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【広尾】山種美術館【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち

  • 2025.6.20

生誕150年記念 上村松園(うえむらしょうえん)の珠玉の名品、近現代日本画の麗しき女性たちとともに

山種美術館で開催中の【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち[2025年5月17日(土)~7月27日(日)]を見て来ました。

「真・善・美の極致に達した本格的な美人画を描きたい。」(図録『【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち』より)と語る上村松園の美人画は今も多くの人々の心を惹きつてやまない魅力があります。

山種美術館創立者・山﨑種二(やまざきたねじ)は松園と親しく交流があり、作品を蒐集。山種美術館所蔵の松園の作品全18点に加え、各所蔵家から出展された香高い珠玉の名品が揃う松園生誕150年記念の特別展です。

本展は、鏑木清方(かぶらききよかた)や伊東深水(いとうしんすい)など、松園と同時代の画家から現代の画家までによる麗しい女性たちを描いた名品優品も展示される貴重な機会です。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は撮影OKの作品を除き撮影禁止です。

出典:リビング東京Web

右、上村松園 《新蛍》 1929(昭和4)年 絹本・彩色 、中央、橋本明治 《舞》 1966(昭和41)年 紙本・彩色、左、《秋意》 1976(昭和51)年 紙本・彩色 すべて山種美術館蔵

「真・善・美の極致」理想の女性像を追求した上村松園

「女性の美に対する理想やあこがれ」を描き出したという上村松園の美人画。 「その絵を見ていると邪念の起こらない、またよこしまな心をもっている人でも、その絵に感化されて邪念が清められる…といった絵」こそ松園の願う絵だったそうです。

清らかで澄んだ美しさを感じさせる松園の美人画は、使われている絵具の色にも透明感が感じられ心が洗われるような気がします。

遠く都へ向ける眼差し、気高さと気品《砧(きぬた)》

砧を打つ手を止めてふと立ち上がり、遠く都にいる夫へ向ける眼差し。

夫の無事を祈っているのか、かすかな思慕と、留守を預かる妻としての気高さと気品が漂う立ち姿が印象的な《砧》(左)です。

出典:リビング東京Web

左、上村松園 《砧》 1938(昭和13)年 絹本・彩色、ほか展示風景 すべて山種美術館蔵

雪中美人画の名作《牡丹雪(ぼたんゆき)》、《庭の雪(にわのゆき)》

右は、牡丹雪が舞う冬空の下、傘をさして雪道を行く女性2人を描いた《牡丹雪》。
画面上部を広く空け、舞い散る雪と傘に積もった白雪が2人の周りを包む雪景色をイメージさせます。
浮世絵の重要美術品《四季美人 雪中美人と下男》(栄松斎長喜(えいしょうさいちょうき)筆)(寛政4~6年(1792~94)頃 東京国立博物館蔵)を思い起させる作品です。

左は、松園最晩年の傑作《庭の雪》。
少し紅潮した女性の白い頬が凍てついた冬の冷気を感じさせます。豊かな黒髪の髷(まげ)には鼈甲(べっこう)の櫛笄(くしこうがい)にピラピラ簪(かんざし)が揺れています。
白雪が舞う庭で、胸の前で袖を合わせる着物姿の女性の姿は、最晩年に至るまで日本女性の理想の美を追求し続けた松園の珠玉の名品です。

出典:リビング東京Web

左から、上村松園 《庭の雪》 1948(昭和23)年 絹本・彩色、《牡丹雪》 1944(昭和19)年 絹本・彩色 どちらも山種美術館蔵

優雅さと躍動感、魂の輝き、女性画家の描く麗しき女性たち

小倉遊亀(おぐらゆき)の生誕130年、片岡球子(かたおかたまこ)の生誕120年と、2025年に松園生誕150年と生誕の周年が重なる女性画家たちの作品も見ることが出来ました。

小倉遊亀、優雅で躍動感に溢れる《舞う(舞妓)(まう(まいこ))》、《舞う(芸者)(まう(げいしゃ))》

金扇を右手に高くかかげた紫地の長い袂(たもと)の着物に赤いだらりの帯の舞妓。髪には銀のピラピラ簪。左手で袖口を握り右方向に回る一瞬の間に、左肩越しに上手(かみて)の芸者へ視線を向ける《舞う(舞妓)》(左)。

黒地に竹模様の着物に白地に金の竹柄の幅広の帯で落ち着いた雰囲気の姉さん芸者。左手を軽く髪に添え、右手を懐手にし、右肩越しに舞妓に目線を向けて左方向に回る一瞬の間に息を合わせる《舞う(芸者)》(右)。

この後の2人の舞姿が浮かぶ優雅で躍動感溢れる作品です。

出典:リビング東京Web

左から、小倉遊亀 《舞う(舞妓)》 1971(昭和46)年 紙本金地・彩色、《舞う(芸者) 》 1972(昭和47)年 紙本金地・彩色 どちらも山種美術館蔵

片岡球子、魂の輝きを描く《北斎の娘おゑい》

片岡球子は自らの作品について「人間の魂を、なんとか絵にしたいと、かねがね考えて」いたと語っています。「自分の気持ちというものは、顔に反映してくるもの」「人間の魂は顔に映る」と思っているとしています。

画狂人・葛飾北斎の娘・おゑいを描いた《北斎の娘おゑい》(中央)。 黄色地に牡丹でしょうか、大胆な花柄の着物に黒地の柄の帯。意志の強そうな眉に見開いた切れ長の眼は真っすぐに前を見据えています。

北斎にも絵の才能を認められたおゑいの顔に映る魂の輝きは、同じく絵に情熱を傾けた松園や他の女性画家たちの姿と重なりました。

右は、球子のライフワークとも言える「面構シリーズ」で描いた武家出身の浮世絵師《鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)》。画中画に栄之が得意としたスラリとした肉筆美人画が描かれています。 左は、舞子姿の2人の女性を描いた《むすめ》。

出典:リビング東京Web

片岡球子 右、《鳥文斎栄之》 1976(昭和51)年 紙本・彩色、中央、《北斎の娘おゑい》 1982(昭和57)年 紙本・彩色 。左、《むすめ》 1982(昭和57)年 紙本金地・彩色 すべて山種美術館蔵

山種美術館、日本有数の松園コレクションと近現代日本画の麗しき女性たちに出会う

女性の姿を外形の美しさだけでなく、精神の気高さや香り立つような品格を備えた理想の女性像を追求し続けた上村松園。 近現代の日本画家たちが描いた麗しき女性たちの作品と共に、松園の初期から晩年に至る画業を辿る貴重な作品に出会える展覧会です。

山種美術館【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たちは7月27日(日) まで。 是非お出かけください。

出典:リビング東京Web

左、《蛍》 1913(大正2)年 絹本・彩色、ほか展示風景 すべて山種美術館蔵

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、わらび羹(400円)、冷やし小豆(486円)、《庭の雪》(上村松園)をモチーフにしたピンバッチ(900円)を購入。 わらび羹と冷やし小豆は、冷やすと美味しい夏のスイーツです。

本展出品作品全62点が収録された図録『【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち』(山種美術館)(1,320円)も来館記念にお勧めです。

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 山種美術館

Cafe 椿 展覧会の作品にちなんだオリジナル和菓子

Cafe 椿では、青山・菊家のオリジナル和菓子、《牡丹雪》(上村松園)にちなんだ「雪の日」(710円)(右上)をいただきました。 和菓子は、菊家特製のこしあんが上品な甘さ。お抹茶セットでいただくと1,500円です。

出典:リビング東京Web

Cafe 椿 オリジナル和菓子「雪の日」(右上) 山種美術館

※文中のうち、所蔵先表記のない作品はすべて山種美術館所蔵です。※価格は税込価格です。

〇山種美術館
URL:https://www.yamatane-museum.jp/
住所:〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※今後の状況により、開館時間は変更になることがあります。
交通:JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅 2番出口より徒歩約10分
恵比寿駅西口1番乗り場より日赤医療センター前行都バス(学06番)に乗車、「広尾高校前」下車徒歩1分
渋谷駅東口ターミナル54番乗り場より日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車、「東4丁目」下車徒歩2分

〇Cafe 椿
住所:〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36山種美術館1階
営業時間:10:30~17:00(L.O.16:30)
休業日:美術館に準ずる ※展覧会によっては変更になることがあります。

〇【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち
会 期:2025年5月17日(土)~7月27日(日)
※都合により出品作品及び展示期間、会期・開館時間等が変更される場合があります
休館日:月曜日 ※7/21(月・祝)は開館、7/22(火)は休館
入館料:一般1‚400 円、大学生・高校生1,100円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)
※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)一般1‚200円
上記のいずれかのうち大学生・高校生1,000円
※きもの特典:きものでご来館のお客様は、一般200円引き、大学生・高校生100円引き
※複数の割引・特典の併用はできません
入館日時のオンライン予約も可能です
※図録『【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち』山種美術館、2025年(令和7)5月17日発行

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