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9年前、大人気ドラマの“劇場版”として公開された大作…!女性キャスト陣のなかでも“際立つ存在感”を放った美人女優

  • 2025.6.7

小栗旬主演の映画『信長協奏曲』が6月7日21時から、フジテレビ系列で放送される。歴史嫌いの男子高校生サブローが突然、戦国時代にタイムスリップしてしまい、そこで出会ったのは自分そっくりの織田信長。病弱だった信長は、自分と瓜二つのサブローに信長としての役割を代わってくれと頼み込む。歴史がわからないサブローは戦国時代の知識もなかったが、陰謀に巻き込まれ、裏切りなど過酷な体験をしていくうちに平和の想いに目覚め、天下統一を目指して部下たちを戦国の世を駆け抜けていく、という一風変わった歴史ファンタジーだ。

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(C)SANKEI

笑いあり、涙あり、ロマンスも合戦アクションもある豪華な娯楽大作でありつつも、根底にある平和の大切さを伝えるメッセージに心打たれる作品だ。

現代人の感覚で平和の大切さ訴える異色のタイムスリップ時代劇

本作は、フジテレビの開局55周年プロジェクトとして企画され、実写映画の他、テレビドラマとテレビアニメの3媒体が随時展開された。この映画は、テレビドラマ版の続編という位置づけとなっている。映画の物語は、サブローが安土城を建てたあたりから始まるが、導入部にテレビドラマ版のあらすじを紹介してくれるので、本作から見始めても充分楽しめるように作られている。

本作のポイントは、過去へのタイムスリップするアイディアを扱う作品であっても、主人公が歴史の授業が嫌いだったために今後の展開を何も知らないことにある。信長を演じることになるサブローは、自分が本能寺の変で死ぬ運命にあることすら知らないのだ。昨今よくある、過去を全て知っていてその知識で無双するという作品とは異なり、サブローはその場その場で、必死に苦難に向き合っていく。自分が死ぬ運命が待ち受けているとも知らずに、本気で天下を統一して平和な世の中を作りたいと信じて行動する熱い男なのだ。

劇中では、そんなサブローが現代からタイムスリップしてきたもう一人の男・松永久秀(古田新太)から本能寺の変で死ぬことを聞かされながらも、その運命に抗って生きようとする戦いを描いている。

血なまぐさい戦国時代において、平和を真剣に語る姿に、多くの部下が慕ってついてくる。本来の信長は明智光秀として正体を隠して織田軍に潜入し、そんなサブローに嫉妬している。自分にはない人望を妬む光秀(本来の信長)は、羽柴秀吉にそそのかされ謀反を起こす。史実では、信長は明智光秀に本能寺に攻め入れられ自害するが、二人の信長が相対するこの作品では、その歴史的事実をどのように描いているのかが、見どころの一つとなっている。

また、タイムスリップものであることで、戦国時代という、現代とは価値観のかけ離れた世界を、現代人の視点で描くことに成功している。現代人の平和を願う心を持ったサブローは、戦ばかりしているこの時代を心底変えたいという想いで行動する。その姿が太陽のようだと光秀が評するが、持前の明るさで難局を乗り切っていくサブローに視聴者は共感を覚えるはずだ。本作は時代劇の体裁を取っているが、現代的に平和を願う心を描いている珍しい作品なのだ。

合戦あり、笑いあり、ロマンスありの大娯楽映画

本作はその独特の物語以外にも、時代劇らしい合戦シーンもあり、大きな見どころとなっている。大人数での迫力ある合戦シーンは、ドラマ作品の劇場版の中ではスケールの大きなタイプの作品と言える。ただの男子高校生であるサブローも、テレビドラマ版で死線を潜り抜けてきたからか、馬にも乗れるし槍も触れ、なかなかの戦闘力を見せる。

一方でコミカルなシーンも豊富だ。濱田岳演じる徳川家康が極度の女好きとして描かれていたり、サブローが同級生にあだ名でもつけるぐらいの感覚で武将たちを呼んでいるのも面白い。

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そして、本作は恋愛映画でもある。柴咲コウ演じる信長の正室・帰蝶とのはかない愛の物語は涙を誘う要素だ。祝言を挙げていなかった二人だが、サブローは運命に抗い生きのびる決意を固めて祝言を挙げることを決意する。そして、皮肉にもそれが本能寺の変につながってしまう。そんな運命のいたずらにも負けずに、タイムスリップものならではの方法で、愛を成就させて泣かせてくるのだ。

小栗旬、山田孝之ら豪華キャストの共演も見どころ

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そんなあらゆる娯楽要素を詰め込んだ本作を彩る豪華キャストの共演も見逃せない。主人公サブローと光秀の二役を演じる小栗旬はまったく性格の異なる2人を的確に演じて見せる。サブローが太陽なら、光秀は月と作中でも例えられるが、陽と陰のタイプの芝居を見せてくれる。

秀吉役の山田孝之も復讐に燃える秀吉、自らの天下取りの野望を心に隠す策略家を不気味に演じていて存在感がある。その他、向井理や古田新太、阿部進之介など実力ある役者たちが脇を固めている。また、藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)や北村匠海といった若手の売れっ子俳優も出演しているのもファンには嬉しい。

女優陣ではやはり柴咲コウの存在感が際立っている。サブローのことを「うつけ」と気安く呼ぶ、気の強い帰蝶を、溌剌かつチャーミングに演じている。

笑って泣いて、平和の大切さをかみしめさせてくれる本作。まだ見ていない人は、この放送を機会にぜひ見てみてほしい。


ライター:杉本穂高

映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi