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「昼からまたがんばれる」とろみと企業秘密のスパイスで苫小牧名物になった名店の意外な歴史

  • 2025.8.10

HBC テレビで、毎週月~金曜ごご4:50~7:00に放送中の情報ワイド番組「今日ドキッ!」。
北海道のさまざまな話題をご紹介している「今日ドキッ!」から、選りすぐりの情報をお届けします。

新しいお店が次から次へとオープンする一方、長く続いているお店があります。
北海道で50年以上続くお店にスポットをあて、愛されている理由を探るコーナー「ザ・ロングセラー愛されるにはワケがある」。
今回は、苫小牧名物の「カレーラーメン」発祥店に注目しました。

創業60年目 味を守り抜く3代目に密着

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苫小牧の国道36号線沿いに佇む「味の大王・総本店」。
今年で創業60年目を迎える老舗ラーメン店です。
ピーク時には広い駐車場はほぼ満車の状態に。

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同じく広い店内もほぼ満席!
お客さんのお目当ては…?

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このお店のロングセラーの元祖カレーラーメン。
ドロっとした濃厚なカレースープが昔ながらのちぢれ麺によく絡む大人気の逸品!
お客さんの約9割が注文する看板メニューです。

1日にもやし30キロ!

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3代目 中江 友紀さん:「29杯大盛の…全部で30杯ってこと?」店員:「全部で30です!」
一度に30杯のオーダーが入ることもある大忙しの厨房。

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鍋を振るっていたのは、3代目の中江 友紀(なかえ・とものり)さん。

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番組スタッフ:「もやしは一日どれくらい使うんですか?」3代目 中江 友紀さん:「もやし?1日2,30キロ?」

麺は創業当時から変わらない太めの縮れ麺を使用。
ベースは豚骨スープ、豚の頭・豚の骨・鶏の手の部分を圧力鍋で4時間煮込み、仕上げます。

3代目 中江 友紀さん:「豚の頭を使うことで、コラーゲンが入っているのでスープにもちょっととろみが出てくる」

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核となるカレーペーストには、数種類の果物、スパイスが入っています。
中身は企業秘密!60年間、試行錯誤を繰り返しながらたどりついた究極の味です。
スープに加えるのは自家製の香味油。
豚の背油・鶏油(チーユ)に、風味を豊かにするスパイスを加えています。
カレーペーストの中に入っている小麦粉がスープと混ざることで、さらに独特のとろみが生まれるのです。

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大量のもやしとわかめ、チャーシューをトッピングしたらカレーラーメンの完成!

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東京から:「カレー感がすごい。カレーライスの麺版みたいな。おいしいですよ」

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札幌から:「おいしくて、ボリュームもあって昼からまた頑張ろうかなという気持ちになります」

「味の大王」誕生の歴史…「邪道」と言われ…

幅広い人に愛される元祖カレーラーメン。
誕生の歴史は?

3代目 中江 友紀さん:「1965年に創業しまして、当時の高橋 一郎さんが初代にあたるんですけれども」

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1965年、初代の高橋一郎さんが苫小牧の繁華街大町に味の大王を開業。

3代目 中江 友紀さん:「北海道は“味噌ラーメン”だよね。っていうのが広く回っている中でうちも例にもれず、味噌ラーメンが売りだったんです」

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当時は、“札幌味噌ラーメン”が誕生した直後だったこともあり、多くのお客さんのお目当ては味噌ラーメンでした。

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3代目 中江 友紀さん:「やっぱり『大王独自のカレーラーメンを出したい』『他と差をつけたい』ということで、当時カレーライスっていうのもやってたんですよ。カレーライスのカレーとラーメンをかけ合わせたらどうだろうというところで」

一躍大人気メニューが誕生!かと思いきや…

3代目 中江 友紀さん:「“カレーラーメン”というものが全くもって受け入れられなかった。一口食べて帰るお客さんだったり『こんなのラーメンじゃない』『邪道だ』とか」

当時のお客さんの反応は冷たいものでした。
加えて、資金繰りも厳しく1年ほどでお店は閉店。

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3代目 中江 友紀さん:「初代の奥さんの実家である岩見沢に行って、岩見沢で味の大王始めたんですよ」

初代の一郎さんは、岩見沢で新たに「味の大王」を開店。

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3代目 中江 友紀さん:「バスの運転手だった、小柳さんが脱サラして修行に来て」

カレーラーメンに ほれ込み脱サラをした小柳さんは、のれん分けしたのち、地元の室蘭で「味の大王」を開店。

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室蘭名物でもある、味の大王のカレーラーメンの原点は苫小牧にあったんです。
一方、一郎さんは岩見沢の店を閉め、苫小牧錦町で再スタート。

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3代目 中江 友紀さん:「今から30年くらい前にこの植苗に総本店を移したんです。当時、郊外型ラーメン店っていうのがブームだったんですよね」

その一方で…

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3代目 中江 友紀さん:「『味の大王って“カレーラーメン”だよね。』って、言われる前の時代で。あまりにも振るわなくて。明日にでも店閉めようかぐらい」

タクシー運転手が救った…!

そんなある日思わぬ出来事が…。

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3代目 中江 友紀さん:「たまたま、タクシーの運転手さんが食べに来て。その方がテレビ局に電話して『おいしいラーメン屋がある』って。味噌ラーメンがおいしいよっていうネタで。そこからドカンと持ち直して。首の皮一枚つながった」

運転手の口コミとメディアの取材により「味の大王」の名が知れ渡ることに。
当時、邪道扱いされていたカレーラーメンも徐々に人気を伸ばしました。

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3代目 中江 友紀さん:「初代がカレーラーメンを作って、2代目がそれを広めていった。イベントに出店したりとか、それが実を結んだ」

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2代目の浩一さんの宣伝で、より認知度が高まったカレーラーメン。
マチを挙げて盛り上げようと13年前、市民の有志団体も結成されました。

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3代目 中江 友紀さん:「その団体を作ろうってなった時に、メンバーの1人1人が2代目に『カレーラーメンって苫小牧のソウルフードですよね』って言ってくれたみたいなんですよ」

ついに、苫小牧のご当地グルメとして認知されるように。
初代が作り、その息子の2代目が広めたカレーラーメン。
血縁関係のない中江さんが3代目を継いだワケは?

残すだけではなく次世代へ

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3代目 中江 友紀さん:「僕、釧路出身なので、釧路のラーメン屋さんの店長をやっていて」

その働きぶりに目を付けた一郎さんは中江さんを熱烈スカウト。
熱意に押され、2007年に「味の大王」に入社しました。

3代目 中江 友紀さん:「先輩方もたくさんいたので『この方々の誰かが継げばいいんだろうな』っていう気持ちでいたんですけど」

後継ぎを探していた2代目の浩一さん。
中江さんは働きぶりを買われ、3代目に抜擢されました。
これからの目標は?

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3代目 中江 友紀さん:「残していきたいっていうのは当然あるんですけど、それだと守りにしかならないので、もっと次世代に“カレーラーメン”を広めて根付かせていって、『昔、カレーラーメン食べたよね』みたいな、思い出としてまず残ってもらいたい。『カレーラーメンのために味の大王行ってみよう。だから苫小牧行ってみよう』っていう風になってくれればいいなと思います」

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番組スタッフ:「何回来ても飽きない味?」千歳から:「飽きないですね、相変わらずおいしいんでまた来ると思います」

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市内から:「10回くらい来てるんじゃないかな?いつもと変わらずおいしいです」

愛されるワケは…

今年で創業60年目を迎えた味の大王・総本店。
愛されるワケは?

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3代目 中江 友紀さん:「時代とともに変化させてるんですけど、昔を知っている方々には『いつも変わらないね』って言っていただける。時代とともに変化するとはいえ、ベースを崩さずにやってこれているのがいつも利用していただけるお店なのかなと思います。気取らずに、ラーメン屋の泥臭さをこれからも残していきたい」

味の大王 総本店

住所:苫小牧市植苗138-3

土日問わず込み合う大人気店ですが、整理券を配布しているので外で並ばずに車で待つこともできます。暑い夏の日のお出かけにもおすすめです。

※掲載の内容は番組放送時(2025年7月22日)の情報に基づきます。

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