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夏の雷には『雷ナウキャスト』で備える! 活用のポイントを解説

  • 2025.7.11

夏は年間を通して雷が多い季節です。
雷は積乱雲によって発生する現象で、突発的に発生し、落雷による停電や火災、電子機器の故障、感電など、設備や人体などにさまざまなリスクをもたらします。

一方で、雷の予想技術は昔に比べて向上しています。気象情報の活用により、雷雲の発生状況を事前に把握しやすくなりました。中でも、気象庁が提供する「雷ナウキャスト」は、雷の活動や発生予想をリアルタイムに確認でき、雷への備えに役立ちます。

この記事では、夏の雷の特徴や雷ナウキャストの活用ポイントを解説します。

夏の雷の特徴

夏は年間を通じて雷の発生数が多い季節です。
以下の図は、過去10年間(2014­~2023年)に日本列島および周辺海域にて発生した落雷数をまとめたものです。

雷には雲の中で放電する雲放電と、雲と地面の間で起こる落雷(対地放電)の2種類があり、雲放電・落雷ともに夏の発生数が多くなっています。

次に、夏と冬の落雷の検知分布を見てみましょう。

■夏季(2014~2023年の4~9月)

出典:フランクリン・ジャパン「雷ぶらり 雷統計データトップ – 落雷日数(全国[夏季])」

■冬季(2013~2022年の10~3月)

上の画像は10年間の落雷日数を合計し年平均したものです。夏季は南東北~北関東、中部、近畿~中国・四国、九州に落雷が多く、冬季は東北~北陸の日本海および太平洋で落雷が多く発生しています。

夏は広範囲で落雷が発生する可能性があるため、雷への備えがより一層必要です。

ここ最近の落雷事故

少し前のデータにはなりますが、気象庁の統計によると落雷害の報告数は7月・8月に集中しています。

ここ最近の落雷事故として、2024年と2025年に起こった屋外でのスポーツ活動や音楽イベント中の事例が挙げられます。

雷ナウキャストとは

雷ナウキャストは、落雷事故への備えとして気象庁が提供している情報です。「雷が実際どこに落ちているか」「今後1時間程度の間にどのエリアで雷の活動が活発になるか」などを把握できます。

気象庁や自治体、教育機関が雷ナウキャストの積極的な活用を呼びかけており、屋外活動やイベント時の安全管理、学校現場における避難判断などに役立てられています。

また、個人でもスマートフォンで簡単に利用できるため、早めの避難判断や屋外活動の中止など、身を守る行動につなげられます。

雷ナウキャストの活用方法

雷ナウキャストは、気象庁の「雨雲の動き」にアクセスし、ページ内にある雷のアイコンを選択すると表示できます。

雷ナウキャスト(雲と雷がセットのアイコン)

雷の活動度を以下の4段階で色ごとに表示。60分先までの予想を知ることができます。

・レベル1(黄色):雷は発生していないが、今後落雷の可能性がある
・レベル2(オレンジ色):電光が見えたり、雷鳴が聞こえたりし、落雷の可能性が高まっている
・レベル3(赤色):落雷がある
・レベル4(紫色):落雷が多発している

こうした雷の活動度を目安に、「自分がいる場所は安全か」「60分以内に雷の危険性が高まっている」などの各種情報を事前に把握しやすくなります。

例えば「60分以内に雷の活動度が1から2に上がる」と想定できる場合は、迅速に安全な場所に避難するなどの対策ができます。

前5分間の雷の状況(雷のみのアイコン)

過去3時間において、5分ごとに発生した「雲放電」と「落雷」の場所を表示します。

過去から現在までの雲放電や落雷の動きを確認することで、雷雲の全体的な動きや盛衰が把握できます。

例えば、時間と共に落雷発生数が増えている場合は雷雲が発達している状況です。この場合は「今後も落雷が続く」または「激しくなる可能性が高い」と判断できます。

雷に関する気象情報

雷に関する気象情報として「雷注意報」があります。
実は、雷に関する警報はありません。雷注意報が発表された時点で、いつ落雷が起きてもおかしくない状態であることを理解しておきましょう。

また、気象に関する注意報や警報に先立って注意を呼びかけたり、同じく注意報や警報の内容を補足したりする気象情報でも、雷に関する注意喚起が行われます。例えば、「大雨と雷及び突風に関する気象情報」「雷と突風及び降ひょうに関する気象情報」などが該当します。、

気象情報が発表されている際には、雷ナウキャストをこまめにチェックし、早めの避難行動をとりましょう。落雷は突発的に発生するため、少しでも危険を感じる場合は速やかに安全な場所に避難することが大切です。

雷に備えよう

夏の雷は全国各地で発生する可能性があります。近年の事例からわかるように、一発目の雷で落雷が起こるケースもあります。

しかし、こうしたケースの場合は注意報が発表されていたり、雷ナウキャストで雷が予想されていたりする場合がほとんどです。

気象庁が発表する気象情報を活用することで、雷から身を守ることができます。雷ナウキャストをはじめとする気象情報を活用し、雷の発生状況や今後の予想を確認して、早めの避難行動を心がけましょう。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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