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スマホ依存から抜け出すために。週末でできるストイックなデジタルデトックス【忙しい人の休養学 vol.3】

  • 2025.7.26

手放したいのにやめられない。デジタルデバイスとの、丁度良い距離のとり方

Portrait of Asian teen girl lying in bed at night and using smartphone. Young woman lying in bed using smartphone for social media and watching series at late night. Insomnia, sleep disorder concept.

寝る前にベッドで枕元のスマートフォンでSNSをチェックしたり、次々とショート動画をスワイプして観たり。そんな習慣のある人はごまんといるが、ただでさえ忙しい人にとっては、限られた睡眠時間が奪われるだけでなく、睡眠の“質”を下げるクリティカルな悪習となりうると睡眠の専門家である井坂先生は指摘。

「目に明るい光が入ると、睡眠物質であるメラトニンが抑制されてしまいます。さらに、スワイプするという能動的な行動が、脳を覚醒させ、ますます眠りの質が低下。ベストなのは、就寝の1時間~ 1時間半前からはブルーライトや明るい照明を避けること。いきなりやめるのが難しいなら、せめて動画を音声だけで聴くようにしたり、スマートフォンに触れない時間を徐々に長くしていくなどの工夫をしてみてください。

だんだんと慣らしていくという意味では、禁煙治療のプロセスに似ているところがありますね。大事なのは、自分なりの成功体験を積み重ねていくこと。例えば、1時間スマートフォンを触らずに過ごせたら、ちょっとしたご褒美を用意しておくとか、そういった仕掛けも有効です。タイマーをかけて時間制限を設けたり、電源を切る時間を設定するのもよいでしょう」(井坂先生)

最近はスマートフォンを強制的に触れなくするタイマー付きのロックコンテナやケースもある。どうしてもスマートフォンに依存してしまう自覚のある人は、物理的にロックしてしまうのも手だ。強制的にデジタルデトックスをするという意味では、携帯電話の電波が入らない、あるいはWi-Fiのない宿へ出向き、強制的に自身をデジタルから切り離すといったことも有効なよう。「ウィークデイにデジタルデバイスを手離せない人は、週末に限ってデジタルデトックスをするといった行動にトライするのも手。週に1、2回でも実践して、だんだんと慣らしていきましょう」(井坂先生)

「ちょっと不自由なホテル」がコンセプトの、山あいに位置する民家を改修した1日3組限定の宿。キャリアや場所によっては携帯電話の電波が入りにくく、デジタルデトックスに最適の環境。屋外型のフィンランド式サウナを備え、スローな時間を楽しめる。

ume, yamazoe

奈良県山辺郡山添村片平452

TEL/0743-89-1875

料金/[日帰り利用(サウナBBQプラン)]1名あたり¥9,800、※ご宿泊の場合は、宿泊代金にサウナ2時間利用が含まれます。

https://www.ume-yamazoe.com/

常時つながっているのは危険。脳にもオフラインの時間を

フランスでは2017年から、勤務時間外や休日に仕事の連絡から解放される「つながらない権利」を法律で認めるなど、世間でもデジタルデバイスとの付き合い方は議論されているが、片野先生も注目している様子。「日本でも、『つながらない権利』の導入が議論されるなど、時代とともに、問題が存在感を増してきました。脳は睡眠中に、一日の情報を取捨選択、整理をしているとされますが、それだけでなく日中のふとした『余白』の時間にも、脳を一旦休めているといわれています。

ところが、常にスマートフォンがそばにあると情報の整理をする暇がないため、脳が休まらないのです。デジタル化に伴ってものごとのスピードが速まり、隙間時間にも効率的に情報収集するなど、一見すると効率が良くなっているように見えますが、脳の休養という観点ではおすすめできません。オフの日だけでもデジタルデバイスなしで過ごしてみると、自身が依存していたことがわかります。デジタルデトックスをし、端末がなくても問題なく生活ができると自分自身に“わからせる”ことは重要です。

より手軽な方法としては、目を瞑って楽しいことを思い浮かべるなどして、強制的にデジタルデバイスをシャットアウトすること。電車などの移動のシーンではスマートフォンを見ないと決めることも、有効ですよ。血流という観点では、スマートフォンを見るときは下向きの姿勢が続くので、定期的に首をのばすといったケアもぜひ」(片野先生)脳を休息させるため、今度の週末はすべてのガジェットを置いて出かけてみてはいかがだろうか。

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話を聞いたのは……

HIDEKI KATANO

片野秀樹。博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事。大学、理化学研究所を経て、現在は同協会にて研究員や講師を務める“休養の専門家”。休養に関する社会問題解決やリテラシー向上に取り組む。著書に『休養学:あなたを疲れから救う』など。

NAO ISAKA

井坂奈央。医学博士、Dクリニック東京ウェルネス 睡眠・SAS外来 睡眠センター長。日本睡眠学専門医。耳鼻咽喉科分野でのキャリアを経て、睡眠分野の診療を行う。診療科の枠を超えた睡眠分野の問題解決を担い、現代人の睡眠事情に精通する。

Text: Kiriko Sano Editor: Misaki Kawatsu

※『VOGUE JAPAN』2025年8月号「アクティブに攻めて、効率的に休む 忙しい人の休養学」転載記事。

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