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トレンドを超えて、いつの時代も愛される「ローテクスニーカー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.104】

  • 2025.7.30
トレンドを超えて、いつの時代も愛される「ローテクスニーカー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.104】
出典 FUDGE.jp

連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。104回目は、FUDGE dig.と連動して「ローテクスニーカー」のルーツを探ります。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!

【用語解説】まずは「ローテクスニーカー」を知ろう。

トレンドを超えて、いつの時代も愛される「ローテクスニーカー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.104】
出典 FUDGE.jp

「ローテクスニーカー」はハイテクスニーカーと対局にあるスニーカーを指す言葉です。ローテクとはローテクノロジーの略で、かみ砕いていえば、最新のものではないということ。ゆえに「ローテクスニーカー」はその多くが1970年代から1990年代に販売されたもので、長く展開され続けている、あるいは昔販売されたのを復刻させたスニーカーということになります。いまどきのスニーカーと違い、機能性やデザイン性を追求しすぎず、シンプルなものがほとんど。代表例として、《コンバース》の”オールスター”や、《アディダス》の”スタンスミス”などが挙げられます。

【歴史】女優やスケーターに支持されて、スポーツシーンからファッションシーンへ。

トレンドを超えて、いつの時代も愛される「ローテクスニーカー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.104】
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初期のキャンバススニーカーやゴムソールスニーカーが誕生したのは1920年代~50年代。《コンバース》の”オールスター”や《アディダス》の初期の複数のモデルがこの時期に登場しています。このころのシンプルなデザインのスニーカーがいま「ローテクスニーカー」と呼ばれる「スニーカー」やその前身となっているわけですが、当初はあくまで運動靴の延長として捉えられていて、今のように脚光を浴びることはなかったようです。

1960年代になると、運動靴から少しばかりの進化を遂げ、テニスシューズやランニングシューズ、サッカーシューズなど、アスリート向けに軽く、動きやすい、あるいは走りやすいといった、機能性を重視したスニーカーが開発されました。それでもその機能は現代のものと比べるとまだ夜明け前。スニーカーの立ち位置も、スポーツをするときに履くためのものという認識は変わらず。様々な意味で、「ローテクスニーカー」はまだまだ「ローテク」だったといっていいでしょう。

ただ、この後、じわりじわりとスニーカーが運動靴の域を脱し始めます。きっかけとなった一足は、《ナイキ》の”コルテッツ”。1976年のアメリカのドラマシリーズ『チャーリーズ・エンジェル』で、敵に追われる、主人公を演じるファラ・フォーセットが、スケートボードで公園の中を滑走する際に、”コルテッツ”を履いたのです。ファラ・フォーセットは当時のファッションアイコンでしたから、彼女の人気に後押しされる形で、”コルテッツ”はもとより、「ローテクスニーカー」の立ち位置に変化が生じたのは当然の流れでした。

1980年代に入ると、今度はスケーターファッションが日本に流入してきます。スケーターの足元の定番は「ローテクスニーカー」。彼らにならって、例えば《ヴァンズ》のスニーカーなどの「ローテクスニーカー」を日常的に履くといった人を見かけるようになりました。

トレンドを超えて、いつの時代も愛される「ローテクスニーカー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.104】
出典 FUDGE.jp

このあたりが、「ローテクスニーカー」がスポーツアイテムなだけでなく、ファッションアイテムに昇華したタイミングと言えるのではないでしょうか。《ヴァンズ》以外に、たとえば《アディダス》の”スタンスミス”や《プーマ》の”スウェード”なども、ファッション誌などで取り上げるようになった「ローテクスニーカー」として挙げられるでしょう。

ただ、その後、1990年代に入ると、技術の進歩や時代背景もあって、機能性が増した「ハイテクスニーカー」が注目されるようになり、「ローテクスニーカー」はいわば日陰の存在となる時期に突入します。そうはいっても、ブームとは無関係に支持し続けるセレブリティやアスリート、ファッションアイコンが存在したのも事実。根強いファンを持ち続けたまま、時代を超えて愛され、いまはむしろ「クラシック」「オーセンティック」「スタンダード」な存在として、多くの人にとってなくてはならない存在になっています。

【雑学】映画『ハリー・ポッター  不死鳥の騎士団』でハリーが履いていたのも「ローテクスニーカー」の代表選手

トレンドを超えて、いつの時代も愛される「ローテクスニーカー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.104】
出典 FUDGE.jp

FUDGE GIRLの中にもファンが多い映画『ハリー・ポッター  不死鳥の騎士団』ですが、この作中、ハリーは一貫してブルーの《コンバース》のローカットタイプを履いています。このローカットタイプこそ、まさに「ローテクスニーカー」と言え、ハリーがそのスニーカーのローテクな雰囲気と好相性な、パーカ×Tシャツ×ストレートデニムというアメカジコーデを纏っています。「ローテクスニーカー」も「アメカジ」も、今の時代においてはもはやトレンドとは全く別のステージにあり、時代を超えて愛されるアイテムであり、コーディネート。いつ見ても古びず、見ていて安心感を伴うものだなぁと、この映画を通じて感じられることでしょう。

 

監修:朝日 真(あさひ しん)

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A

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