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エンディングノートは50代から準備すべき!もしものときに周りが困らないためにできること

  • 2025.7.30

もしもの時のための備えとして注目を集めているエンディングノート。
「まだ早い?」と思っている人も、自分の現在を見つめ、未来を考えるためのきっかけとして、始めてみませんか?

お話を伺ったのは・・・
日本エンディングサポート協会 理事長
佐々木悦子さん
中立公正な立場で「終活の無料電話相談」を開設し、生活者の視点に立った具体的なアドバイスを20年以上行う。著書に『子がいない人の終活・手続きあんしん帖』(池田書店)ほか。

エンディングノートが注目される理由は?

大きな災害以降、終活に関心が高まる
「終活という言葉が聞かれ始めたのは、東日本大震災以降。コロナ禍を経て定着し、高齢化が都市部よりも先に進んでいる地方では、自治体をあげて取り組んでいる地域も多いです」と、日本エンディングサポート協会の佐々木悦子さん。
背景には急速な高齢化があります。
50代が後期高齢者になる2050年には、単身世帯の実に5割が高齢者になるというデータが。老後を子どもに任せるのが難しくなり、誰もが自分でエンディングライフを考える時代になりました。

親の介護などをきっかけに自分の終活を意識する
「50代は親の介護や看取りを経験することで、自分の老後を意識し始めます。高齢で不自由になったり病気になってから慌てるのではなく、元気な今のうちに、今後について少しずつ考え始めることが大切です」
50代は、これからも健康を維持し、収支を考えて老後の経済上の不安を解消するのにふさわしい時期。
さらには、ひとり暮らしになった場合の協力者を見つけておくのも大切です。とはいえ、なにから始めたらいいのかわからない人も多いでしょう。
そのための道しるべになるのが、エンディングノートです。

これからは、「夫婦と子」からなる世帯は少数派に。
単身世帯の半分以上を高齢者が占めるようになります。高齢になっても可能な限り自立できるよう、人生設計する必要が。

エンディングノートはなぜ大切なの?

もしものことがあったときまわりが困らないために
エンディングノートとはいまの自分のことや、「もしも」のときにどうしてほしいのかを、誰かに伝えるためのもの。
それを書くことで、自分の思いを整理したり、どんな最期を迎えたいのか考えることができます。
「終活なんてまだ先」と思っている人でも、事故に遭ったり体調不良で緊急搬送されたりしたときに、エンディングノートが役に立ちます。
ノートの場所がわかれば、かかりつけ医や知らせてほしい人へ、知り合いや救急隊員が連絡をとってくれます。

まずは1冊ノートを買って書ける項目を埋める
最初は難しく考えず、市販のエンディングノートを1冊買って、書けるところから書き始めれば、「終活というのは、こういうことを準備するんだな」と理解することができます。
筆が進まなかったり、わからないところはそのまま、いつか方針が決まるまで、空欄にしておきましょう。また、ノートを託せる人は誰かと考えると、人間関係を振り返る契機にもなるでしょう。
「エンディングノートは人生の棚卸しのようなもの。書くことで漠然とした不安が具体的になったり、これからも自分らしく生きるためにどんな備えが必要なのかが見えてきます。終活セミナーに参加したり、死ぬ前にやっておきたいことにチャレンジしたくなるかもしれません」

エンディングノートにはどんなことを書くの?

エンディングノートには、自分に関することを記すと同時に、家族や友人にどうしてほしいのかの希望と実現手段を、具体的に書いていきます。

自分の人生を見直し、“誰かに託す”ために書く
エンディングノートは、自分になにかあったとき、残された人に大事なことを伝えるものです。関係者の連絡先はもちろん、医療、介護、葬儀、お墓についての考え方や準備していることを記せば、ノートを見た人たちがその方針に従って動きやすくなります。
エンディングノートがなく、あなたの考えを誰も知らない場合は、関係者が判断することになり、相手に負担をかけることにもなります。
50代は、延命治療や葬儀など、まだ遠い話と思う人もいるかもしれませんが、いざというときにまわりにどうしてもらいたいか時間をかけて考えてみるいい機会です。

パートナーや子どもがいない人
は、エンディングノートを誰に託すのか考える必要があります。親戚に託すなら、相手の意思も確認すること。
託す人はひとりでなくてもかまいません。信頼のおける友人同士でエンディングノートの場所を教え合ってもいいでしょう。

どんな項目がある?

緊急時の連絡先・対応

現在の自宅の住所と電話番号、かかりつけの病院・既往症・いつも飲んでいる薬など。なにかあったときに連絡してほしい人の名前・連絡先とあなたとの関係。これらはノートだけでなく見える場所に貼っておくと、倒れたときに発見した人がスムーズに連絡できます。

親族、仲間、仕事関係の連絡先

親族や友人の住所、氏名、電話番号。入院したときや危篤のとき、葬儀の連絡をするか否かも記載します。親族ならば続柄、友人は「前の職場」「テニスサークル」など、つながりなどを書いておく。グループなら代表する人に連絡し、皆に伝えてもらうなどの指示も。

医療・介護・認知症(成年後見人)

身長・体重や血液型、アレルギーの有無を記載。ふだん飲んでいる薬やかかりつけ医の連絡先、通院理由など。介護を受けている場合は、利用しているサービス業者、ケアマネージャーの連絡先。成年後見制度を使っている場合は、後見人や支援団体の連絡先など。

預貯金・財産(負の財産も)

銀行口座の銀行・支店名・口座番号、通帳と銀行印の保管場所(オンライン口座のログインパスワード一式)など。医療費や葬儀費用などなんの支払いに充てるお金か目的・用途が決まっている場合はそれも記載。有価証券や不動産、ローンや負債もあれば記載すること。

大切な人へのメッセージ

家族や友人などの親しい人に、最後に伝えたいこと、感謝の言葉、謝っておきたいことなど。いつもは面と向かってなかなか言えないこともノートになら書きやすいはず。プライベートなメッセージで見られたくない場合は、手紙に封をし、ノートに挟んでおく方法も。

自分の「いま」

もしものときのことを、いまどれくらい準備できているかを一覧にします。持病や余命の告知の状況、延命治療を希望するかどうか、相続や遺品の処分方法、お墓の準備などができているのかいないのか、箇条書きにしておけば、見た人も判断しやすくなります。

年金・保険

健康保険証や年金手帳、マイナンバーカード、運転免許証、65歳以上なら介護保険の被保険者証など、大切なものの保管場所と、番号も合わせて記載しておきます。生命保険、共済、個人年金などは保険証書と保障内容、連絡先などを書いておきましょう。

遺言・相続

遺言として効力をもたせるには、正式な遺言書が必要です。ノートには遺言書の有無や保管場所を書きます。相続人がおらず遺言がない場合、故人の財産は国のものになります。資産がある人は、お世話になった人に遺贈する、趣旨に賛同した団体に寄付するなどの方法も検討を。

葬儀・お墓

葬儀はどんな形でするのか、葬儀社に予約したり、会員になっているのか、戒名はいるのか、遺影は決めているのかなどを記載。お墓がある場合は場所と連絡先、新しくお墓を用意する場合は、希望や費用をどうするかなど。これらは、事前に周囲に相談しておくのがベター。

ペットのこと

万一の際に、ペットを託す相手を考えておきます。友人・知人にお願いする場合は、エサ代や医療費を負担付死因贈与(ペットの面倒を見ることを条件に、遺産を贈与する契約)にしておくと安心。業者に生涯預かり契約をする、里親を探してもらうなどの手段も有効。

まずは、「私のこと」と「緊急時のこと」から書いてみましょう

将来を見通して備えるためのエンディングノート。最初は、まずこの情報から書き始めてみましょう。

意思表示できない状況でまわりが助かる手がかりに
エンディングノートで最初に記入したいのが、「緊急時のこと」と「今の私について」です。「緊急時のこと」には、事故や急病で意思表示できない状態のときに、まわりに知ってほしいことを書きます。
最近は銀行口座もデジタル管理が主流になっているので、入院費のことなどで誰かに負担をかけないためにも、IDやパスワードの情報も記載しておきましょう。
スマホにロックがかかるとアクセスできないので、スマホのパスワードも忘れずに。「今の私について」は、好みや趣味、今までの人生を記しておけば、突然介護を受けることになった場合に、まわりがあなたを理解しやすくなります。

いまの私について書いていくと、今後の趣味や生きがいのヒントになるかもしれません。自由に項目を作ってOKですが、誰かに見せるものだという意識を忘れずに。
客観的に見て、理解できる内容を心がけましょう。

消せるボールペンは時間が経つと薄くなってしまうので、必ず油性のボールペンや鉛筆などで書くこと。
デジタル資産のIDなど、第三者に見られるのが不安な情報は、糊付けしたりエンディングノートとは別にメモを残しておくのも一案です。

自治体HPのガイドも活用してみて

住んでいる自治体のウェブサイトでも、エンディングノートを配布したり、書き方講習を行っている場合があり、それらを利用するのも手です。

Q. 保管場所はどんなところが適していますか?
A. 家族がすぐわかる場所、ひとり暮らしなら見えるところに
ひとり暮らしの場合は、救急隊員などが家に入ってきたらすぐに目に付く場所に(その場合、資産に関する情報などは別のノートなどに記載が望ましい)。
同居している家族に伝える場合は、「居間のタンスの上の引き出しにある」など、前もって場所を共有しておきましょう。

Q. ノートの存在を伝えるべき相手は?
A. 家族はもちろん、自分をサポートしてくれる相手に伝えて
パートナーや子どもがいない場合は友人でもOK。友だちの場合、何人かに伝えておくなど、ひとりだけに負担がいかないように配慮するといいでしょう。
弁護士など専門家に託してもよいですが、費用が発生すること、エンディングノート自体に法的拘束力はないことに注意が必要です。

Q. 遺言状を兼ねることもできますか?
A. 遺言状を兼ねることはできないので要注意
エンディングノートは、遺された人へのメッセージやお願いであって、法的拘束力はありません。相続については、別に遺言書を用意しましょう。
遺言書は、日付、押印、署名付きで、財産目録以外はすべて自筆で書く必要があるなど条件があります。公証役場で保管される公正証書遺言もあります。

Q.ノートはどんなものを用意するとよいですか?
A. 自由なノートでOK。 初心者は市販のエンディングノートを活用
形式などはとくに決まっていないので、自分の好きなノートに書いてOKです。ただ、エンディングノートとして市販されているものはなにを記載すればいいかがわかりやすいので、初めての人にはおすすめ。
自治体で無料配布している場合もあるので、検索してみるといいでしょう。

Q. 一度書いたノート、見直すべきタイミングは?
A. 状況が変わった時のほか、年に一回程度は見直すと◎
「家庭環境が変わる」「金銭的状況が変わる」「健康状況が変わる」、この3つは、気持ちの変化が起きやすく、エンディングノートを見直すべきタイミングです。
ただ、時間が経てば考え方も変わるので、誕生日やお正月など日を決めて、年に一度くらいは、読み直してアップデートするのもおすすめ。

Q. 最近注目の「デジタル終活」でやるべきことは?
A. IDやパスワードは記録しておき、不要なサービスの解約を進める
故人が保有していたデジタル上の資産やサブスク契約の内容がわからずに困るというケースが増加中。そうならないためにも、大事な情報はノートに記録を。デジタル対策は、意外とアナログ対応が役立ちます。

① 大事な情報を記録
銀行口座、ネットサービスのID・パスワード、よく使う決済サービスなど。

② 家族に情報を共有
信頼できる家族に「このノートを見れば大丈夫」と伝え、保管場所も共有。

③ 生体認証だけに頼らず、パスワードも記録
指紋・顔認証が使えないとログインできないことも。メモするか家族と共有を。

④ 不要なサービスを整理
使っていない有料サービスを解約し、家族の負担を減らす。

⑤ スマホを失くしたときの対策
リモート消去機能を設定し、家族に対処方法を伝える。

⑥ スマホやパソコンのロック解除情報を共有
家族がアクセスできるよう、解除方法を伝えておく。

おすすめの参考書籍

佐々木悦子さんのアドバイス付きで、エンディングノートに必要な項目を網羅。巻末には、写真や手紙を収納できるクリアポケット付き。

『もしものときの安心メモリー帖』¥858/池田書店

相続、遺言、相続税に関する最新情報もまとまっているほか、デジタル関連項目の一覧も充実。

『幸せに生きるためのエンディングノート』¥1,320/主婦の友社


イラスト/石坂しづか 文/田中絵真
 
大人のおしゃれ手帖2025年7月号より抜粋
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