼極まりない態度を取られ、いわれのない非難と共に卵を目にぶつけられるシーンでは、山田の長いまつ毛に卵が絡みつき、垂れていくのをジッと耐えながら演じる彼に圧倒された。酷い目に遭って傷ついても、結局ベートーヴェンのもとへと戻っていくシンドラーの愛は狂気的だが、山田が演じることでチャーミングさが感じられ、最後まで目が離せない。

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2025年は、『木の上の軍隊』、『爆弾』、そして本作と3作品の主演を務めている山田。これまで数々の作品で観客を楽しませてきた山田の時代が、いよいよ到来したと感じさせ、うれしい限りだ。

ベートーヴェンにしか見えなくなってくる古田新太

主演の山田を取り巻く人物を演じるのは、ベートーヴェン役の古田をはじめ、個性的な顔ぶればかり。映画やTVドラマで活躍する俳優たちが、もうこれでもか! というほど音楽家や関係者役で数多く出演しており、登場時間は短いものの、「あ、ここにも!」と見つける楽しさがある。

まず、古田がベートーヴェンのあの独特の髪型を地毛のまま演じているというのに驚いた。日本人が体現していることに何の違和感もなく、ベートーヴェンにしか見えなくなってくる。

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ベートーヴェンの家族や仕事仲間役で、前田旺志郎、小澤征悦、生瀬勝久、小手伸也、野間口徹、遠藤憲一らが出演。それぞれがクセのある芝居を披露していて、とても面白い。特に、年を取って段々と弱っていくベートーヴェンを取り囲んで遺書を書かせるシーンは、何ともコミカルで、死期が近いことへの悲壮感は全くなく、バカリズムらしさ全開だ。

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シンドラーにとって代わって、ベートーヴェンの晩年の秘書の座に就く“可愛い”ホルツは、シンドラーの嫉妬心を燃え上がらせるが、神尾楓珠が演じていることで説得力が増している。

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後半の大きな見どころを担う染谷将太

そして、ポスターにも大きく載っている染谷将太は、映画の後半で大きな役割を担うアメリカ人音楽ジャーナリスト・セイヤーを演じている。

筆者は、『ブラッシュアップライフ』の染谷の演技も大好きだったので、今回のバカリズム作品で彼がどんな演技を見せてくれるのか、大きな期待を抱いていたのだが、セイヤーもシンドラーに負けず劣らず、かなり狂気的で最高だ。ネタバレになるので詳しくは書けないが、後半の大きなお楽しみとして、シンドラーとセイヤーの対峙に期待してほしい。

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本作の監督は、サカナクション、星野源、anoなどのMVや、話題のCMを多く手掛け、音楽を用いた映像演出にも定評がある関和亮。バカリズムとは『地獄の花園』や『ケンシロウによろしく』など数々の作品でタッグを組んでいる関監督。音楽を題材にした本作は、得意分野の作品なのではと、バカリズムも期待を寄せたそうだが、「第九」こと交響曲第9番をいかに気持ちよく聴かせるかに気を配ったそうで、音楽の魅力も存分に楽しむことができる作品に仕上がっている。

ほかにも、劇中ではベートーヴェンの珠玉の名曲が惜しみなく使用されているので、ぜひとも映画館で堪能していただきたい。

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また、200年前のヨーロッパを再現するために、「LEDウォール」によるバーチャルプロダクションの技術を使用。当時の資料や写真をベースに、シーンごとに用意された背景画像をリアルタイムで3DCG表示する技術が駆使されており、臨場感バツグンだ。

1本の記事に書き切れないほど見どころの多い『ベートーヴェン捏造』。Mrs. GREEN APPLEの藤澤涼架がショパン役で出演しているのも見逃せないし、ほんの少しだけ姿を現す朝ドラ等でおなじみのキャストも、ぜひ見つけてみてほしい。


映画『ベートーヴェン捏造』2025年9月12日(金)全国公開

出演:山田裕貴、古田新太、染谷将太、神尾楓珠、前田旺志郎、小澤征悦、生瀬勝久、小手伸也、野間口徹、遠藤憲一 ほか
原作:かげはら史帆『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(河出文庫刊)
脚本:バカリズム 監督:関和亮
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/beethoven-netsuzou/
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ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP