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「母親らしさってなに?」「気持ち悪い」“異例の脚本”が物議…それでもなお「全人類見てほしい」と称される衝撃作とは

  • 2025.5.14

名作ドラマの中には、私たちの常識や価値観を揺さぶる作品があります。今回は、そんなドラマを5つセレクトしました。本記事では第5弾として、『ヒヤマケンタロウの妊娠』をご紹介します。
男性が妊娠・出産する世界を描いた本作。予想外の「もしも」が起きたとき、普段見過ごしている社会の偏見や、自分の中の思い込みに、ハッと気づかされるかもしれません――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

エリート男が妊夫に?予期せぬ妊娠と崩れ去ったスマートな人生設計

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(C)SANKEI
  • 作品名:『ヒヤマケンタロウの妊娠』
  • 放送期間:2023年1月6日 - 2月24日
  • 主演:斎藤工(桧山健太郎 役)

物語の主人公、桧山健太郎(斎藤工)は、仕事もプライベートもスマートにこなすエリート。特定のパートナーは持たず、自由な関係を楽しんでいました。

そんな彼が、ある日突然、医師から信じられない言葉を告げられます。「おめでとうございます。妊娠です」。男性の妊娠が決してゼロではない世界とはいえ、まさか自分が当事者になるなんて。予期せぬ出来事に激しく動揺する健太郎と、事実を知らされ戸惑うパートナーの瀬戸亜季(上野樹里)。

つわりや周囲の好奇の目に晒され、キャリアへの影響も避けられない中、健太郎がこれまで築き上げてきた“スマート”な生き方は、脆くも崩れ去っていくのでした——。

異例の脚本で揺さぶられる“当たり前”の価値観

この『ヒヤマケンタロウの妊娠』が多くの人の「価値観を揺さぶった」理由は、単に設定が奇抜だったからではありません。男性が妊娠・出産を経験することで、私たちが生きる現実社会のリアルな歪みや、無意識に刷り込まれたジェンダー観が浮き彫りにされたからです。

作中では「産むのも堕ろすのもリスクを背負うのはこっち」「それって、あたしの子なの?」など、印象に残るセリフの数々が大きな話題を集めました。

 妊娠男性を演じた俳優・斎藤工の快演

この「ありえない」設定に息を吹き込んだのが、俳優陣の徹底した役作りと圧巻の演技力です。

主演の斎藤工さんは、妊夫・健太郎を演じるにあたり、周期に合わせて異なるサイズのシリコンをお腹に装着し、重心の変化を実際に体験。「お腹が大きくなるにつれて身体的なバランスも変わるし、重みと存在感によって意識も自然とお腹に傾くようになっていく。それを実感できたのは、とても貴重な体験でした」と明かしています。

SNSにコメント殺到!賛否両論を巻き起こした男性妊娠ドラマ

“男性妊娠”という斬新な設定にSNSではさまざまな声が見受けられました。

「ホントに私の子?っていうセリフがあるんだけどドラマや映画で男が それ本当に俺の子か?って言う度反吐が出るほど腹たってきたけど確かに思うかもな~って思った」という意見や、「男性妊婦というファンタジーの世界観ではありながら、男性自身が身をもって妊娠出産子育てを実感することで、現代社会の問題点や共感したりする部分も盛り込まれてて考えさせられる」といった声も。

また、「気持ち悪い」という声もあがっていたようですが、そんな声に対して「女の人は楽しめる人多いんじゃないかな。でも、男の人は見るのが辛いんじゃないか?受け入れられないんじゃないか?と思う。おそらく気持ち悪いという感想も、そういう概念から来るものかなと。全部見て楽しめる男の人、凄いよ。」「全人類見てほしい」という意見も。

「母親らしさって何だろう?」と自問する声も多く、作品を通じて深く考えさせられたという感想が寄せられています。男性が妊娠するという、現実とは逆の設定だからこそ、「女らしさ」「男らしさ」「母親らしさ」「父親らしさ」、私たちが無意識に抱いていた“らしさ”という価値観に改めて向き合うきっかけになったようです。

「もしも」の世界が照らし出す固定概念

この『ヒヤマケンタロウの妊娠』が描く特別な世界は、私たちの日常を違った角度から見せてくれます。

もし男性が妊娠するとしたら—そんな想像から、普段何気なく「当たり前」と思っていることを、考えるきっかけになるかもしれません。『ヒヤマケンタロウの妊娠』は現在、 Netflixで配信中です。ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか?


※記事は執筆時点の情報です