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大人の免疫力に効く「たんぱく質」「脂質」「コラーゲン」

  • 2025.7.17

更年期からは女性ホルモンの低下が心身に与える影響を踏まえつつ「たんぱく質」「良質な脂質」「コラーゲン」を積極的に摂って、健やかな心身をめざしましょう。

お話を伺ったのは・・・
学校法人食糧学院 学院長
馬渕知子さん
マブチメディカルクリニック院長。内科学・皮膚科学が専門だが、多面的な知識を応用し、あらゆる科と提携して総合的に人間の体をサポートする医療を推進している。

健康な脳と丈夫な足腰、健やかな心身を培う栄養素を積極的に摂取

「人生100年時代」と言われる現代。その折り返しに当たる50代は、日々の生活を見直すいいタイミングと話す、馬渕知子先生。
心身ともに健やかに暮らすカギとなるのは、5つの要素「食事」「動く」「(人・社会と)繋がる」「笑う」「休む」で、なかでも「食事」の重要性を説いています。
 
「人は食べたものによってつくられ、生かされています。最期まで楽しく人生をまっとうできるよう、自分の頭で考え、自分の足で歩ける体づくりに必要な栄養について、今から知っておきましょう」
 
馬渕先生曰く、最も欠かせないのが体をつくる材料となる「たんぱく質」と、EPA・DHAをはじめとする「良質な脂質」、さらに骨・関節、皮膚・粘膜を強くするために「コラーゲン」の摂取が重要だとか。
 
「ちなみに、この3つのほかにも心がけて摂ってほしいのが、抗酸化・抗糖化に役立つ食材。酸化とは、活性酸素によって、細胞や組織が傷つき、機能が低下したり、破壊されたりする反応のこと。ビタミンE、ビタミンC、β -カロテン、ポリフェノールなど抗酸化作用のある栄養素を摂って、活性酸素の働きを抑えましょう」
 
また、糖化は、余分な糖が体内のたんぱく質に結合し変化を起こすことで、老化や疾患の原因となる物質(AGEs )を生成する反応のこと。細胞や血管などにダメージを与えたり劣化させ、炎症を起こすなど、さまざま病気の原因になるため、糖質の摂り過ぎにも注意が必要です。
 
「女性の場合、50代は女性ホルモンが急激に低下する更年期でもあり、さまざまな不調に悩まされる人も多いことでしょう。女性ホルモンの低下は血圧、コレステロール、骨密度に影響するので、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる病気や骨折を防ぐためにも、日々の食事に気を配ることは大切です」

「たんぱく質」
体をつくり、免疫力を強化
脳や筋肉、さまざまな臓器から免疫細胞まで、体はたんぱく質を基盤につくられ、新しい細胞にどんどん入れ替わっている。

「脂質」
血液・血管、脳の機能維持
重要なエネルギー源だけでなく、脳神経や体の神経、ホルモンや細胞膜、核膜を構成。脳の発達・機能維持にも必要。

「コラーゲン」
骨・関節、皮膚・粘膜の強化
皮膚、骨、関節、血管など、体の様々な組織を構成し、細胞同士を繋ぎ合わせる結合組織。骨・関節を強くする。

老後も健康で楽しく暮らすための5大要素

シニアになっても、自分の力で好きなことを好きなようにできるように、栄養バランス
のいい食事と良質な睡眠を心がけて。
適度に動いて筋肉に負荷をかけ、趣味を持って社会と繋がり、楽しく暮らしましょう。

「たんぱく質」

筋肉をはじめ血管や血液、臓器、皮膚、髪、歯、爪など、体のあらゆる組織をつくる材料

しっかり食べているつもりでも意外と摂れていない!? たんぱく質ファーストな食事を

「筋肉、臓器、血液、皮膚など体の組織はたんぱく質でつくられ、新しい細胞にどんどん入れ替わっています。免疫細胞もたんぱく質でできているため、摂取することで全身免疫にもつながります。骨も、実は30%を占めるのがたんぱく質で、不足すると骨粗しょう症に。身体を維持するために使われるたんぱく質量の目安は、成人で1 日50g 程度。体格や体調、運
動量によっては50g よりもっと多く摂取しなくてはいけません」
 
肉や魚の場合、100g でだいたい20g のたんぱく質が摂取できると馬渕先生。
 
牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、豆腐・納豆など大豆製品も優れたたんぱく源で、動物性と植物性偏りなく摂ることも大事と言います。
 
たんぱく質が必要なことはわかっていても、50代になると食が細り、肉をたくさん食べられないという人も多いのでは? 年とともに消化吸収率も低下し、食べたつもりでも足りていないということも。
 
そこで、馬渕先生がすすめているのが、卵の活用です。
 
「肉や魚はコストがかかりますが、卵なら価格も手頃でたくさん食べられます。ごはんにかけたり、麺類や納豆などに足したり、調理も簡単。骨粗しょう症や筋力低下を防ぐためにも、卵を上手に活用しましょう」

1日に必要なたんぱく質量は体重1kgあたり約1gが目安
国が推奨している1日のたんぱく質の摂取量は、成人で体重1kgあたり1g。
年とともに吸収力が低下していることを考慮し、50 代からは体重1kgあたり1.2gの摂取がより望ましいでしょう。

むくみの原因はたんぱく質(アルブミン)不足かも?
血液中のたんぱく質は「アルブミン」と呼ばれ、血管の外と中の水分調整をしています。
そのため十分なアルブミンがないと、血管の外に水分が溜まり、むくみの原因に。

「脂質」

細胞の構造を保って肌や髪をなめらかにし、ホルモンの合成を助ける

女性ホルモンの低下により悪玉コレステロールが増えバランスが崩れがちに

脂質は肥満や生活習慣病を考えて控える人も多いかもしれませんが、体をつくる大事な材料です。体内の脂質で注視すべきは、コレステロール。
女性ホルモンの材料であり、脳神経や身体の神経にも多くのコレステロールが使われています。
 
「よく善玉・悪玉と呼ばれていますが、どちらも必要で、悪玉のLDLは肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担い、善玉と呼ばれるHDLは、コレステロールを除去して肝臓へ戻す働きがあります。
女性ホルモンには、善玉コレステロールを増やす作用があるため、更年期は悪玉コレステロールが優位になりがちに。血管内にコレステロールが溜まって血栓ができ、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす原因となります」
 
馬渕先生が、更年期の女性にとくに心がけて摂取してほしいと言うのが、EPAやDHAなどの「良質な脂質」。
EPAは、血液・血管の健康維持、DHAは脳の機能をサポートする働きがあると言われています。
 
「EPA・DHAが豊富なのは、さばやいわし、さんまなどの青魚、まぐろ。皮の近くに多く含まれているので汁や皮ごといただけて保存がきく缶詰も便利です。毎日、少しでも取り入れることが大切です」

青魚に含まれる良質な脂質「EPA」「DHA」を摂取して
心がけて摂りたい脂質が、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)。血液・血管、脳機能の健康維持をサポートしHDLコレステロールも作られやすくなります。

悪玉(LDL)と善玉(HDL)、コレステロールはバランスが大事
LDLコレステロールとHDLコレステロールはどちらも必要で、大事なのはバランス。LDLコレステロール値÷ HDLコレステロール値が2を超えると脂質異常症が疑われます。

「コラーゲン」

組織や細胞を繋ぎ合わせる接着剤のような役割をする繊維状のたんぱく質

肉や魚の皮に豊富に含まれビタミンCや鉄とともに摂ると効果的

コラーゲンは、人体のいろいろな細胞を結合させる材料。皮膚や靭帯、骨、軟骨、血管、角膜などの体のあらゆる組織を構成し、皮膚に関しては約70%がコラーゲンでできていると馬渕先生。
 
コラーゲンも細胞や骨などと同じく、新しく作られ常に入れ替わっています。水分の保持や弾力を維持し、動きを滑らかするのに欠かせないため、不足すると、肌のハリが低下してシワやたるみができたり、血管や関節が硬くなってしまいます。
 
カルシウムなどとともに骨を丈夫に、しなやかにする役目もあり、不足すると骨折のリスクも高くなると言います。
 
「コラーゲンもたんぱく質の一種ではありますが、肉類・魚類の身ではなく、皮部分に多く含まれています。コラーゲンが豊富な食材は、手羽先や手羽元など皮や骨付きの鶏肉、牛すじ、ふかひれ、ツバメの巣、うなぎ、スッポンなど。
手軽に摂るのであれば、しらす(じゃこ)などの皮ごと食べられる小魚類などもおすすめです。同時に良質な脂質も摂れて一石二鳥。コラーゲンは合成の際に鉄とビタミンCが必要なので、合わせて摂るといいでしょう」
 
食事だけで補えない場合は、コラーゲンペプチドなど、市販のコラーゲンサプリを利用しても。

人体の3分の1はコラーゲンでできている
コラーゲンは全身のいろいろなところに使われていて、水分を抜いた人体の約1/ 3はコラーゲンだと言われています。
保水力が高く、肌などの水分保持に重要な役割を担っています。

肌のハリや弾力を保つのは「I型コラーゲン」
コラーゲンはⅠ型、Ⅱ型というように分類され、体内に最も多いのは皮膚や骨をつくると言われているⅠ型。
Ⅱ型は、関節や軟骨に、Ⅲ型は血管に多く含まれています。


イラスト/村本ちひろ 文/坂口みずき
 
大人のおしゃれ手帖2025年7月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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