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妊婦優先の駐車場に停めると窓を叩かれ困惑「車椅子のほうが大変よ!」理不尽に怒り続ける女性に私は

  • 2025.8.10

息子を妊娠し、臨月を迎えたころの話です。重いものは持たないほうがいいと思い、なるべく買い物は夫に手伝ってもらっていましたが、どうしても必要な物があり、健診のついでにひとりで買い物に向かいました。その際、思いやりスペースに車を停めて優先駐車場利用のカードを吊るしていた私。すると突然、車椅子に乗った女性が窓を激しく叩いて怒鳴り始めたのです……。

急に車を叩く音が…!?

出産を控えた臨月のある日のことです。車で10分ほどの距離にある病院へ健診に行き、帰り道に必要なものを思い出してホームセンターに立ち寄りました。一般の駐車場は狭くおなかがつかえてしまうので、妊産婦や障害者、体が不自由な人が利用できる思いやりスペースに駐車。役所で交付してもらった優先駐車場利用のカードをルームミラーに吊るしていると、突然助手席の窓がバンバンバン! と強く叩かれたのです。

驚いて助手席の窓を開けると、「ここは身体障害者用の駐車場!」と怒る女性の声がします。慌てて外へ出てみると、車椅子に乗った40代くらいの女性が「車椅子の人のことも考えてください!」と怒鳴り声をあげました。もしかして車椅子専用のスペースだったのかも、と不安になり看板を見ると、妊婦やお年寄りのマークも書いてある駐車場だと確認できました。私の停めたスペースの横には、もうひとつ思いやりスペースが空いているので、まだほかの人も停められるはず。「私、妊娠していて、今臨月なのでここを使ってもいいはずなのですが……」と伝えました。当然納得してくれると思ったのですが、予想外の言葉が返ってきます。

女性は「車椅子のほうが大変なの!! おなかが大きいくらいで使われたら迷惑なのよ! 思いやりを持ちなさいよ!」と金切り声で叫んできたのです。思わず「あなたに私の大変さがわかるの?」と言い返してしまいそうでしたが、グッと堪えました。「おなかが大きいと乗り降りが大変だから、思いやりスペースを使っているんです。あと、荷物を運ぶのは体に負担がかかるから、出入り口が近いほうがいいんです」「それにもし、おなかが大きいのに普通の狭い駐車スペースに停めて、ほかの車にドアをぶつけてしまったら、あなたが責任を取ってくれるのですか?」と感情的にならないように聞くと、女性は「え?」と急に目を泳がせて口ごもります。

「ここは妊婦でもお年寄りでも、松葉杖の人でも使える場所です。車椅子の人だけの場所じゃありません。あなたこそ、ほかの人にも思いやりを持ってください」という私の言葉に、駐車場のほかのお客さんが注目し始め、女性はさらに黙ってしまいました。

いつまでもその場にいて欲しくなかったので「これ以上しつこくされるなら、車を強く叩かれて困っていると警察を呼びますよ!」と少し強い口調で言うと「ふ、ふん! 何よ偉そうに……」とブツブツ文句を言いながらお店の中に入っていき、ようやく解放されたのです。

その後、興奮したせいで買い物をする気力がなくなってしまいましたが、そのまま帰るのはなんだかしゃくだったので、予定通り堂々と買い物をして帰りました。

車椅子を利用する人も、もちろん「思いやり」を必要としていると思います。しかし、だからと言ってほかに「思いやり」を必要とする人の事情を無視して、自分が優先されるべきと主張するのはよくないと感じました。この女性を反面教師として、自分も自己中心的な考えをしていないか気をつけて過ごそうと、改めて意識するきっかけとなった出来事です。

◇ ◇ ◇

この方が使用していた「優先駐車場利用のカード」は、「パーキング・パーミット制度」に基づくものです。この制度は、妊婦や障害者、高齢者、けがをしている方など、駐車場利用に特別な配慮が必要な方が、思いやりスペースや優先駐車場を安心して利用できるように作られた仕組みです。

パーミット(許可証)は自治体で交付され、車のルームミラーに吊り下げるなどして外から見えやすい方法で使用します。これにより、必要性のある方が周囲の理解を得ながら、広めの駐車スペースを利用できるようになります。交付を希望する場合は、自治体の窓口で申請が必要です。

臨月では、おなかが大きくなり車の乗り降りや荷物の積み下ろしが難しくなるので、一般の駐車スペースでは隣車との間隔が狭く、身体をぶつけたり無理な姿勢を取るリスクが高まります。こうした負担を軽減するためにも、思いやりスペースをためらわず利用してくださいね。また、周囲の車にドアをぶつける可能性も減らせるため、結果的に他の利用者にも配慮することにつながります。

ただ、臨月の運転は体調の変化や陣痛、おなかの張りなどの突発的な症状が起こる可能性があるので、できるだけ控えることが重要です。どうしても車を運転しなければならない場合には、シートベルトを正しく装着し、こまめに休憩をとる、悪天候や慣れない道での運転は避けるなど注意しましょう。万が一に備えて、母子健康手帳を携帯しておくとよいですね。

著者:清水清香/30代・ライター。1歳のひとり息子の母。共働きで忙しいが、充実した生活を送っている。趣味でイラストを描いたり、編み物をしたりするのが好きで、子どもの小物を作って楽しんでいる。

作画:Pappayappa

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)


監修者:助産師 関根直子

筑波大学卒業後、助産師・看護師・保健師免許取得。総合病院、不妊専門病院にて妊娠〜分娩、産後、新生児看護まで産婦人科領域に広く携わる。チャイルドボディセラピスト(ベビーマッサージ)資格あり。現在は産科医院、母子専門訪問看護ステーションにて、入院中だけでなく産後ケアや育児支援に従事。ベビーカレンダーでは、妊娠中や子育て期に寄り添い、分かりやすくためになる記事作りを心がけている。自身も姉妹の母として子育てに奮闘中。

ベビーカレンダー編集部

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