1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【クマとの事故を防ぐには・対策2選】ポイントは「知る」こと、「楽しむ」こと/北海道札幌・知床

【クマとの事故を防ぐには・対策2選】ポイントは「知る」こと、「楽しむ」こと/北海道札幌・知床

  • 2025.7.23

北海道内ではクマの出没が相次ぎ、住宅地での死亡事故も起きました。
前回の記事では、「すべてのクマ事故は防げる」という専門家の言葉をもとに、国や都道府県単位で必要な対策について書きましたが、クマ対策を担うのは、行政や専門家だけではありません。

住民や観光客が「楽しみながら」参加できるクマ対策を企画している人たちがいます。
札幌と知床、2カ所でのクマ対策イベントをご紹介します。

Sitakke

連載「クマさん、ここまでよ」

クマ対策①草刈り(札幌)

Sitakke
2022年のイベント時に撮影

まずは、高校の授業をきっかけに生まれたクマ対策グループ「困ったくま」による、草刈りイベントです。

Sitakke
2021年、札幌市東区の住宅地に現れたクマは、草むらに逃げ込んでいた(上空から撮影)

クマは背の高い草に身を隠して移動するため、川沿いの草を刈って見晴らしをよくすることは、クマにばったり会って事故にあうことを防ぐ対策になります。

「困ったくま」の5人は、札幌藻岩高校の2年生の頃に、「ヒグマとの共生」をテーマにした授業を受けました。座学だけでなく、札幌市円山動物園でフィールドワークをしたり、自分たちで啓発パンフレットを作って発信にも取り組んだりと、積極的に学びを深めました。

その後も自ら対策を続けたいと考え、課外活動として主体的に取り組んできました。

Sitakke
2022年のイベント時に撮影

草刈りイベントは4年前からスタート。大切にしてきたのは「楽しさ」です。
休憩時間にゲームを用意したり、クマクイズ大会を実施したりと、いつも和やかな雰囲気で開催してきました。

高校生が企画することで、若い人や地域の人がクマ対策に関わるきっかけを作りたい」と話していました。

卒業してからも活動を続けてきましたが、来年からは就職などそれぞれの進路に進むため、今回で一区切りです。

困ったくまは、「今年で一旦ラストの草刈りなので、ぜひ皆さんと一緒に楽しく草刈りしたいです!困ったくま全員でお待ちしております!」と話しています。札幌市が協力していて、道具の用意などもされているので、やったことがないという方も気軽に参加できます。

高校時代から地域の安全を守ってきた5人への応援を兼ねて、そしてこれからはどう受け継いでいくのかを考えるためにも、この機に参加してみてはいかがでしょうか。

Sitakke

・日程:2025年7月26日(土)午前9時~正午
・場所:札幌市南区真駒内(南区役所前に集合)
・参加費:無料
・主催:困ったくま
・協力:札幌市

雨天時は中止になるため、最新の情報は困ったくまのインスタグラムなどでご確認ください。

クマ対策②ゴミ拾い(知床)

対策の2つ目はゴミ拾いです。
クマは本来、人に出会いたくないと思っていますが、ゴミなどで人の食べものの味を覚えると執着し、人や住宅地に近づく原因になってしまいます。

その課題に向き合うのが、知床のホテル「北こぶしリゾート」です。

Sitakke
「クマ活」での草刈り(画像提供:北こぶしリゾート)

「北こぶしリゾート」では2020年から、「クマ活」と題して、草刈りなどのクマ対策イベントを継続してきました。これまでに25回実施し、地域住民や観光客、学生などのべ700人以上が参加したといいます。

ことしで、知床は世界自然遺産登録20周年。新たな挑戦として、さんぽしながらゴミ拾いを行う“まち歩き型”のヒグマ共存体験プログラム「クマ活さんぽ」が始まります。

地域の有志団体「知床ゴミ拾いプロジェクト」とのコラボレーションで企画されたもので、ゴミを拾って知床のまちを歩きながら、地元の人や景色と出会い、「ヒグマと人がともに生きる地域のあり方」を体感してほしいという思いが込められています。

Sitakke
専用のクマ活バッグや軍手、地図を手に取るだけで参加できる(画像提供:北こぶしリゾート)

8月上旬から、系列ホテルの宿泊者を対象に行われる予定ですが、8月2日(土)にはキックオフイベントが開催されます。クマの生態にくわしい酪農学園大学の佐藤喜和教授を迎えた、特別レクチャーもあります。

・日時:2025年8月2日(土)午前9時~正午
・場所:知床ウトロエリア
・内容:知床ゴミ拾いプロジェクトプレゼンツ みんなで町を歩きながら、楽しくゴミ拾い!+佐藤教授による特別レクチャー

申し込み方法など詳細は北こぶしリゾートのイベントページでご確認ください。

なぜ、ホテルがクマ対策にかかわるのか。
北こぶしリゾートは、「ヒグマと人とがともに暮らすことは、簡単なことではありません。しかし、『関わり続けること』『知ろうとすること』『一緒に手を動かすこと』には、たしかな力があります。『クマ活さんぽ』は、そんな“持続可能な関係性の第一歩”として、私たち北こぶしリゾートが地域とともに育てていくプロジェクトです」としています。

Sitakke
さんぽしながら、知床の魅力を体感(画像提供:北こぶしリゾート)

高校生とホテルが始めたクマ対策。
少し意外な担い手かもしれませんが、100%がないのがクマ対策です。
ゴミのマナーなどたった少しの不注意で、人もクマも命を失う事態になります。だからこそ人任せにせず、自分たちの地域は自分たちでできることを、日常的に取り組むことが大切です。

せっかくなら、気軽に、楽しみながら参加できるようにしたい…
そう考えて、自分たちにできるイベントを継続的に実施し、クマ対策の輪を広げようとしている人たちをご紹介しました。

楽しみながら、クマ対策の担い手に仲間入りしてみてはいかがでしょうか?

Sitakke
Photo by ノノオト Hirose Masato

***

取材協力:困ったくま、北こぶしリゾート
知床のヒグマの写真は、北海道に生きる動物たちについての普及啓発を行っている「ノノオト」にご提供いただきました。

文:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は取材時(2025年7月23日)の情報に基づきます

元記事で読む
の記事をもっとみる