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『鬼滅の刃』を引き合いに出す"秀逸なツッコミ" 年齢問わず視聴者が引き込まれる"今期アニメ"の魅力

  • 2025.8.5

アイドルやアニメのキャラクターなど、“推し”を持つ人が数多く存在する現代。いわゆる“オタク”と呼ばれる人々の中でも、推し活のスタンスはさまざまだ。TVアニメ『ウィッチウォッチ』は、真桑悠里(まくわゆうり)嬉野久々実(うれしのくくみ)というオタクキャラクターが登場し、同じ作品を愛しながらも異なるスタンスが描かれている。そんな2人には、視聴者が思わずうなずいてしまうような“共感力”があるのだ。

隠してもにじみ出るオタク気質!真桑先生の“漫画引用ツッコミ”

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(C)篠原健太/集英社・ウィッチウォッチ製作委員会・MBS

真桑は、主人公・若月ニコの担当教師だ。彼女は漫画ネタを引用しながら心の中でツッコむことが多く、新入生が自己紹介するシーンでは、ニコの魔法によって髪がギュンと伸びてしまった乙木守仁(おとぎもりひと)を見て「ゴン=フリークスくん入学した?」とツッコむ。ゴンは、『HUNTER×HUNTER』に登場する主人公。とっさにゴンのたとえが出てくるあたり、真桑の漫画好きっぷりが伝わってくる。

また、ニコが魔法を使い教室にいる生徒たちが天井にも座っているのを目撃して「無限城、来ちゃった?」と驚きをあらわにするシーンも。“無限城”は『鬼滅の刃』に登場する敵のアジトであり、どこまでも広がる重力を無視した構造が特徴の世界だ。真桑が口にする漫画を引用したツッコミは、コミカルなうえに的確。漫画好きの視聴者にとって、真桑は親しみやすいキャラクターに感じるだろう。

そんな漫画オタクの真桑は、自分がオタクであることを隠している。久々実に作中作『うろんミラージュ』のイベント会場限定グッズを拾われるまで、なんとか漫画オタクであることをごまかそうとしていた。言動に漏れ出てしまうほどのオタク気質を隠したいと思う真桑の気持ちは、オタクがネガティブなイメージを持っていた時代を経験した人なら、共感できるのではないだろうか。

隠れオタク教師とオープンな絵師生徒――“推し”で繋がる2人に共感

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(C)篠原健太/集英社・ウィッチウォッチ製作委員会・MBS

真桑と対照的に描かれるのが、真桑が担当するクラスの生徒である久々実だ。久々実はオタクであることをオープンにしており、SNSでは1万人のフォロワーがいる人気の“絵師”。SNS上では“電撃メロン”という名前で活動している真桑も、久々実のアカウントをフォローし、彼女がアップする『うろミラ』のイラストをこっそり見て推していた。

自分がイラストを描く絵師であることをクラスメイトに言い、『うろミラ』が大好きだと楽しそうに話す久々実は、推し活が流行し当たり前となった現代らしいキャラクターだといえる。“好き”が認められやすくなった現代で生きるオタクたちは、どちらかというと久々実のほうが共感しやすいかもしれない。

推しへのスタンスが異なり、まじわることがなさそうに見える2人。だが、真桑が『うろミラ』のオタクだと久々実が知ってから、2人の距離は急接近する。放課後にファミレスで『うろミラ』の感想合戦をして大盛り上がりするほどの仲になったのだ。興奮気味で饒舌に喋るあまり、「ペラペラでペラーペラ」「すっごいペラる。ペラリングペラリラなの」とセリフまでペラペラ喋る姿に浸食されるほど。

真桑と久々実は一見するとスタンスの異なるオタクに見えるが、推しに対する愛が共通している。そして、推しへの愛を楽しそうに語り合う2人は、推しを持つ現代人が深く共感できるキャラクターだ。世代が異なる2人のスタンスの違いを描いたことで、年齢を問わずに視聴者が感情移入できるようになっている。笑いあり涙ありの『ウィッチウォッチ』は、真桑と久々実の交流を通して、オタクの共感を誘う“推し活コメディ”の要素も兼ね備えているのだ。


ウィッチウォッチ
ABEMAにて毎週日曜日夜9時より最新話を無料放送
[番組URL]https://abema.tv/video/title/593-12
【(C)篠原健太/集英社・ウィッチウォッチ製作委員会・MBS】

ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari