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小説出版80周年記念!トーベ・ヤンソンの創作の世界を振り返り、代表作「ムーミン」シリーズの魅力に迫る「トーベとムーミン展」開催

  • 2025.7.31

1945年、第1作めの小説『小さなトロールと大きな洪水』が出版されてから80年。「ムーミン」の物語は、油彩画、風刺画、漫画、絵本、小説、壁画など、さまざまな作品を手がけてきたアーティスト、トーベ・ヤンソン(1914-2001)によって誕生しました。豊かな自然のなかで暮らす個性的なキャラクターたちはただ愛くるしいだけではなく、ナイーブな一面や思いやり、優しさ、哀しみ、寂しさなども素直に表現するその“人間味”から幅広い世代に支持され、今もなお世界中で愛され続けています。現在、六本木ヒルズ森タワー52階にある森アーツセンターギャラリーで開催されている「トーベとムーミン展〜とっておきのものを探しに〜」では彼女の多彩な作品やスケッチ、愛用品など約300点を通して創作を振り返り、寛容と多様性に満ちたトーベの多岐にわたる作品世界を紹介しています。
■トーベ・ヤンソン「遊び2(アウロラ病院小児病棟の壁画のためのコンペティション用スケッチ)」1955年
テンペラ、カンヴァス ヘルシンキ市立美術館 © Moomin Characters™ Photo © HAM / Hanna Rikkonen

「ムーミン」だけじゃない! アーティスト、トーベの創作世界を振り返る

彫刻家の父、挿絵画家の母の影響を受け、7歳の頃には自ら物語を書き、挿絵まで描いていたという非凡な才能を持つトーベ・ヤンソンの活躍は多岐にわたります。会場に入るとずらりと並ぶ油彩画、そして雑誌や小説の数々。これらすべてトーベが手がけた作品とは!とまず驚きます。政治風刺雑誌『ガルム』で挿絵が初掲載されたのは15歳の時のこと。以来、1953年の廃刊まで20年以上同誌で画家として活躍し続けたトーベの作品には、反戦への思いも色濃く表れています。

年代ごとに並ぶ油彩作品の数々

生涯にわたり描き続けたという自画像をはじめとする人物画、彼女にとって愛すべきモチーフだった海など、年代ごとにずらりと並べられたトーベの油彩画は「ムーミン」の世界とはまたひと味違う印象。
■トーベ・ヤンソン「煙草を吸う娘(自画像)」1940年 油彩、カンヴァス 個人蔵
© Tove Jansson Estate Photo © Finnish National Gallery Yehia Eweis

多くの反戦風刺画を描いた『ガルム』誌

フィンランドの政治風刺雑誌『ガルム』で表紙画や挿画を描いたトーベ。実は1943年4月の『ガルム』誌にはムーミンの前身「スノーク」が登場しています。どこに隠れているか会場で探してみて。
■雑誌『ガルム』1945年イースター号 ムーミンキャラクターズコレクション © Tove Jansson Estate

トーベが手がけた壁画など、映像展示にも注目!

小説、コミック、絵本とトーベが手がけた「ムーミン」作品はもちろん、キャラクターのスケッチや原画が大集合! ムーミンと仲間たちが描かれた250点以上の作品では、さまざまな表情のキャラクターたちと出会うことができます。また、第二次世界大戦後の復興期には壁画なども描いていたトーベ。彼女が公共施設などで壁画を描いていたことは日本ではあまり知られていないため、ファンでも初見の方も多いであろうかと思いますが、その貴重な壁画作品も2面合わせて幅約7メートルの原寸大映像で紹介されています。その他「ムーミン」の小説のなかに迷い込んだかのような趣向を凝らした映像展示の空間では、「ムーミン」作品のキャラの一員になったかのような気分に浸れます。
■トーベ・ヤンソン「フェアリーテイル・パノラマ」(左面)1949年 フィンランド・コトカ市

内覧会には、ヘルシンキ市立美術館館長とキュレーターも参加

フィンランドでもっとも愛されているアーティストの一人であるトーベ・ヤンソン。2026年には新しくトーベ・ヤンソン・ギャラリーをオープンさせるヘルシンキ市立美術館の館長、アルヤ・ミッレルさん(写真左)と同キュレーター、ヘリ・ハルニさん(写真右)も、「本展では輝かしい存在でありながらも見過ごされてきたトーベ・ヤンソンの才能と功績に焦点を当てています」と語るとおり、この「トーベとムーミン展」では新ギャラリーオープンに先駆け、さまざまな演出でトーベの人生と作品の軌跡をたどることができます。

展覧会へ訪れたらぜひ図録もチェックして!

図録には色鮮やかな油彩画、壁画、ムーミンの原画やスケッチなど250点以上を収録。ヘルシンキ市立美術館の協力によって、小説やコミックスの解説も多数掲載され、読み応えも抜群。多方面で活躍したトーベ作品の魅力を余すところなく紹介しています。手に取るだけでワクワクするブックデザインはグラフィックデザイナー・大島依提亜さん、勝部浩代さんによるもの。ファン垂涎の図録、ぜひ展覧会を訪れた記念に手に取ってみてください。

魅力的なグッズがずらりと並ぶ特設ショップには貴重な限定品も!

展覧会を堪能した後は特設ショップでグッズ選びを楽しんで! ぬいぐるみやトートバッグ、オリジナルブレンドティーにマグカップと、さまざまなアイテムが揃っています。あれこれ選んでいるとあっという間にかごがいっぱいになってしまうはず。展覧会に出品されている作品画像を用いた貴重なオリジナルアイテムはファン必見です。

同階の「THE SUN & THE MOON(Cafe)」では会期中、期間限定のコラボレーションカフェとして、ムーミン谷をモチーフにしたメニューが登場。ムーミンや仲間たちをテーマにしたここでしか味わえないスイーツやドリンク、お料理を取り揃えています。「ムーミンママの手料理」や「わた雲パフェ〜リトルミイ〜」など、ネーミングも見た目も魅力的。アートを堪能した後も、存分に「ムーミン」の世界の余韻に浸ってください。

「トーベとムーミン展〜とっておきのものを探しに〜」は森アーツセンターギャラリーにて9月17日(水)まで開催。

この記事を書いた人

エディター/ライター 久武ミキ

久武ミキ

出版社、広告会社勤務を経て独立。女性誌、専門誌などでビューティー&ウェルネス、アートを中心に、ライフスタイルにまつわる記事を多数執筆。東京と鎌倉で2拠点生活をおくる猫好き編集者。

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