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【明日海りおさんインタビュー】「“書くこと”に出会って心を震わせる主人公が、舞台に立つ自分と重なった」

  • 2025.7.18

今から100年以上前、まだ女性が不自由な生き方を強いられていた時代に、みずから道を切り開いた女性――。明日海りおさんがミュージカル『コレット』で演じるのは、フランスの国民的作家・シドニー=ガブリエル・コレット。波乱に満ちた物語に挑む、今の心境を伺いました。

コレットは、新しい世界へ踏み出すことに前向きな、勇気のある女性

2019年に宝塚歌劇団を卒業。以来、舞台、映像を問わず幅広い役柄に挑戦し、新たな魅力を発揮し続けている明日海りおさん。この夏は、ノーベル文学賞候補にもなったフランスの作家、シドニー=ガブリエル・コレットの半生を描いたミュージカル『コレット』に挑みます。

演出を手がけるG2さんが、長年温めていたという本作。「実現するなら、ぜひ明日海さんに」と真っ先にオファーがあったそう。

「台本を読ませていただく前の段階で、キーラ・ナイトレイさんがコレットを演じた映画と、コレットの小説『青い麦』を参考資料として教えていただきました。映画を観た第一印象は、なかなかスキャンダラスな人生だな…と(笑)。でも同時に、日本のミュージカルでこうした人物を題材にした作品は、今までなかったなと感じて。きっととても面白い作品になるだろう、と出演を決めました」

物語の舞台は、まだ男性優位が当たり前とされていた19世紀末のフランス。田舎町で育ったコレットは人気作家である夫のゴーストライターとしてヒット作を生み出しますが、やがて一方的に搾取される関係に疑問を抱き、自らの力で人生を切り開いていきます。

「当時は、今のように女性が思うように生きるなんて、想像すら難しい時代。ましてや作家となって、自分が表に出て表現するというのは考えられませんよね。コレットも幼い頃は恋をして、結婚して、素敵な家庭を築いて……と考える普通の少女だったと思うんです。でも結婚した相手が傲慢で女たらしという、とんでもない人物。でも、彼女は打ちひしがれることなく、他の女性にはできない自分だけの価値を生み出して、彼の役に立とうと考える。さらに、パントマイムという身体表現にも出会って、そこに挑戦していく。新しい世界に踏み出すことに対してとても前向きな、勇気のある女性だと思います」

思い悩んでいる姿が美しい……そこがあて書き⁉

本作の台本は、明日海さんの出演が決まってから書かれているため、いわゆる“あて書き”の部分も。

「あて書きだと言われると、『どのあたりがぴったりだと思われたんだろう……?』とちょっと複雑な気持ちにもなるんですけれど(笑)。でも、この感覚はすごくわかるなあ、と共感できる部分もあって。たとえば、本を読むのが大好きだったコレットが、『書く』ということに出会って、心を震わせる瞬間。それはやっぱり、私が初めて舞台に立ったときの感覚や、舞台にのめり込んでいる今の姿に重なるんじゃないのかと思います。それと、コレットのお母さんの台詞に『ぼんやりしているときのお前が一番美しい』というものがあるんですけど、以前G2さんが『昭和元禄落語心中』の舞台を観に来てくださったとき。『思い悩んでいる姿が美しくて、引き込まれそうだった』と言ってくださって。そのときの言葉が、もしかしたら脚本にも反映されているのかな……? と思っています」

現在は稽古の真っ最中。ゼロから作るオリジナル作品ならではの難しさと、やりがいを感じていると話します。

「オリジナル作品では曲も美術もすべてがゼロからの出発なので、本当にやることがたくさんあるんです。『昭和元禄落語心中』のときは山崎育三郎さんと古川雄大さんがいてくださったので、絶対に大丈夫だという安心感が大きくて。自分のことだけに集中して、のびのび構えていられたんです。でも今回は、自分の台詞も歌もダンスもかなり多くて……。早く完成させたいという焦りもあります。でも、楽曲も振り付けも本当に素敵なので、あとは私がコレットという人物を一生懸命に生きるだけ。出演者が全員揃ったときに、どんな化学反応が起きるのか、とても楽しみです」

“日焼けしないこと”が、夏の疲れを防ぐための秘訣

作品を彩る楽曲の数々も、本作の大きな見どころ。明日海さん自身は、どう受け取っているのでしょうか。

「1幕、2幕の冒頭で、“さあ、これから皆さんにコレットの人生をお伝えしますよ”と、キャスト全員でコレットの世界にいざなうようなナンバーがあるんですけど、まさに“物語の始まり”という感じでとても素敵なんです。コレットがパントマイムの舞台に立つシーンでは、ちょっと大胆でエキゾチックな曲調になっていたり、書くことに出会う場面ではピアノの響きが美しい曲があったり……。要所要所で素敵なナンバーが贅沢に用意されているので、早く皆さんにもお届けしたいです」

稽古から公演まで、厳しい暑さが続くこの時期。明日海さんならではの夏バテ対策はあるのでしょうか。

「直射日光に当たると、体力が奪われてしまうことに気づいて。去年くらいから、腕にたっぷり日焼け止めを塗って、日傘をさして、しっかり対策するようにしたら、ぐんと疲れにくくなりました。私の場合は暑いからといって食欲が落ちることはなくて、むしろお稽古が終わるとすごくお腹がすくんです(笑)。G2さんが細かいところまで丁寧にお芝居をつけてくださっていますし、こちらも頭をフル回転させて受け取ろうとしていて。しかも今回は台本が濃密で、覚えなきゃいけない台詞や段取りもたくさん。夏の暑さを感じている余裕がないくらいです(笑)。そうやって夢中でがんばっているうちに、気づいたら夏が終わっているんじゃないかな……? なんて思っています」

明日海りおさん主演舞台 ミュージカル『コレット』

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大人のおしゃれ手帖編集部

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