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スタイリスト濱本愛弓の愛車はメルセデスベンツの「123W 230E」──ヴィンテージカーの色褪せない魅力を語る

  • 2025.4.20

“私らしさのある車”を求めて

──まず初めに、濱本さんの愛車の車種と年代などを教えてください。元々ヴィンテージカーに対して造詣が深かったのですか?

メルセデスベンツの「123W 230E」に乗っています。1985年に作られた車で、40年前のものですね。実は私、車に関する知識が全くなかったんです(笑)。そのため、購入した当時は乗りこなせるか心配でした。

──かっこよく乗りこなしているので、てっきり詳しいのかと思いました(笑)。では、この車に惹かれた理由は?

アシスタント時代の夢が、“一人前のスタイリストになったら車を持つこと”だったんです。当時はなんとなくヴィンテージカーが欲しいなと漠然と憧れていた程度で。そのため、いざ購入するとなった時に、周囲の車好きに“私が乗ってそうな車”を聞きまくりました(笑)。何名かの知人が薦めてくれたのがこのメルセデスベンツの「123W 230E」だったのですが、当時『GQ JAPAN』編集長を務めていらっしゃった鈴木正文さんのおすすめリストにもこの車種があったんです!

その後、「123W 230E」を調べてみると、私の理想としていた車にとても近かったので購入を決断しました。ディーラーは2軒まわって。1軒目には「280E」の水色っぽいカラーリングがあったのですが値段が高くて······。2軒目は担当の方がとても親身になってくれてご縁を感じ、購入に至りました。このクリームのようなホワイトのような絶妙なカラーは、実は普段の自分の服のテイストとはリンクしていなくて、自分では積極的に選ばない色なんです。でも、ヴィンテージだから味わえる風合いや懐かしさに惹かれて。今の時代では絶対に出せない色だと思いました。

──お気に入りのポイントは? ご自身のスタイルとマッチするディテールも教えてください。

シートのカラーは黒なのですが、当時は珍しかったみたいで。本当はレザーシートに憧れがありましたが、雨の日はデニムに色が移ったり、色落ちしたり、冬は座ると寒かったりと、私のライフスタイルにはリスキーな面が多いので断念しました。

──レザーはカッコ良くても、乗っていてストレスを感じてしまうのは嫌ですよね。他にも、ヴィンテージカー故の不便さがあるかと思います。メンテナンスなど、気をつけていることは?

乗り始めて1年目は、エアコンの効きは問題なかったのですがしばしばエンストしてしまいました。初めは乗り慣れてないので、夏場に4回くらい止まりました······。2年目は、第一子を妊娠したばかりということもあって夏にあまり乗らなかったので、止まることはありませんでした。基本的に夏は、長時間屋外に駐車しないように心がけています。

娘が大きくなった時にこの車のことを覚えてくれていたら嬉しい

── 乗り心地はいかがですか?

前のオーナーさんが丁寧にメンテナンスを行なって乗っていてくれたおかげで、とても走りやすいですね。ドアやハンドル、ブレーキはかなり重いんですけれど、その重厚感が逆に心地いいんです。また、ハンドルを回す時や駐車する時に窓の外を覗くような動作が多くなるのですが、そういった動きでさえも絵になっているのでお気に入りです(笑)

── 運転時のスタイリングについてこだわりはありますか?

普段はフラットシューズを履くことが多いですが、今日着用しているボッテガ ヴェネタのウェッジシューズは履き心地がとても良くて、ドライビングシューズとして愛用しています。ダニエル・リーが手がけていたシーズンのもので、あまりにも気に入ってしまい2足買いしたほどのお気に入りです。

──昨年10月の出産を経て、お仕事に復帰されました。母親として、愛娘の采季(とき)ちゃんとドライブをしていてどんなことを感じますか?

最近のチャイルドシートはヴィンテージカーに合わせて作られていないので、この車のシートに合うチャイルドシートを探すことが難しかったんです。娘の成長に合わせて、乗れるところまで乗りたいと思っています。娘が大きくなって物心ついた時に、「ママはクリーム色の車に乗っていたなぁ」と家族の思い出として記憶に残ってくれたら嬉しいですよね。

──次に選ぶ車もやはりヴィンテージでしょうか?

夫が今、メルセデスの旧式のゲレンデを探しているのですが、私は次に選ぶとしても今と同じ車種を選びますね。乗り換えても、今と同じ車がいいなと。燃費やメンテナンスにはコストがかかってしまうけど、それがモチベーションにつながります。

濱本さんのヴィンテージウェアコレクション

ヴィンテージの愛車にちなんで、お気に入りのヴィンテージウェアのコレクションも披露してくれた濱本さん。2年前に購入したというロエベのベージュのジャケット(上の写真中央)は、今回の撮影でもクリームカラーの車種に合わせて着用していたものだ。スエード素材のくたっとした風合いが今の気分にピッタリだという。

「ヴィンテージショップに行った際、よいジャケットを見つけるとつい即買いしてしまいます(笑)。自分のスタイリングにおいて、ヴィンテージのフォルムにこだわるブームが訪れることがたまにあって。エンポリオ アルマーニ(上の写真左)はパワーショルダーとタイトなシルエットがお気に入りです。もうひとつのロエベ(上の写真右)のタキシードジャケットは、フロントはタキシードですが、オーバーサイズで背中が大胆に開いているため、ドレスに合わせることが多いですね。メゾンブランドのヴィンテージアイテムは、そのタグからも歴史が感じられるので、普段あまり見ないデザインのタグを見つけるとテンションがあがります」

さらに、最近購入したお気に入りはレザーベストだという。「渋谷のヴィンテージショップ『HOOKED』で一目惚れしました。かなり状態が良くて、レザーの重厚感や太めのフリンジ、ゴールドの金具デザインなどディテールも秀逸。あえてレースのトップやホワイトドレスなどフェミニンなスタイルにと合わせたいと思っています。ヴィンテージは、車でも服ても“一目惚れの出逢い”を大切にしてます」

Photos: Akihito Igarashi Editor: Mayumi Numao

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