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アップサイクルした私物を放出。フランシーヌから広がるスローファッションの輪

  • 2025.6.1

eBayのプレラブド・スタイル・ディレクター兼スタイリストであるエイミー・バナーマンの仕事は、文字通り古着を買いつけることだ。その職務内容を考えると、長年にわたってプライベートでも膨大な数の服を収集してきたのは、驚くにあたらない。「もう仕舞うスペースがないんです!」と彼女はヘイスティングスにある自宅から電話で語った。「すごく素敵なモーターサイクルジャケットやレオパード柄のアイテム、メンズのスーツスポーツウェアとか.....本当にバラエティに富んだピースをたくさん持っています」

だからこそバナーマンは、大切にしてきたピースの一部を譲り渡そうと、アップサイクルブランドのフランシーヌ(FRANCINE)を立ち上げることにした。「アップサイクルにはかなり身を入れています」と彼女は説明する。最初にフランシーヌから販売したのは、同じくヘイスティング在住のアーティストのキアラ・ぺラーノとコラボレーションで作り替えたヴィンテージのレザージャケット数着。どれもバナーマンがeBayや古着屋、地元のパブで開催されたバザーで調達したものにぺラーノがハンドペイントの絵柄を施した一点ものだ。ふたりは以前にも似たようなジャケットを制作している。リアリティ番組『ラブ・アイランド:オールスターズ2024』で着用されたそれもアップサイクルされた1着で、2022年にeBayが番組のスポンサーに就任して以来、出演者のスタイリングを手がけているバナーマンは、ジャケットの販売元に関する問い合わせのメッセージが何通も送られてきたと、当時のことを振り返る。

第1弾のコレクションとして展開されたヴィンテージのレザージャケット。
第1弾のコレクションとして展開されたヴィンテージのレザージャケット。

“ドロップB”と題した第2弾もセカンドハンドのレザージャケットから構成されるコレクションとなっているが、今回はハンドペイントの代わりに半貴石やキーホルダーのチャームをジッパーにあしらったデザインを販売する予定だ。「レザージャケットに目がないんです」とバナーマンは言う。そして中古で購入するときには、必ずチェックする部分がいくつかあるのだそう。「ディテールを見ます。手縫いのステッチやハードウェアなど。後はボクシーなシルエットのものをいつも探していますね」と答え、フランシーヌから販売するジャケットはすべてジェンダーレスでサイズも問わないことを強調した。

また、人気のハイキングサンダルメーカーのテバTEVA)とのコラボレーションも控えている。数年前に余らせていたビジューをあしらいリメイクした私物のテバ「ハリケーン」サンダルがデザインのベースとし、ブランドから直接調達した過去シーズンのデッドストックを使用するという。「毎年夏になると(自分のリメイクしたサンダルを)履くんですが、とにかくいろいろな人に褒められるんです」

一点もののジャケットにはアーティストのキアーラ・ペラーノによるハンドペイントの絵柄が施されている。
一点もののジャケットにはアーティストのキアーラ・ペラーノによるハンドペイントの絵柄が施されている。

近年、アップサイクルに取り組むデザイナーが後を絶たないが、フランシーヌのパーソナルかつ小規模なアプローチはほかと一線を画す。コレクションは商品が揃い次第発売され、点数は10〜12と少なく、価格は20ポンドからと良心的だ(レザージャケットはもう少し値段が張り350ポンドから求められる)。「ファッションは商品の回転が早く、それが特にデザイナーにとってはプレッシャーになります」とバナーマンは言う。「フランシーヌは“アンチトレンド”のブランドです。ファッション業界で確立されているシステムすべてに逆らっています。スローファッションの考え方を大切にした、数点しか展開しない小さなブランドです」

Text: Emily Chan Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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