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「行動」だけで「人格」を決めつけていませんか? 不思議な喫茶店で繰り広げられる議論を通してコミュ力アップを目指そう【書評】

  • 2026.2.27

【漫画】本編を読む

『喫茶 行動と人格』(田房永子/竹書房)は、喫茶店というありふれた空間を舞台に、人間関係のもつれや会話の行き違いを、「行動」と「人格」のふたつの観点から読み解いていくユニークな作品だ。

物語は奇妙な名前の喫茶店「喫茶 行動と人格」の中で進んでいく。そこにはちょっと変わった従業員や常連客が、店内で起こった他の客のイザコザを「案件」と呼び、まるで大学のゼミのように議論を交わす。そんな不思議な空間に偶然迷い込んだ普通の会社員・尾形は、次第にその思考の渦に引き込まれていく。

本作の核になるのは、「行動」と「人格」を混同しないで考えることの大切さだ。人間はしばしば、誰かの行動だけを見て「この人はこういう人だ」と人格まで断定してしまう。しかしこの作品では、日常的なトラブルを題材にしながら、「その行動だけで人格まで決めつけていいのか?」という問いを投げかける。行動はたまたま起きた出来事の結果であり、その裏にある背景や事情は千差万別だから、短絡的に人格を結びつけるのは危ういこと。そんな気づきを、会話の掛け合いや考察を通して描いていく。

例えば、婚約者がいながら浮気をした男性、スキャンダルを起こした2世タレント、あるいは人気教師の不祥事疑惑を発信した母親を悪者にする保護者たち。いずれも表面上は「これはこういう人だ」と簡単に評価してしまいそうな出来事ばかりだ。しかし喫茶店の従業員と常連客たちは、相手の背景にどんな思いがあるのか、どうしてその言動を選んだのかを掘り下げていく。そこで生まれるのは、相手を理解しようとする思考と、場合によっては自分自身の価値観の見直しもある。これが本作の面白さだ。そして自分の人との接し方や、物事の見方のクセを振り返るきっかけになるかもしれない。

さまざまな「案件」から、コミュニケーション力アップのヒントを学べるハウツー本として、特に今、人間関係に悩みを持っている人におすすめしたい一冊だ。

文=坪谷佳保

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