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カギは画面の明るさ。スマホの使用時間を減らす、超シンプルかつ効果的な裏ワザ

  • 2025.7.21
Street Style - Paris Fashion Week - Menswear Spring/Summer 2026 - Day Two

今年の初め、私は人生を変える本に出合った。ジェニー・オデルの『何もしない』だ。2019年の初版発行直後に友人で同僚のエミリー・チャンが贈ってくれたのだが、当時は「世俗を捨てて田舎に引っ込み、自然の恵みで暮らす」といった類のことを謳う自己啓発書と思い、読むのをためらっていた。だが、蓋を開けてみれば、オデルのこの本は自己啓発書を装ったアートブックだった。アーティストであり、作家で学者でもある彼女は、現代アートの中の例を用いて、私たちを引き込み、依存させ、デバイス以外のものへの集中を妨げる“アテンション・エコノミー(人々の関心や注目の度合いそのものが経済的価値を持つという考え方)”の仕組みについて考えさせる。

これは、自分を変えるためのヒントやコツを詰め込んだ本ではない。私たちの考え方を再構築し、ユーザーの目を引こうとする派手な広告や、延々とスクロールさせ続けるように設計されたアプリ、ほかのアクションの前に立ちはだかる通知の嵐といったデジタルの刺激に対して、より意識を高めるための本なのだ。

この本を読んでから、私はスマートフォンとの付き合い方を意識するようになった。実際にやることがあるときにスマホやパソコンを使うのはいいことだが、そうでないときはどうだろう?必要も関心もないのに、なぜ私はコンテンツの海をだらだらと彷徨っているのだろう?

映画記録アプリのLetterboxdが好きだと気づかせてくれたのもこの本だ。全体的に暗く、単調なデザインで、通知もないLetterboxdは、チェックした後に簡単に閉じることができる。また、語学学習アプリのDuolingoとの関係を見直すきっかけにもなった。Duolingoは、連続記録やランキングに重点を置き、ユーザーをのめり込ませ、毎日開くように設計されたアプリなのだが、何かを学びたいときにだけアプリを開き、そうでないときには閉じておけることに気づいたのだ。アプリは連続記録を維持しようとしない私に釘を刺してくるが、これは私のささやかで意図的な抵抗なのだ。

スマホとの付き合い方を変える、たったひとつの小ワザ

Street Style - Paris - July 6th 2025

そして、この気づきはスクリーンタイムにつながる。私のスクリーンタイムは1日平均約2時間半だったが、時間を減らすと格段に気分が良くなり、幸せを感じられることに気づいた。通知を完全にオフにするのは極端すぎる気もしたし、ときどき通知をまとめて確認し、返信が必要な人を頭の中でメモするのが好きな私には、「効果絶大」とされるグレースケールモード(画面表示をモノクロにする機能)がとてつもなく憂鬱に感じられた。スマホをしまうか画面を伏せて置いたりもしてみたが、大事な連絡を見落とすのではと心配になってしまう自分がいた。そしてスマホをまた取り出してしまうのだ。

だが、とんでもなく単純で効果的な裏ワザを私は見つけた。スマホを使わないときは画面の明るさを最低に落とすのだ。馬鹿げているように聞こえるが、これなら仕事中でもスマホを近くに置いてある種の精神安定作用を得られると同時に、通知が来ても画面が明るくなることはない。以前は通知が来るたびに無意識にスマホの方を見ていたが、こうすると気づかない。そして、ひと休みするときは意図的にスマホを手に取り、明るさを少し上げて必要な情報を確認することができる。

こうすることで着信に気づかなかったことがあるかと聞かれれば、答えはイエスだ。けれど、私は電話で誰かと話すことがほとんどないミレニアル世代だし、出損ねた着信のほとんどはスパムやセールスの電話だった。メッセージに気づかないことがあっても1時間後くらいには確認しているし、大抵は大した問題にはならない。ただ、私はある種の恵まれた立場にあることも事実だ。例えば、緊急時に連絡をしてくる子どもや親がいないし、重要な電話に常に対応するような仕事もしていない。将来的には状況が変わるかもしれないが、現時点ではスマホを遠ざけておくことができる。同じような状況にある人ならば、試してみる価値はあると思う。

現在、私のスクリーンタイムは1日平均1時間半程度で、今のところちょうどいいと感じている。また、スマホを手に取るときは、ただ好奇心からではなく、意図を持ってそうするようになった。この裏ワザはときどき面白い出来事を引き起こすこともある。生活習慣を変えるきっかけになった本をくれた同僚のエミリーが、何も映ってないスマホの画面を見つめる私を心配して声をかけてきた(急いでいるときに明るさを上げるのを忘れてしまうことがあるのだ)。それでも、大して重要ではないメッセージやアップデートを確認するためにパソコンとスマホの画面を何度も往復する行為が(ほぼ)過去のものになり、本当にありがたく思っている。そして、そのおかげで私の心も静かになったように感じている。

Text: Radhika Seth Translation: Motoko Yoshizawa

From VOGUE.CO.UK

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