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【50代お出かけ】岩手県のすず竹細工作家・柴田恵さんに会いに行くツアー2泊3日旅レポート!ものづくり魂を揺さぶられた職人技とは?

  • 2025.7.9

月刊誌『素敵なあの人』の公式ブロガーの日常を綴った素敵ブログ。
今回は、岩手県のすず竹細工職人・柴田恵さんに会いに行くツアーに参加された様子をレポートしてくださいました!


皆様、こんにちは。
梅雨入りしたかと思ったら真夏の太陽が!!
梅雨はどこに行ったのかな?

さて、そんな中、東北は岩手県を旅してまいりました。例年なら6月はまだ涼しいそうですが、東北も曇っているにも関わらず蒸し暑く、気候変動の脅威を感じずにはいられません。

今回の旅は、以前「素敵なあの人」の誌面にも掲載された事があります、東京都の小石川植物園のすぐ近くで手仕事のかご類などを主に紹介されている「galleryKEIAN」のオーナー・堀さんの企画で、

「柴田恵さんに会いに、岩手(盛岡、鳥越)にいこう!!」

というツアーに、姉と参加いたしました。

柴田恵さんは、岩手県二戸の鳥越地区というところで生まれ育った、すず竹細工の職人さんです。
鳥越地区というのは多くの家庭が代々すず竹細工を生業にしてきた場所ですが、近年は編み手の高齢化と材料のすず竹が120年に一度枯れるという周期と重なり廃業を余儀なくされたり、さらには鳥越生まれの後継者が誰もいないという深刻な状況になっています。

日本の素晴らしい工芸、民芸がどんどん減っていくのは本当に残念なことです。
そこでこの状況を少しでも皆さんに知っていただきたいという思いで、堀さんがクラウドファンディングを立ち上げ出版されたのが、

『かごを編む 鳥越のすず竹細工とともに、 柴田恵』

という本です。
皆様も是非お手に取って読んでみてください。とても興味深いお話が書いてあります。
すると私のように、鳥越まで柴田さんに会いに行きたくなっちゃうのです。

鳥越の美しいすず竹細工 

旅行一日目は、盛岡の先人記念館というところで、「鳥越のすず竹細工に魅せられた人たち」という、柴田さんと堀さんが登壇する特別講座を拝聴しました。
同時に本屋さんの「BOOKNERD」さんで、『かごを編む 鳥越すず竹細工とともに、柴田恵』刊行記念展が開催されています。
こちらは6月21日から29日まで開催しています。

盛岡のセレクトが素敵な本屋さん「BOOKNERD」 

旅行二日目は、ついに鳥越で柴田さんの手仕事を拝見することができました!

お話しを伺うにつれ、小柄な柴田さんのどこにそんなパワーがあるのかと思うくらい、気の遠くなる作業なのです。

先ずは山に入りすず竹の採取。しかも鳥越のすず竹は枯れてしまったので、往復4時間かけて移動しなければなりません。

空なんか見えない背丈を遥かに超える藪の中を搔き分け採取するそうですが、斜めに切り取った切り口はまるで刃物のようなので、転んでどこかに刺されば大怪我だし、スズメバチにはもう4回も刺されているそうです。熊よりも実際はスズメバチの方が怖いと仰ってました。

何かあったら発見してもらいやすいように、真っ赤なつなぎを着て山に入るそうです。
命がけの仕事。それからひごを作るわけですが、これがまた気の遠くなる作業なのです。
こんな細いすず竹をまずは半分に鉈で割いて、それをまた半分に割いて四割にしてしばらく乾燥させて保管。

乾燥した竹の中身?肉を削ぐ。作るものによって幅を決める。そしてさらに柔らかいしなやかな状態にするのをこきをかけるというそうですが、こきをかけているうちに、ツヤツヤの透明にさえ見えるヒゴの出来上がり!!

以前は一日300本やっていたそうですが、いまは体が痛くなるので100本くらいと決めているそうです。
ここまでで充分かっこよすぎる!!!

そしてやっと作品を編んでいくわけです。
この命がけで気の遠くなる作業があって、あの熟練の技で編まれた数々のものたち。
簡単には継承者問題を私のような部外者が語ることはできませんが、県外からではありますが、覚悟を持った若い継承者がいま、柴田さんの元で育ち、活躍されています。

すず竹細工職人の橋本晶子さんと堀江晶子さんにもお会いできました。抱きついてキスしたい気持ちでした。素晴らしい。

今回の旅で一つ増えた柴田さんのすず竹細工
大切に使い続けたい私の宝物 

我が家の台所のざるやかごたち。 

この日は、鳥越の方たちの心のよりどころ、鳥越観音をお参りしました。
かなりハードな山道を登った先にありますが、厳かなパワースポットです。
 
堀さんの著書によると、その昔鳥越地区に疫病が流行った時に、慈覚大師が観音を信仰すること、肉食を禁止することとし、その代わりに永代家業となるように竹細工を教えた等々諸説あるようです。
現代でも、柴田さんはお肉を食べないそうです。

そして旅行三日目は、浄法寺塗りの滴生舎さんの工房を朝から見学しました。
浄法寺市は日本の漆の7割を誇る漆の産地で、漆搔き職人は現在45人ほどだそうです。
去年盛岡を訪れたときに浄法寺塗りのお重を購入したのを、2回目の素敵ブログの旅行記に書いております。

工房を後にして、一路内陸から太平洋側の田野畑村までバスで二時間ほどのドライブです。岩手県って広い!!
私は、三陸の海は初めてだったので、いつも見ている海とは全く違う東北の海の景色に見とれていました。
 
柴田さんのすず竹細工の生徒さんでもある伊藤勝康シェフのお店「ロレオール」でランチをいただきました。新鮮な地元の食材を使ったとても美味しいフレンチに大満足。(美味しいお料理の写真はスペースが足りなくてごめんなさい。)
目の前に広がる雨上がりの幻想的な景色のなんと美しいこと!!

旅の最後に、鳥越では枯れてしまったすず竹の群生地を見せていただきました。
すず竹細工探訪の旅 コンプリート!!
物を作る人たちの魂に触れた尊い旅でした。

私の手芸は、工芸には遠く及びませんが、物を作る者の端くれとして、これからも一つ一つ愛を込めて作品に取り組みたいと改めて思いました。

おまけ

御所野遺跡 

龍泉洞 

すず竹細工探訪しながら、岩手の名所も見れるという贅沢な旅でした。
地元のトラベルリンクの北田さんがガイドしてくださり、いろいろなお話も聞けました。

この記事を書いた人 素敵ブロガー KAORIさん

ちょっとリアルでぶさかわな編みぐるみを中心に自由気ままに創作しています。 大好きな編み物のこと、海や山の自然に近い暮らしのこと、お料理や旅のことなど、何か暮らしのヒントになれば幸いです!

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