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「きれい事過ぎて」「見るのやめよ」“現実離れな脚本”にSNS大荒れ…社会現象を巻き起こした【価値観を揺さぶる名作】

  • 2025.5.11

名作ドラマの中には、私たちの常識や価値観を揺さぶる作品があります。今回は、そんなドラマを5つセレクトしました。本記事では第2弾として、『逃げるは恥だが役に立つ』をご紹介します。「契約結婚」という少し変わった関係性を通じて、世の中が決めた「夫婦の役割」や「普通の幸せ」に疑問符を投げかけた本作。常識破りの二人が織りなす日々は、新しい『幸せのカタチ』を考えるきっかけを与えてくれるかもしれません――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

【価値観を揺さぶる名作】「契約結婚」の行く末は…?

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(C)SANKEI
  • 作品名:『逃げるは恥だが役に立つ』
  • 放送期間:2016年10月11日〜12月20日
  • 主演:新垣結衣(森山みくり 役)・星野源(津崎平匡 役)

大学院卒業後も思うような仕事に恵まれない森山みくり(新垣結衣)。彼女が家事代行のアルバイト先で出会ったのは、恋愛に疎く「プロの独身」を自認する津崎平匡(星野源)でした。

ある日、思いがけない展開から、みくりは平匡に「雇用主=夫」「従業員=妻」という契約結婚を提案します。予想外の成り行きに戸惑いながらも、2人の不思議な同居生活が始まりました。

最初は純粋なビジネス関係のはずだった2人ですが、周囲の人々を巻き込みながら、互いへの感情が少しずつ変化していきます。この前代未聞の「職場」で、彼らが見つける新しい関係の形とは——?

キュン or モヤッ? あなたの心を揺さぶる二人の選択

このドラマが社会現象にまでなったのは、私たちの価値観を揺さぶる力があったからでしょう。特に衝撃的だったのは、「家事労働に給料を支払う」という視点。これまで無償とされがちだった家庭の仕事を「年収」として可視化し、「愛情の搾取に断固として反対します!」と叫ぶみくりの姿に、多くの女性たちの共感が集まりました。

また、スペシャル版では“妊娠・出産・育児”“育休”などの社会問題を取り上げ大きな話題に。SNSでは「何か色々考えちゃった。きれい事過ぎて。恵まれてるなって」「ドラマだから恵まれてる会社勤務だけどそれでも困り事がある。あんな会社ばかりだったら良いのになぁ。見るのやめよ」「帰れる実家がない、職場の同僚から早く復帰しろと言われる、保育園預けられない、これが今の日本の課題だよね」といった厳しい声も。

一方で「持てる者にも悩みがあり、辛さがあるというところをきちんと描いているあたりが今回は評価すべきポイントなのかな」「職場に恵まれてる自覚と自分の鈍感さの自覚はあるけど、あの内容を批判するマインド変えないと何も変わらないよ」「時事ネタをうまく脚色して“こうあればいいな”って希望を持たせてくれる内容だったと思う」「この夫婦は恵まれてるって意見もわかる、でもよくまとまってたと思う」と称賛する声も多く見受けられました。

エンディングでおなじみの「恋ダンス」は、思わず真似したくなる中毒性で大流行!また、主人公2人のもどかしく、じれったい関係性を表す「ムズキュン」という言葉も生まれました。「働く時は下を見てはいけないと思います」「恥ずかしい逃げ方だったとしても、生き抜くことのほうが大切」といった、作中の心に刺さる言葉の数々は今も多くの人に愛されています。

SNSで話題沸騰!フィクションと現実の狭間で揺れる視聴者たち

“契約結婚”という設定にも、SNSでもさまざまな反響がありました。

「大満足。でも冷静に考えると、やっぱりこれはフィクション。同じ価値観のパートナーと出会い、家族や伯母、友人に恵まれ、経済的にも余裕がある。現実はそんな甘くない。でも逃げ恥を見て癒やされて、現実の中で頑張ろうと思わせてくれる」というコメントからは理想と現実を考えさせられます。

「やっぱ社会派ドラマだね逃げ恥は。 賛否は分かれそうだけど、これだけ踏み込んだ内容にしたチャレンジ精神は凄い」「結婚を後押ししてくれたくらい逃げ恥の価値観や考え方が好きなんだけど、ちゃんと原作も読もうと思って大人買いしたら、夫ともう一回結婚したくなるくらいキュンキュンしちゃった」「何度見ても気付きがある作品」といった絶賛の声も多数あがっています。

これらのコメントからも、この作品が現実の恋愛観や結婚観に影響を与えるほどの力を持っていることがわかります。

『逃げ恥』から受け取るメッセージ

この物語は、「結婚や夫婦の形は1つではない」ことを教えてくれます。

「普通」や「常識」に縛られず、対話を通じて、自分たちにとって心地よい関係を築いていくことの大切さ――このドラマは、私たちが無意識に背負っている役割や期待から、少し自由になる勇気を与えてくれているのかもしれません。

疲れた時に観ると、ほっと息がつける、そんな心に優しい名作の一本です。


※記事は執筆時点の情報です