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「やっぱり胸糞悪い」「本当に腹が立つ」“生々しい脚本”に苦言が殺到…それでもなお“歴代最高記録”を叩き出した【価値観を揺さぶる名作】

  • 2025.5.13

名作ドラマの中には、私たちの常識や価値観を揺さぶる作品があります。今回は、そんなドラマを5つセレクトしました。本記事では第4弾として、『海のはじまり』をご紹介します。
予期せず父親になった青年の戸惑いと葛藤が映し出す、本当の“絆”とは一一。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

突然の訃報と隠された5年間の真実...元彼女が残した小さな宝物

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(C)SANKEI
  • 作品名:『海のはじまり』
  • 放送期間:2024年7月1日 - 9月23日
  • 主演:目黒蓮(月岡夏 役)

穏やかな日常を送る青年・夏(目黒蓮)のもとに届いた、大学時代の元恋人・水季(古川琴音)の訃報。葬儀で出会ったのは、彼女が遺した小さな娘・海(泉谷星奈)。そして告げられた衝撃の事実…海は、夏が知らぬ間に生まれていた、自分の子どもだったのです。

突然「父親」になった夏と、母の死という深い喪失感を抱えた海。二人の周りで、水季の母(大竹しのぶ)や水季の元同僚・津野晴明(池松壮亮)、そして現在の恋人・百瀬弥生(有村架純)の想いが交錯し、それぞれの人生が大きく動き始めます。戸惑いながらも始まる父と娘の時間は、彼らに何をもたらすのでしょうか…?

「許せない選択」か「勇気ある決断」か…

このドラマが多くの視聴者の心を強く揺さぶったのは、重く切ないテーマと、登場人物たちのリアルで飾らない感情表現にあります。「恋人に知らせずに出産する」という衝撃的な選択、予期せず父親の責任と向き合うことになった男性の葛藤は、私たち自身の価値観や家族観を大きく揺さぶりました。

登場人物たちの綺麗事だけではない人間らしい感情のぶつかり合いは、強い共感を呼ぶ一方で、時に激しい反発も招きました。「やっぱり胸糞悪いんだよな、、演者さんはみんな素晴らしいのだがね」「海のはじまり、ひたすらやよいさんに対しての周りの言葉が無神経で本当に腹が立つんやけど…」「海のはじまりの夏くんちょっと幻滅した あの温厚で優しい夏くんも腹たったら公共の場で椅子蹴飛ばしたりするんだね」といった声も。

しかし、「言葉の重みをとても感じた。価値観はそれぞれだからこそ、ちょっとした一言が相手の突っかかりになったりする。自分が傷ついた時には相手も傷ついていて…」「誰かのためを思って自己犠牲的に生きる姿を美しく描いている作品は多いけど、この作品は違っていて。自分勝手なようにも見えるけど誰かのこともすごく想っていて、生々しくて全員嫌いにはなれない」という感想のように、その生々しさや割り切れなさこそが、多様な価値観がぶつかり合う現代を映し出し、私たちに深い内省を促しているのかもしれません。

主演俳優の突然の活動休止が生んだ「想定外の傑作」

本作の魅力は何と言ってもキャスト陣の圧倒的な演技力にあります。目黒蓮さんが演じた、言葉少ない夏の抑制された感情表現。子役の泉谷星奈さんが見せた、幼いながらも複雑な心情を映し出す瞳。有村架純さんの静かな決意、池松壮亮さんの無言の慟哭…。

キャスト陣の繊細な演技が、言葉以上に登場人物たちの想いを伝えています。葬儀場の静寂、夏と弥生の切ない別れ、そして最終回の海辺のシーンなど、印象に残る映像と共に心に刻まれる名場面も多く生まれました。

また、撮影期間中には、主演の目黒さんが体調を崩し、一時活動を休止するという予期せぬ危機も発生。これにより急遽、水季と津野晴明(池松壮亮)の知られざる過去に焦点を当てた特別編『恋のおしまい』が放送され、ファンを驚かせると同時に物語の奥行きをさらに深める結果となりました。

「正しさ」を超えた想い - 価値観が揺さぶられる衝撃ドラマ

TVer史上、全ドラマの中で第1話の配信開始後8日間の再生数が歴代最高記録を更新したほど注目を集めた『海のはじまり』。

正しさでは測れない人の想いや選択に、静かに寄り添う物語です。どの立場にも理由があり、見る人それぞれの価値観を揺さぶります。

「普通」や「常識」では語れない感情の重なりに触れることで、自分自身の考え方や人との向き合い方を、そっと見つめ直したくなる―― 視聴者をそんな気持ちにさせてくれる、やさしい余韻の残るドラマといえます。


※記事は執筆時点の情報です