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「演技が良すぎ」「嗚咽」"二宮和也だからこそ演じられた"3年前に公開した話題作…北川景子との名シーンも必見

  • 2025.5.21

2026年春頃にコンサートを開催して活動を終了することを発表し、大きな注目を集めている嵐。5人が再集結する姿が見られるのはうれしいが、コンサートのチケットの入手は困難を極めること必至だろう。数々の名曲をリリースし、国民的アイドルグループになった嵐のライブの素晴らしさには定評がある。そんな嵐だが、メンバーは俳優としても長い間活躍してきた。今回は2022年に公開された二宮和也の主演映画『ラーゲリより愛を込めて』の魅力と見どころをお届けしたい。

『ラーゲリより愛を込めて』

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(C)SANKEI

第二次世界大戦終了後に、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の日本人捕虜・山本幡男と、彼と共に極限状況の中で過酷な日々を送った仲間たちの感動の物語『ラーゲリより愛を込めて』。辺見じゅんのベストセラー『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』の映画化作品だ。二宮が演じる山本の妻・モジミを北川景子、戦争で心に傷を負った松田を松坂桃李、軍人時代の階級を振りかざす相沢を桐谷健太、心優しい青年・新谷を中島健人が演じ、安田顕や寺尾聰らが脇を固める。

零下40度にもなる極寒の中、わずかな食糧のみを与えられ重い労働を強いられるという劣悪な環境下、命を落とす者が続出し、希望を失っていく捕虜たち。そんな中、山本は日本にいる妻や子どもたちのもとへ必ず帰れると信じ、周囲の人々を懸命に励まし続ける。やがて、山本の力強い信念と仲間を想う行動が、捕虜たちの心に希望の火を灯し、彼らの気持ちを一つにしていく。

二宮和也だからこそ演じられた主人公

学生のころからロシア文学に親しんできたために、ロシア語を話すことができる山本は、ラーゲリで通訳をさせられるが、ソ連(当時)の兵士の言っていることがわかるだけに、ほかの捕虜よりも心を痛めることが多い。でも、できるだけ笑顔を絶やさず、心を閉ざしがちの松田にも明るく語りかけたり、読み書きのできない新谷に字を教えたりと、周囲を和ませる存在となっていく山本。

二宮は、前向きで優しく、希望を抱き続けようと仲間たちを鼓舞する山本を好演。ハリウッド大作『硫黄島からの手紙』に出演し、巨匠クリント・イーストウッドとも仕事をしたことがある二宮は、高い演技力で、まさに山本そのものとして観客を引き込み、感動を与えてくれる。

山本の愛情深い眼差しは、二宮を通して伝わってくる。彼の信念と愛は、威圧的な態度だった相沢の心も軟化させていき、山本は誰からも尊敬されるようになっていく。二宮だからこそ、山本を体現できたのだろうと実感せずにはいられない。

山本たちの“仲間”になっていく相沢の心情の変化を表現する桐谷の演技や、過酷な状況でも純粋さを失わない好青年・新谷を演じる中島の快演も見逃せない。

澄んだ目が印象的な松坂桃李

本作は、松坂が演じる松田の目線で描かれていき、松坂のナレーションで物語が進行する。山本の一挙一動を観察し、彼から大きな影響を受け、徐々に傷ついた心が溶けて強くなっていく松田。松坂の耳心地の良い声を聞きながら、松田に共感して本作を観ていくと、何度も心が震える瞬間があり、何度も涙がこぼれる。

特に、予告にもある「生きてるだけじゃだめなんだ(中略)山本さんのように生きるんだ」と、松田が発するシーンは、思い出す度にグッと来てしまう。彼の澄んだ目が印象的で、本作でも忘れ難い松坂の名演技を堪能できる。

鑑賞後に心が温かくなる感動作

みんなを励まし続ける山本だが、次第に体調を崩し、病に侵されていることが判明する。映画の後半では、山本に勇気づけられてきた仲間たちが、彼のために立ち上がり、行動を起こす様子が描かれる。

本作の公開前、番宣番組に出演した二宮が「泣くポイントがいくつかある」と話しているのを観たが、本当にその通りで、どれだけハードルを上げられても泣かずにはいられない映画に仕上がっている。特に終盤は、タオルが必要になりそうなくらい号泣必至の展開となるが、それは温かい涙だ。

『ラーゲリより愛を込めて』は、戦争の過酷さや、決して繰り返してはならないことを伝えている作品だが、二宮が演じる山本と、仲間たちの行動は強く胸に響き、鑑賞後は心が温かくなる。SNSにも「こんなに泣く!?ってくらい泣いた」「嗚咽しました」「ニノの演技が良すぎてさらに泣ける」といったコメントが多く見られ、本作が感動の嵐を巻き起こしたことがよくわかる。

主人公の最愛の妻を演じる北川景子

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(C)SANKEI

北川が演じる、山本の最愛の妻・モジミが、夫が日本に帰ってくることを強く信じている姿も胸を打つ。必ず帰ると“約束”した2人。山本夫妻を描くパートも感動的で、北川の美しさや瑞々しさに心が浄化される。

以前、『忍びの国』で大野智と石原さとみが演じた夫婦についてのコラムを書いたが、『ラーゲリより愛を込めて』の二宮&北川コンビによる夫婦愛も非常に説得力があり、2人による名シーンは必見だ。

嵐の中でも、日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞(『母と暮せば』)するなど、俳優としての活躍が目覚ましい二宮。出演する映画のジャンルも幅広く、いつも楽しませてくれる。嵐の活動が終了した後も、彼の役者人生はずっと続いていくに違いない。


映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP