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「日曜劇場のファンになったドラマ」「本当に最高傑作」8年前“豪華キャスト”が紡ぎ出した大人気“企業小説の映像化”作品

  • 2025.9.27

2017年10月期に放送された役所広司主演のTBS系ドラマ日曜劇場『陸王』。池井戸潤原作の同名小説を映像化しており、創業100年以上の老舗足袋業者「こはぜ屋」の再生ストーリーが描かれる本作。幾度となく苦難が立ちはだかるなか、何度も踏ん張り、そして輝く登場人物たちの姿がまぶしかった。今回は豪華キャストが紡ぎ出した物語の魅力を掘り下げたい。

創業100年の“しぶとさ”で“誇り”を守った会社社長・宮沢

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役所広司 (C)SANKEI

老舗足袋業者“こはぜ屋”が再起をかけ、ランニングシューズ“陸王”の開発に挑戦する本作。さまざまな壁にぶち当たるも、良い“しぶとさ”をもった面々が人の心を動かし、多くの奇跡を生み出した。その諦めない熱意を誰よりも持っていたのが、“こはぜ屋”四代目社長・宮沢紘一(役所広司)だ。

第1話では、会社の資金繰りに頭を悩ませていた宮沢。銀行の融資担当・坂本(風間駿介)から新規事業の提案を受け、宮沢は足袋の技術を活かしたランニングシューズに目をつける。しかし、その奥深さに圧倒されそうになっていた。そんな折、宮沢は息子・大地(山﨑賢人)と観に行ったマラソンで、激走していた実業団ランナー・茂木(竹内涼真)がケガで棄権する姿を目撃。宮沢は“けがをしにくい”ランニングシューズ作りに挑戦することを決意する。

だが、シューズ作りのノウハウは一切無く、開発費などで経営もひっ迫。従業員からも不満が噴出し、坂本も“こはぜ屋”への対応が原因で転勤させられる。社員のリストラを迫られ、窮地に立たされた宮沢。それでも、宮沢は同志・坂本の尽力に感謝し、先代が挑戦したマラソン足袋の失敗作を“たすき”、従業員を未来につなぐ“ランナー”と称して、銀行の新たな融資担当からのリストラ提案を拒否した。こうして、“陸王”に会社の未来を懸けたのだった。

前途多難な道を進もうとする宮沢の頭に浮かぶのは、懸命に走ろうとした茂木の姿や従業員たちの顔。宮沢がワンマン社長ではなく、周囲の意見を参考にしながら悩みつつ進む人物であることも魅力的だ。茂木のため、そして支えてくれるみんなと共に情熱を注ぐ姿勢が、“陸王”開発に関わる人々や視聴者の心を動かした。

ランナー・茂木の再起、就活中の息子・大地の成長に感動

坂本やシューズ開発面での助言をしてくれるスポーツショップ経営者の有村(光石研)をはじめ、回を追うごとにシューズのソール素材として着目した“シルクレイ”の特許を持つ飯山(寺尾聰)、米国の一大手スポーツ用品メーカー“アトランティス”のシューヒッター・村野(市川右團次)…と、さまざまな強い味方が登場。

村野を介して茂木選手を“陸王”でサポートする茂木。“陸王”で走法に変化が生まれ、結果を出していく。一方、就活中だった大地は飯山のアシスタントとしてシルクレイの製造に関わるようになり、真剣に仕事に打ち込む。2人の奮闘する姿も、本作の大きな魅力だ。彼らのひたむきな姿に応援したくなり、みるみると表情が明るく変わっていく姿に、清々しさを覚えずにはいられない。

宮沢たちの行く手を阻む障壁さえも物語を支えるファクターに

宮沢、こはぜ屋の従業員、周囲の尽力により、開発だけでも大変だった“陸王”は誕生する。だが、茂木が履くようになってからは、アトランティスからの妨害や、素材供給の停止など困難が続いた。さらには、会社の危機を救うため、米国企業からの買収案まで持ち上がる。こうして、さらなる苦難が待ち受けていた。

なかでも、こはぜ屋のライバルとして描かれたアトランティス社員の存在は大きく、彼らの揺れ動く心の変化も、物語を支えるファクターの一つとなっていた。

放送後、老若男女さまざまな視聴者から反応が寄せられた。「頑張ろうと思えました!」「新しいことにチャレンジすることの大切さをこのドラマから学びました」「日曜劇場のファンになったドラマ」「本当に最高傑作」とさまざまな声が上がっている。学びや元気を与え、視聴者のエールにもなった本作の感動を、ぜひ体感してほしい。


ライター:小松加奈
ライター/編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー/レビュー/コラム記事などを手掛ける。