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「馬鹿にしてる」「ただただ不快」“攻めた脚本”に視聴者憤慨…それでもなお“最高傑作”と大絶賛されるワケ

  • 2025.5.10

名作ドラマの中には、私たちの常識や価値観を揺さぶる作品があります。今回は、そんなドラマを5つセレクトしました。本記事では第1弾として、『不適切にもほどがある!』をご紹介します。昭和と令和の価値観の違いを描いた本作。古い常識と新しい感覚が交錯する中で見えてくるもの、それは私たちが忘れかけていた、時代を超えて変わらない大切な何かかもしれません――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

令和に迷い込んだ“昭和のお父さん”!?  

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(C)SANKEI
  • 作品名:『不適切にもほどがある!』
  • 放送期間:2024年1月26日〜3月29日
  • 主演:阿部サダヲ(小川市郎 役)

物語の主人公は1986年を生きる、熱血すぎる中学校の体育教師、小川市郎(阿部サダヲ)。生徒への愛のムチも、職員室での喫煙も当たり前だった“昭和のお父さん”です。

ある日、バスでうたた寝した彼が目覚めたのは、なんと38年後の2024年! スマホ、ハラスメント、多様性… コンプライアンス意識に満ちた令和の常識に、彼はただただ戸惑うばかり。未来で出会ったシングルマザーや若者たちとの交流は、彼の価値観を根底から揺さぶります。全く違う価値観がぶつかり合う中で、彼は何を感じ、周囲はどう変わっていくのか。そこには、私たちが今を生きるヒントが隠されているかもしれません――。

喫煙、体罰、パワハラ…38年前の「当たり前」が引き起こした前代未聞の珍騒動

このドラマが多くの共感を呼んだのは、単なるコメディに留まらず、私たちの「当たり前」を問い直す力があったからかもしれません。ドラマの冒頭、毎回のように「不適切な表現が含まれますが…」というテロップが表示されることからも分かるとおり、令和の今では到底考えられない昭和の言動が次々と飛び出します。

職員室でタバコをくゆらせる教師たち、ちょっとしたことで飛んでくるビンタ、物議を醸しそうな言葉遣い…。そんな脚本や演出にSNSでは「極端な例とガチのパワハラを「パワハラ」って一言で一緒くたにして馬鹿にしてるように感じる」「見るのが辛い」「ただただ不快」といった声も。

見ていると、「そうそう、昔はこんな感じだった!」と懐かしく思う反面、「いやいや、やっぱりこれはダメでしょ!」とツッコミを入れたくなります。その絶妙なバランスが、私たちの価値観そのものを揺さぶるのかもしれません。

予期せぬ展開に視聴者困惑!佳境で始まる"演出"に賛否両論の声も…

特に話題を呼んだのは、物語の佳境で突然始まるミュージカルシーンです。「急に差し込まれるミュージカル演出は違和感」「いきなりミュージカル場面が無理過ぎて第4話の途中で挫折」と戸惑う視聴者の声が見受けられました。

一方、この大胆な演出には、「ミュージカルみたいになるのは予想外で笑った」「最初ミュージカル部分が微妙に思っていたが回を重ねるごとにクセになった」と楽しんでいる声も多数。

まさにこの賛否両論が巻き起こること自体が、多様な価値観が混在する現代を映し出しているのかもしれません。

 笑って考えた先に広がる、新しい時代の歩き方

この物語は、「絶対的な正しさなんて、本当にあるのだろうか?」と私たちに問いかけます。

昭和の肩の力が抜けた自由さも、令和の繊細な思いやりも、どちらも捨てがたい魅力があります。大切なのは、互いの時代感覚を笑いながら認め合える余裕かもしれません。

タイムスリップという奇想天外な設定を通して、私たちの内に眠る「当たり前」という名の価値観が、ほんの少しだけ揺さぶられる——  それこそが、このドラマが今も多くの人に愛されている理由かもしれません。


※記事は執筆時点の情報です
※タバコは20歳になってからです